10/06/12

幻の沼を探しに


ジョンのお散歩の途中、近所のじいさん二人が仲よく県道の縁石に腰掛けて話をしていた。
カエルはどうだい、と話しかけられ、しばし立ち話。
その立ち話をしていた県道脇には、昔、小さな水たまりが5つ並んでいて、カエルがたくさんいたそうだ。隣接する川が大雨で氾濫したときなどは、川からウグイがいっぱい水たまりに入り込んで、子供たちがその水たまりでウグイ釣りをして遊んでいたという。
その水たまりも、知らないうちに埋め立てられてしまって、それ以降、何十年もツチガエルやトウキョウダルマガエルは見ていないという。
二人がカエルの名前を知っていたわけではない。僕があげた「阿武隈カエル図鑑」を見るなり「ああ、これは昔はそこにいっぱいいた。こいつもいた。でも、もう何十年も見ていない」と言い始めたので分かったのだ。
今、このへんで目にすることができるのは、アカガエル、アマガエル、そしてたまにシュレーゲルアオガエル。ヒキガエルは激減して、1年に1度目にすることができるかどうかというところ。
でも、じいさんたちによれば、昔はツチガエル、トウキョウダルマガエルは日常的に目にしていたらしい。

で、平伏沼の産卵が今年は1週間遅れていると僕が言ったら、「平伏沼に行く手前にもモリアオガエルが卵を産む小さな池があった」とひとりが言いだした。
訛りがすごいので、場所の説明が一部よく分からない。
家に戻る手前で、田圃のチェックにやってきていたS田さんにその話をしたら、「鉄塔道のことでねえか」と言う。
この村には、東電が原発から首都圏に引いた送電線の鉄塔がいっぱい建っていて、景観が台なしなのだが、その鉄塔を保守するために造った点検のための道のことだろうとのこと。
詳しく場所を教えてもらったら、いてもたってもいられなくなり、まだ日があるうちにと、すぐに行ってみた。夕方6時近くなっていたが、日が延びたものだわ。

入り口は分かった。何度も気がつかずに素通りしていたところだ。つい数日前も、平伏沼からの帰り、このへんに水たまりはないものかと、いかにもありそうな風景に車を停めて、反対側をチェックし、U字溝を発見してがっかりした場所だった。U字溝を埋める前なら、ちょうど天然の沼ができそうな地形だったのだが。
鉄塔道の入り口は、そのちょうど反対側だった↑(上の写真)

入るとすぐ、こんな橋がある


左手は流れが涸れそうな沢が続いている。このへんにも産んでもおかしくない


道はかなり奥まで続いていた。ここなどはかつて沼があった形跡が?


幻の沼は見つからないまま、鉄塔までたどり着いてしまった


鉄塔の先はこんな感じで、もう沼はありそうにない


その先は車が通れる保守道。今はこっちの道を造ったために、歩いて入る、今来た道は使われていないのだろう。最後のほうはほとんど藪こぎ状態だったから、人が頻繁に通っているとは思えない。
結局、沼らしきものは見つからなかった。残念。
強いていえば、入り口からすぐの湿地のようになった沢のあたりかな。あそこなら卵を産んでもおかしくはない。
話をしていたじいさんも、ずいぶん昔のことを言っていたようだから、途中にあった沼が今は涸れてしまったのかもしれない。

家まで戻ってきたら、ジョンが、なぜ連れて行かないんだと抗議するように哀しげな声で吠えた。
だって、おまえ車に乗せるとじっとしていないから危ないし、臭いんだもん。おとなしくしていれば連れて行くんだが……。

夜、やってきたQちゃんを見ていて、これは本当にQちゃんなのかしらと首をかしげたくなった。似ているチャ虎の猫が2匹いる??

Qちゃん……だよなあ、これは??




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