このところ日記更新が滞っていたのは、この作業に没頭していたため。
『新版 神の鑿』の制作。
すでに電子版はPubooから出しているが、印刷本となると手間が何十倍もかかる。
当然、コストもかかる。
旧版はA4で12ページだったが、今回は倍増の24ページ。表紙裏側(表2-3)にも印刷したので、実質、26ページ。
オンデマンド印刷で100部限定で発注したのだが、発注後によく考えてみたら、オフセットで500部刷っても4万円くらいしか違わなかった。
しかしまあ、この手のものはどんどん改訂していく可能性が高いので、高くてもオンデマンドのほうがいいだろう。
以前頼んでいた印刷所はPDFファイルを入れればそのまま製本まで黙ってやってくれたのだが、このところ発注している印刷所は、安い代わりに入稿ファイルの形式などが厳しい。
クオーク、InDesign、Photoshop、Illustratorに限られている。
PDF入稿もあるというので調べたら、InDesignから吐き出した限定的な形式で作成しないといけないと分かり、断念。
Wordから、印刷所指定のソフトによって電子版下を作成するという方法もあって、最初はそれでやろうと思った。
しかし、Wordで編集し始めると、頻繁にソフトごと落ちたり、レイアウトが乱れたりで、お話にならない。
なんだこれは、というくらいひどい。
簡単な印刷物1ページものくらいなら、複雑化してしまった一太郎よりWordのほうがずっとマシなのだが、やはり複数ページ、しかも高解像度画像をふんだんに含んだレイアウトとなると、Wordは使いものにならないと確信した。
で、次は、InDesignのお試し版をダウンロードして、最初からInDesignでやってみようとしたのだが、これは開いた途端にどっと疲れて、やめた。
じっくり勉強しながらやればいいのだろうが、その気力がない。挙げ句、Wordのように落ちまくったらどうしようもないし。
本来、これは編集者、出版社の仕事であって、筆者の仕事ではないんだよなあ。そういう部分に、これ以上の労力を注ぎ込みたくない。
……ということで、結局、いつもの「パーソナル編集長」に戻った。
手順としては、パソ編で作成したものをAcrobatに吐き出して、それをPhotoshopに読み込み、CMYKのPhotoshop形式に変換して保存。そのファイルを入稿する。
とっても面倒だが、すでに経験している手順なので、新しいことはあまり学ぶ必要がない。
……はずだったのだが、しばらくいじっていなかったため、やっぱり問題はいっぱい出た。
まず、Acrobatがおばかで、規定通りに動いてくれない。
パソ編で用紙設定をA3ノビの寸法に指定して(パソ編にはA3ノビの用紙がテンプレートで用意されていないので、カスタム設定でやる)のだが、それをAcrobat(バージョン6)のA3ノビで吐き出すと、なぜか右側が切れてしまい、トンボが消えてしまう。
そこで、パソ編の用紙設定ではトンボが入るぎりぎりの大きさにとどめておく必要がある。
なぜこうなるのか、未だに不明。
後からきれいに表紙の文字などを入れるため、作成したPDFをIllustrator(うちにあるのはバージョン8)に読み込むと、なぜか文字がすべて化ける。しかし、Photoshop(うちのは7)だとちゃんと読み込める。
これも不思議なのだが、仕方なくPhotoshopに読み込んで、念のため用紙サイズ(カンバスサイズ)をA3ノビに広げておく(周囲が付け足されるだけで、印刷部分は拡大しない)。
この方法でようやく入稿条件をクリアできるのだが、Photoshopでは見開き単位(紙単位)で別々のファイルになってしまうため、ページ数が多くなれば作業が面倒になる。
旧版は中綴じ(ホチキスで留める、週刊誌スタイル)だが、今回は無線綴じ。オンデマンド印刷の場合は4ページ単位になりそうだが、事故を避けるため、ファイルは見た目の見開き単位にしてくれとのこと。
この場合、パソ編では「袋とじ」形式で書式設定して、左綴じ(右開き)の場合は最初にダミーのデータなしページを1ページ作っておく。
このへんが結構ややこしくて、いつも途中でやり直す羽目になる。
印刷物製作というのは、できるだけやりたくない。最近では、小説などを印刷した本に仕上げることの意味をあまり見いだせなくなってしまった。
ただ、『神の鑿』は読者層の年齢が高いことなどもあって、やはり印刷版を作っておかないといかんだろうなあ、という気になった。
来週、初版第1刷分の100冊が届く。旧版は合計500部くらい作って全部出ていったのだが、今回はどうなることか。
配布価格は1500円(税込)の予定。
内容的には、普通の四六判の本なら60ページくらいの内容になっている。コストダウンのため、A4版にぎっちぎちに入れ込んでいる。
で、すったもんだで全部入稿し終わった後に、もう一度InDesignを開いて、すでに作ってあったPDFを「配置」コマンドで貼り付けたら、なんのことはない、すんなり入った。これを印刷所所定のPDF形式で吐き出すこともできた。ファイルサイズは、Photoshop形式だと全部で1GBくらいあったのが、このPDFだと数十MBで済んでしまう。あら~~~、なんなんだろう。
次に何かやるときは、やはり最初からInDesignからやってみよう。