10/12/04

 尋ね人・玉井かな子さん、小口覚さん

朝からすごい風が吹いて、家ごと揺れる感じだった。
下手に外に出ると飛んでくる小枝などで怪我をしそう。今日はジョンのお散歩なしだなあと思っていたら、少し収まったので、しゃあない……ちょっこし行くか。
道のあちこちに吹き飛ばされた枝が落ちている。片づけながらジョンのところへ。
看板も倒れてしまった。竹の支柱が根元から折れていた。明日にでも立て直さないと。

強風で倒れた看板
ところで今日の日記は尋ね人コーナーにしたい。
35年くらい前に世田谷区か大田区あたりに住んでいて、当時高校生だった玉井かな子さん。
あと、27年くらい前、学研の「パンツの穴アニメビデオ」のライター公募に応募してきて、しばらく僕の弟子みたいな感じで詞を書いていた小口覚さん(応募してきたときは高校2年生)。
二人が歌詞に参加している作品をJASRACに登録したので、もしこれを読んでいたら、あるいはどなたか知り合いのかたがこれを読んでいたら、連絡をください(連絡するように伝えてください)。

おぐちゃんは、「エミリーおぐち」というペンネームで、「パンツの穴アニメ」とカセットに数曲、作詞した。僕がかなり手直ししたのだけれど、原案はおぐちゃんなので、作詞・エミリーおぐち、で届けている。
たまちゃんは、自由が丘の喫茶店で数回会っただけで、そのまま音信不通になってしまった。
昔の譜面やらノートやらを整理していたら、『マリンブルーボサ』の原案のような詞を書いた紙が出てきた。
これも僕が相当直しまくって仕上げたのだけれど、重要な部分は彼女が書いていることが記録されていた。
あまりにも昔のことなので、記憶が曖昧。『オ・ン・ナ』という曲の歌詞原案を彼女が書いたことは覚えているのだけれど、『マリンブルーボサ』もそうだったとは、すっかり忘れていたというか、記憶から消えてしまっていた。記録は大切だなあ。
彼女は友達からは「たま」と呼ばれていたはず。会話の中でそう言っていたから。

おぐちゃんは、僕の住所録などに残っているメールアドレスやケータイ電話番号など、すべてにあたってみたが、どれも解約されていて捕まらなかった。JASRACの担当者から、「エミリーおぐちさんの住所は……」と訊ねられたのだが、結局「音信不通です」と答えるしかなかった。
たまちゃんはまったく分からない。

ところで、知らないうちにAmazon MP3が日本でもスタートしていた。
Amazon MP3のことは、音楽ファイルのDRMの話題絡みで、拙著 『大人のための新オーディオ鑑賞術』 でも紹介した。
すでに欧米では最大の配信元になっているのだが、日本では3年遅れてようやくスタート。
日本の配信サイトは、フォーマットがAAC(アップルの規格。ITunesストアなど)、WMA(Microsoftの規格。MUSICO、OnGenなど、多くの配信サイトが採用)、Atrac3(SONYの規格。Moraなど)の3つに大別できるのだが、規格の違いによる互換性のなさとコピーガードによる扱いにくさはユーザーを大いに悩ませている。

何年か前、試しに1曲購入してみたところ、いきなりこの問題に出くわした。
購入したのはピーター、ポール&マリーの『ア・ソーリン』ライブバージョンなのだが、この曲、半分以上がポールの語りで、演奏は後半半分くらいしか入っていない。そこで、他の曲と一緒にして聴くために語り部分をカットしようとしたのだが、一切の編集を受け付けないと分かり、愕然とした。カットすることもできないのだ。
このファイルはコピーガードのついたWMAファイルだったが、WMAを再生できないケータイ端末やメモリプレイヤーにはそのまま転送できない。コピーしても認識されない。僕はiPodは持っていないが、iPodユーザーなら、iPodではこのファイルは聴けない。
なんじゃこりゃ? と呆れてしまい、それ以来、配信サイトから買うことは一切やめてしまった。
あれが普通にコピーや移動が可能で、どんなプレイヤーでも再生が可能なMP3形式であれば、次からも気安く購入し続けていただろう。
僕のように、MP3なら深く考えずに買ってしまうだろうけれど、コピーガードがかかっているWMAやAACは買う気がしないという人は少なくないと思う。
これでは、かえってビジネス的に損なのではないだろうか。


10/12/05

「ふるさと林道」舗装完成間近

何年もかかって拡幅、舗装工事を続けている「ふるさと林道」(誰もそんな風に呼ばないが、工事の看板にはそう書いてある)も、いよいよ舗装完成が近い。風景がかなり変わった。
くどいようだがこの道、誰一人通らない。林道の先には、独居老人の家があるだけで、そこのおばあさんがたまに原付バイクに乗って行き来しているだけ。別に舗装して、車がすれ違えるような広さに拡幅したところで、誰の生活が楽になるわけでもない。費用対効果という意味では、全国あちこちにある無駄な公共工事の見本。

工事しても、沢側の土手は大雨が降れば崩れるときは崩れるような気がする


沢はこのように段差がつけられ、ワイヤーで石が固定されたことで魚が上れなくなった

石がごろごろしている程度なら、イワナは平気で上っていくが、こんな風に階段状に垂直に積まれ、しかもワイヤーが網状に飛び出していると、まず上れないだろう。
ワイヤーの間に挟まって死ぬ魚とか出てこないのだろうか。

山側からの流れもこのように処理された。上から流れてきた魚や水棲生物は、一旦、この石畳に叩きつけられる。
この上に、いい感じでできていた水たまり(アカガエルが産卵場所にしていた)はつぶされてしまった。
この林道周辺には水たまりがほとんどなかった。カエルにとって貴重な水たまり2つが、この工事で消滅した。


←情景小物051 工事現場A


この沢はまだまだ山の上に続いているのだが、ここで寸断されてしまったため、ここより上流と下流を水棲生物や魚が行き来できなくなった。沢の水星生物層がぐっと薄くなってしまうことだろう。

いちばんの問題は、この工事を喜んでいる地域住民がひとりもいないということ。この道をたまには歩く可能性がある人たちの誰もが、異口同音に「なんのための工事だ?」と言う。顔を合わせれば挨拶代わりにそう言い合っている。
「誰も通らないのになあ」
「そんな金があるなら他のことに使えばいいのに」

工事をしている人たちはみな純朴でいい人だし、この工事で懐がうるおう人に恨みもない。ただ、何かが明らかに間違っていることは確かだろう。
風情がなくなり、生物が棲みづらくなり、住んでいる人たちはしらけていく。
大雨のとき、道全体が巨大な水路と化して、下で冠水被害が起きないかと心配だ。
来年の夏、この道の上で干からびて死んでいるイモリもたくさんいそうだ。


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