2011/02/27

川内優輝、市民ランナーとして世界陸上マラソン代表になる快挙

今日は東京マラソン。石原慎太郎がスタートピストルを鳴らすのを見るのも今年が最後になるだろうか。I hope so.
思い起こせば、第1回は雪だった。毎年、ひどい天候で、去年も雨、途中からみぞれという寒いレースだった。
今年は男子だけが世界陸上マラソン代表選考会を兼ねている。でも、そんなに面白いレースになるとは期待していなかった。
起きたら10時。テレビをつけたらすでに35km。
先頭はやっぱり黒人選手。メコネン? あのメコネンの息子なのかしら、などと思いつつ、画面を見たら、ひとり、死にそうな顔でトップを猛追している選手が映し出された。ランニングには「埼玉」とだけ書いてある。このアップ映像だけ見たら、都道府県対抗駅伝かしらと思う。これは誰??
中継アナウンサーの「市民ランナーの星」という声が耳に入る。
ん? 市民ランナー??
よく見ると、前には日本人選手がひとりしかいなくて、このままでは抜かされそう。タイムを見ると、35kmの時点でまだ1時間45分そこそこではないか。このままいけば、よほどスピードダウンしない限り楽勝でサブテンだ。
……ということは、「市民ランナー」が世界陸上マラソン代表になるの?
え? それってとてつもなくすごいことではないか。
慌てて出場選手一覧をネットで見てみた。
公式サイトは重くてなかなか開かないので、フジテレビのサイトを開く。
助手さんが、
「藤原新って、もう38歳なの?」
と言っている。んなわけないやろが。
気になったのでまず藤原新のプロフィールを見たら、本当に38歳になっている。
1970年9月24日生まれ……だったら、今40歳やろが。
しかも身長が186cm。そんな長身選手なら、頭一つぼこっと抜けているじゃろが。
なんなんだ? この滅茶苦茶なプロフィールは……長身選手で40歳、下を見ると2005年東京マラソン優勝、2005年世界選手権マラソン4位となっている。……ああ~、これは高岡寿成じゃないか!
なんちゅう間違いをしてくれてんねん。もうレース始まっているのに、フジテレビは注目選手筆頭にしている藤原新のプロフィールを高岡のものにしたままなのか? マラソンに愛がないのもたいがいにしてほしいね。


……とツッコミつつ、問題の川内選手のプロフィールを見る。
招待選手で、去年の東京マラソンで4位。え? そんな選手がいたっけ……。
ほんっとにごめん。うっすらと記憶があるのだが、忘れていたし、そのまま注目もしていなかった。
なんたる不覚であろうか。
しかし、川内選手のプロフィールもなんだかなあ、である。他の招待選手はみんな、
「2010年日本唯一のサブテン男!(藤原 新)」
「世界選手権3度出場、見せるかベテランの底力!(入船敏)」
「実業団駅伝3度の区間賞、ロードの鬼世界へ!(秋葉啓太)」
「26歳イケメンランナー 悲願の日の丸へ!(幸田高明」
……といったキャッチフレーズがつけられているのに、川内選手にだけはなにも書かれていない。

なんなんでしょ、この差別は。
なるほど、これが「市民ランナー」と「実業団所属ランナー」との違いなのか。

ヤフーのスポーツナビでも見てみた。
こちらはもっとひどくて、招待選手4番目の川内を、ほとんど「枠外」扱い。顔写真さえ載せていない。

これが「市民ランナー」の市民ランナーたるゆえんなのか。
それが、最後になって突然、テレビの中継でも「市民ランナー」を連呼し始めた。
用意していなかったドラマが起こってしまい、慌てふためいているのがよく分かる。

そこから後は、怒濤のような数分間だった。
胸に「埼玉」と書いたランニングシャツの選手は、前を行く二人を一気に抜き去り、そのまま3位でゴールに飛び込んだ。倒れ込み、車椅子で運ばれる。
タイムは2時間8分台。陸連が決めた「日本人トップで2時間9分29秒以内」という条件を見事にクリア。この瞬間、埼玉県職員・川内優輝は、世界陸上マラソン代表に決まったのだ。
いやはや、びっくり。
医務室に運ばれてしまい、インタビューもなかったので、そのままネットで彼のことを調べた。
すぐにヒットしたのはこのページ
「多摩てばこnet」という立川市のタウン情報ページ。立川で毎年箱根駅伝予選会が行われるので、「もうひとつの箱根駅伝──箱根駅伝予選会」という特集ページを作っている。
インタビュアーは清水恵美子さんという人だが、多分、株式会社 エミーズ 代表取締役の清水恵美子氏とは同姓同名の別人だろう。
インタビューの内容が実に面白かった。
川内優輝は学習院大学学生として初めて箱根駅伝を走ったそうだ。それも、学連選抜で。
ほとんどの大学にとって「箱根」といえば予選会のことで、本戦のことではない、という話は新鮮だった。
予選会には選手を10人揃えないと出られず、それも、5000m17分、あるいは10000mを35分を切った選手でなければ行けない。「女子か!」と突っ込まれそうなこの足切り記録でも、強豪校以外の陸上部にとってはかなりきつい水準で、この記録をクリアした選手を10人揃えるのは大変なことらしい。
川内選手がいたときは、なにがなんでも川内を学連選抜に入れて箱根へ送りだそうと、陸上部が相当頑張ったらしい。
川内選手が学連選抜で箱根6区(山下り)を走ることが決まったとき、大学では幟を100本作り、学長も応援に行ったそうだ。
それもいい話だが、そのレベルの選手が社会人になってすぐにエリートマラソンで上位に入るなどということはまずない。去年の東京マラソンの時点で、もっと注目していなければ行けなかったのだ。本当に不覚だった!

彼については、昨日と今日、「阿武隈裏日記」(ブログ)に書いた。
この表日記に書かなかったのは、ブログのほうが検索されるから。早く検索されてなんぼの旬な話題は、ブログを使いましょう……と、今執筆中の本でも書いたところだったので、実証するために、久々にブログに書いてみた。
アップした2時間後には、Googleで「川内優輝 東京マラソン」を検索すると、「阿武隈日記」が10位(1ページ目)にヒットしていた。asahi.comやFNNニュースの記事より上位だったのにはびっくり。
おかげで昨日のブログは、アサブロの日替わりランキングでも急上昇の15位にランクインしていた。

ちなみに、14位になっている「気がつけば82歳」は、僕もときどき覗いている。お勧めブログであります。

本を書くために、数日前、Facebook Mixi Twitter の順に登録してみた。今まではこの手のものはデジタルストレスを増やすだけだからと避けてきたのだが、体験してみないと書けないし。
Mixiがいちばん落ち着くかなあ。分かりやすいというか。
かつては紹介者がいないと登録できなかったが、今はその条件を解除して、誰でも入れるようになっている。
Mixiに入って最初の収穫は、長野県を中心に、まだ見ていない名品・珍品狛犬をいくつか知ったこと。
カエル好きコミュニティは不活発なようで、ここ数か月書き込みがない。
暖かくなったら動き始めるのかな。


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