2011/04/29の2

放射線量を気にする暮らし

福島県内の地上波テレビは、こんな感じで毎日、L字形の情報枠で県内各地の放射線量を伝えていたりする。天気予報並みに放射線量が常時知らされる暮らしになってしまった。
この感じ、他県の人たちは分からないだろうなあ。

気にしすぎても身体に悪いが、お上を信用できない以上、自分の暮らしは自分で守るしかない。
年間××ミリシーベルトまでどうのこうのという議論をいくらしたところで、どうなるわけでもない。工業製品のように、その規格に合わせて製品を作れるわけじゃない。相手は空気や水や土なのだから。

散歩に出たついでに、放射性物質の「溜まり方」を検証してみることにした。
第一原発からは今日もいっぱい放射性物質が流れ出しているわけだが、先月14日~16日あたりの突出した放出量に比べればずっと少ない。
家の中と外とで、それほど放射線量の差がなくなってきてもいる。
家の中は大体0.4μSv/h前後。外は0.6μSv/h前後。
ただ、外には放射性物質が溜まっている場所がある。
空気中を漂っている放射性物質は減って、ほとんどが地面や建物などの「もの」に付着しているからだ。
例えば、井戸の蓋(コンクリート)の上は非常に高い数値が出る。井戸の真上でピーピー鳴るとぎょっとするが、これはあくまでもコンクリートの板に放射性物質が付着しているということであって、その下の井戸水が汚染されているという意味ではない。
分かってはいるが、確認するために、蓋を開けて中の線量と比較してみた。

井戸の蓋の上は非常に高い数値が出る


しかし、蓋の下では一気に線量が下がる
むしろ隔離されていた分、周囲より低い


木の橋の上。木材にも付着しやすい


県道脇の舗道の上。やはり高い



いろいろ測ってみて分かることは、

1)コンクリートの上は高い
2)ウッドデッキなどの上も高い
3)地面の上も高いが、染みこんでいく分、コンクリートの上ほどではない
4)雨水などが溜まっている場所も高い
5)絶えず流れている水はそれほどでもない

……マツモ池は、先月来たときは非常に高い数値を出していたが、今はそれほどでもない。
沢水が流入し続けたことで、薄まったのだろう。
それでもまだ水のあるところに近づくとピーピー鳴る。
カエルのように、細胞分裂の速度が速い生物、しかも成長期にずっと水の中にいる生物への影響はどの程度あるのだろうか。すぐに目に見えるほどの影響が出たら怖ろしい。


このへんの田圃は、概ね大した汚染は受けていない。土の上に直接ガイガーカウンターを置いても、1μSv/hを超えることはあまりない。この程度であれば、表土を薄くはぎ取るなどというのは現実的ではないので、むしろじゃんじゃん水を入れて流し出すという方法がいいのではなかろうか。
こんな事態は誰も経験がないし、どうすればいいのか、学者も分からないだろう。
理論では解決しない。
田圃の土はデコボコで空気もいっぱい入っているから、学校のグラウンドとはわけが違う。表面を薄くはぎ取るなどということは絶対にできない。やるとすればブルドーザーでごそっと掬うしかないが、その結果出た大量の土をどこへ持っていってどう処理するというのか。結局はどこかに捨てなければならないわけで、無駄にエネルギーを使い、土埃を舞い上がらせるだけという気がする。

菜種を植えてセシウムを吸着させるという案もあるが、ロシアでそれをやった結果、あまり効果がなかったという話も聞く。正確なデータを知りたいところだ。
水田に関しては、水を流しっぱなしにすることがいちばん効果的ではないかと思う。その水田の汚染状況にもよるが、うちの周囲のように、もともと大したことのない軽度の汚染ならそれがいちばんよさそうだ。
放っておけば、放射性物質は垂直に真下に染みこんでいく。地下数十センチくらいで止まるから、そこから先は、何十年もセシウム入りの土を耕すことになる。今ならまだ、表面についている放射性物質が水に乗って横に動いてくれる可能性が高い。最後は海に行き着くことになるけれど、その経路は長い目で見ればどうしたってそうなるのだから、生活環境、農業環境を早く回復させるためにはその発想のほうがよさそうに思うのだが……。
何人か専門家の意見も入れて、早い時期にプランを出せないものだろうか。

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