いつも通りの春の草花。表面には放射性物質がついているんだろうが、人間同様、何も変わることなく今年も咲いている。
薄く汚染されたこの村で、今後なんとかなりそうな農作物はなんだろうか。蓄積しやすいキノコ類はかなり厳しいと思う。放牧された牛も、これから長いこと搾乳して売るのは無理だろう。努力して「飯舘牛」ブランドを育て上げてきた飯舘村の畜産業は本当に悲惨だ。原発雇用や交付金にぶら下がらず、自力で村の経済を築き上げてきたのだ。その歴史を一瞬にして壊した犯罪。到底金で補償しきれるものではない。
米は、白米で食べる限り、ほとんど影響がない。多分、今年、村内の田圃で作付けしても、秋に収穫し、精米してしまえば、検出できるセシウムは基準値以下どころか、検出不能レベルだろうと思う。
他の農作物に比べて蓄積の係数が桁違いに低いからだ。
大蒜も有望か。
お隣からいただいたジャガイモと大根を、我が家ではいつも通り食べている。
収穫は原発震災前だし、どちらも皮を剥いて食べるものだから……と、冷静に判断してのこと。この2か月で放射性物質についてはずいぶん勉強したからなあ。何が怖くて何が大丈夫か、きちんと分かるようになった。
村の人たちはみんな落ち着いている。ダメなものはダメ、大丈夫なものはびくびくしないで接する。テレビに代表されるマスメディアが、相変わらず情緒的な報道を繰り返しているのには閉口する。