2011/08/01の2

小林和平の未発見狛犬(1)



和平の「未発見狛犬」は、皮肉なことに3.11の震災をきっかけに見つかった。
ひとつは神宮寺(隣は寅吉の最高傑作狛犬がいる鹿嶋神社)のそばにある近津神社というところにあった。
地図は⇒こちら(37.108467,140.369847)
車が停めにくい、引っ込んだ場所にある神社。深仁井田の国津神社にロケーション的に似ている。あそこも見落としやすいし車も停めにくい。
3.11での被害はかなりのもので、鳥居は半分になって落ちていた。
ここに、昭和12年建立の和平作の「未発見狛犬」があるという。
それを知らせてくださったときの高久住職のメール。(3月25日)

こんな時に、不謹慎かも知れませんが、大発見のニュースをお知らせします。地区内の石像を見て回った結果、鹿島神社はご覧いただいた通りでありますが,坂本の観音様の馬の石像も大きな破損が見られました。
その時のことでありますが, 白河市東 上野出島 反町の近津神社の狛犬が小林和平の作であることがわかりました。昭和十二年の作であり、三頭の子獅子を引き連れた、見事なものであります。

そんな近くに、本当かなと思った。
気になっていたのだが、原発でとても狛犬まで気が回らなかった。ようやく対面できる。

近津神社


暗い参道を進むと……


あった


なんでこれが今まで見つからなかったのか……不思議だ


裏から


地震で阿像は落ちてしまった


顔が土にめり込んでいる。無傷だといいのだが……


吽像は台座の上でずれながらも落ちなかった


確かに和平の銘がある


クレーンが入り込めない場所だけに、元の位置に戻すのは大変そう


重機のなかった昔、どうやってこれを持ち上げたのだろう

それにしても、ちょっと奥に引っ込んでいるとはいえ、ちゃんと神社にあったわけだし、地元中の地元だし、なぜこれが今まで見つからなかったのか、本当に不思議だ。
昭和12年というと、

■昭和05(1930)年1月、48歳。石都都古別神社の狛犬
■昭和05(1930)年7月25日、49歳。石川町稲荷神社の社殿と尾珠狐
■昭和06(1931)年、保土原神社の狛犬
■昭和07(1932)年10月、51歳。古殿八幡神社の狛犬。「満州事変皇軍戦捷記念」
■昭和08(1933)年9月、52歳。西白河郡中島村滑津 羽黒神社の狛犬
■昭和09(1934)年9月、53歳。棚倉町一色 鐘鋳神社の狛犬 「石工小林和平 石川郡沢田村 建立」
■昭和10(1935)年11月、54歳。小野公園の仁王像

━━━━━━━━━ここに入る━━━━━━━━━

■昭和13(1938)年1月、56歳 石都都古別神社の五重塔
■昭和13(1938)年、56歳。石川郡石川町 王子八幡神社の泉重左衛門像。「石像彫刻 小林和平 玉垣石工 遠藤秀一」。
■昭和14(1939)年旧正月、57歳。石川郡石川町 王子八幡神社の狛犬(弟子の遠藤秀一と合作?)「戌亥会初老記念」
■昭和14(1939)年1月、石川郡石川町 石都都古別神社御仮屋の狛犬(大竹俊吉と連名)。「戌亥会初老記念」

昭和5、7、9年の「和平3大狛犬」という絶頂期の後、戦争が始まる前。
和平のもとに依頼が殺到していた時期で、弟子の遠藤秀一もずいぶん手伝っていたと思われる。
造形的には、和平狛犬が完成しきった感じ。
阿像を早く見てみたい。いつ元に戻るだろうか。




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