2011/08/01の3

小林和平の未発見狛犬(2)角折神社


もう一対は、東栃本の角折神社というところにある。 場所は⇒ここ(37.105365,140.328412)

少し大人しい感じの飛翔獅子


ここもあちこち石が落ちたりしていて補修工事中だった


阿像


子獅子


吽像の顔


後頭部の彫りがちょっと浅いかな?


顔の下の処理もちょっと雑かな?


昭和15年だから、近津神社の3年後


前脚と首の下の処理が杜撰になってしまっているのが惜しい。なんか折れて後からくっつけたように見えてしまう


吽像も同様に顎の下の処理が甘い




みんなでわいわいと鑑賞会


子獅子は腕白な顔で可愛い


吽像を裏から


吽の顔


和平の工房で造っていることは間違いないが、銘がない


■昭和05(1930)年1月、48歳。石都都古別神社の狛犬
■昭和05(1930)年7月25日、49歳。石川町稲荷神社の社殿と尾珠狐
■昭和06(1931)年、保土原神社の狛犬
■昭和07(1932)年10月、51歳。古殿八幡神社の狛犬。「満州事変皇軍戦捷記念」
■昭和08(1933)年9月、52歳。西白河郡中島村滑津 羽黒神社の狛犬
■昭和09(1934)年9月、53歳。棚倉町一色 鐘鋳神社の狛犬 「石工小林和平 石川郡沢田村 建立」
■昭和10(1935)年11月、54歳。小野公園の仁王像

━━━━━━昭和12年 近津神社の狛犬 「元沢井 石工 小林和平」━━━━━━

■昭和13(1938)年1月、56歳 石都都古別神社の五重塔
■昭和13(1938)年、56歳。石川郡石川町 王子八幡神社の泉重左衛門像。「石像彫刻 小林和平 玉垣石工 遠藤秀一」。
■昭和14(1939)年旧正月、57歳。石川郡石川町 王子八幡神社の狛犬(弟子の遠藤秀一と合作?)「戌亥会初老記念」
■昭和14(1939)年1月、石川郡石川町 石都都古別神社御仮屋の狛犬(大竹俊吉と連名)。「戌亥会初老記念」

━━━━━━━━━ここに入る━━━━━━━━━

■昭和15(1940)年、58歳? 管布称神社の大黒像 ■昭和15(1940)年10月、59歳。羽黒神社の馬


銘が入っていないのは、多分、和平としては仕上げが雑だったことに納得がいかなかったのか、あるいは弟子がかなり作ったので自分の名前を入れるのをやめたのだろう。
昭和14年の王子八幡神社の狛犬も銘が入っていない。この年、注文が殺到してかなりバタバタと仕上げてしまったのかもしれない。

目は後から何度も描き直しているはずだが、もう少していねいに描かないと


旧東村は、小野田村と釜子村が合併した村。近津神社は旧・旧小野田村の村社だったようだから、小野田村の近津神社に立派な狛犬が奉納されたのを見て、こちらも負けずに注文したのだろう。
和平は殺到する注文に対応しきれないほど忙しかったはずだ。
この獅子像の後、太平洋戦争が勃発。
戦後、

■昭和22(1947)年11月、66歳。石川郡石川町赤羽 赤羽八幡神社の狛犬

で平和を願い、その後は
■昭和25(1950)年旧7月、69歳。東禅寺戦没者慰霊碑群
■昭和27(1952)年、70歳? 平田村子平(おだいら)諸楽山法性寺 子安観音像
……と、戦没者供養の仕事をしていたが、

昭和30(1955)年5月18日、妻小林ナカ死去(行年78歳)。和平73歳
昭和35(1960)年1月29日、後妻小林ハル死去(行年67歳)。和平78歳

そして
■昭和36(1961)年4月3日、79歳。石川郡玉川村川辺 正八幡神社の狛犬(阿のみ)。和平名での最後の狛犬。

……となって、
■昭和38(1963)年12月、82歳。西白河郡矢吹町中畑字根宿 八幡神社の狛犬(吽のみ。孫の登が作成するのを指導)
昭和41(1966)年3月8日、小林和平死去(行年86歳。満84歳)。
……で石工生涯を終える。

今回の2作を見たことで、玉川村川辺の阿像のみの狛犬がいかに精魂込めて彫り上げたかが分かるような気がした。
相手が石だけに、気持ちの入り方や気力の充実ぶりが、出来に如実に表れるのだろう。
和平の人生をうかがい知る上で、貴重な資料となる二対だ。




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