汚染に対する賠償？　避難に対する賠償？

11日の夜に日光市の家に戻ってきた。
やっぱり新幹線は楽で、新白河で乗って家までほぼ1時間くらい。
電車の中で、改めて先日の文科省原子力損害賠償紛争審査会（能見善久会長）が決めた「警戒区域、計画的避難区域などを除く福島県の23市町村を対象に全住民に１人あたり8万円、妊婦と18歳以下の子どもに１人あたり40万円」の「自主避難に関わる賠償金」を出すようにという答申について考えていた。

逃げた逃げないに関わらず一律で住民に支払うというのだから、これは明らかに「自主避難」への賠償ではない。 であれば、「なぜ汚染が低い地域がもらえて汚染がひどい地域がもらえないのか」という声が上がるのは当然のこと。
今頃になって、山脈に沿って放射性物質が降り注いだ傾向が云々などと言っているが、大汚染からすでに9か月近く経っているのだ。
ほんっとに腹が立つ。

もう何度も見ている汚染マップだが、改めて見てみよう↑
川内村に住む友人たちと一緒に、僕らはここ数か月、移転先候補地の物件探しをしていたが、最初に候補地として目をつけたのは、福島県内でも汚染度合いが低い南のエリア（矢祭町、塙町、石川町、鮫川村、古殿町など）と、小野町周辺（平田村、玉川村など）だった。
しかし、このエリアの物件はどれも高かったりボロボロだったりで、諦めた。
今回、賠償金が支払われることになった23市町村のうち、石川町、古殿町、小野町、平田村、玉川村などは、僕ら川内村（ここだって汚染度合は周辺に比べて低い）で暮らしていた人間が、移転先候補にするほど汚染が低かった。
逆に、結構やられている白河市や西郷村などは外されている。
おそらくこの賠償金は「やはり福島県全域にします」と訂正されるだろう。そうならないで実施されたら、ほんとに福島の住民たちに重大な亀裂を生じさせる。

それと、小野町や石川町あたりの住民にまで賠償したとなれば、もっと汚染がひどい那須塩原や白石市、角田市などへはどうするのか。「福島」ではないから賠償しないというのであれば、ますます今回の賠償金の根拠がよく分からない。

妊婦と18歳以下の子供に40万円というのも、これから一騒動ありそうな気がする。
18歳以下というのは18歳も入ることになるが、いつの時点での18歳なのだろう。同級生でももらえるのともらえないのが出てくる。
親が失業し、進学を諦めてバイトに明け暮れている19歳がもらえないで、裕福な家で「あんた、しばらくハワイにでも行ってなさい」と国外に避難した18歳はもらえるというようなことも起きる。
受け取るのは本人なのか親なのか。18歳ともなれば一人暮らしで自立している者も多いが、そういう場合も親の口座に振り込まれるのか？
妊婦というのもずいぶん難しい判定だと思う。放射線の影響を恐れて中絶した女性などは、そのことを知られたくないだろう。また、これもいつの時点で妊娠していたのかという判定をめぐってもめるだろう。
この答申を出した委員の頭の中を覗いてみたいものだ。
ほんっとに、バカじゃないの？