2012/01/19の2

 池も川も凍る


三光神社からの帰り道、用水池に立ち寄る。連日の寒さでこの通り凍っている。

横の川もあちこち凍っている


ここはカエルが卵を産むかも……と、今からマークしている水たまりに行ってみた。ここもこんな感じで凍っている。カエルちゃんたちは冬眠中なんだろう。早く暖かくならないかなあ。

家に帰ったら、実家でインフルエンザで寝込んでいる助手さんから、明日から雪だから今のうちに買い物をしておけとメールが入っていた。
はい、そうします。

2012/01/20

人棲まぬ屋根を選びて雪積もる

予報通り、起きたら雪景色。
でも、そんなに積もらない。気温が高め(2〜3度か)だからかな。雪も水っぽい。

家の周りをよく見ると、雪が積もっている屋根と積もっていない屋根がある。積もっている屋根は人がいない空き家や別荘。
今頃、川内村でも同じように、人が戻ってこない家の屋根にはどんどん雪が積もっているのだろうな。

2012/01/21


今日は一日雪で外に出られなかった。み〜ちゃん抱いてテレビ見ている


助手さんがいなくなってそろそろ2週間。甘える膝がないので仕方なく……


な〜んかイマイチなんだよなあ、居心地が……という顔


日本マウント(不動産屋さん)のKさんがやってきた。向かいの売り家をお客さんに案内するために来たとのこと。
お客さんが来る前に、中を見せてもらった。
建物の中から見る庭。手入れ次第では、いい感じの隠居場になるかもしれない。
平屋で、750万円まで下がってきた物件。もう少し値下がりしそうな気がする。
このへんはとにかく不動産の相場が安い。300万円なんていう物件もある。
福島県内をさんざん探したけれど、数百万円でちゃんとした建物がついた物件というのはほとんどなかった。
栃木はブランドとして福島よりずっと下だったということか。でも、3.11で福島の不動産価値が暴落したから、これからは栃木や茨城が今まで以上に注目されるかもしれない。
静かに余生を過ごしたい僕らとしては、ずっと止まっていた開発ラッシュが再開されたら困るが、まあ、あんまり心配することもないかな。このへんは、もう開発し尽くされて、残骸というか燃えかすのような地域なのだと思う。
もっとも、地震や二度目、三度目の原発事故で、首都圏が壊滅したりすれば、どうなるか分からない。
富士山爆発なんてこともありえるというし……。まあ、覚悟はしておこう。

夜、NHKでやっていた『21人の輪』というドキュメンタリーを録画してあったので見た。
3.11後、相馬市磯部小学校6年生の子供たちがどのような日々を過ごしていったかを追ったもの。NHK教育でシリーズとしてやっていたらしいのだが、気がつかなかった。それの総集編バージョンのような形でNHK総合でやったのが今回のやつらしい。

見る前、正直なところ、そんなに気が進まなかった。子供を出汁にしてお涙ちょうだいものに仕上げているんじゃないかという先入観が少しあって……。
……全然違った。自然体で記録した、とてもいいドキュメンタリーだった。
途中から泣けてきて、鼻がぐずぐずになった。

磯部小学校5年生は20人いた。
3.11後、4月18日に小学校が再開したが、新6年生の教室には14人しかいなかった。
20人のうち、1人は津波にのまれて亡くなった。6人は避難したまま戻って来なかった。残った13人に、隣の南相馬市からの転校生1人が加わって14人。

まず、4月18日に小学校が再開していたという事実に驚いた。
というのは、この磯部小学校の放射能汚染は、4月の段階で0.6μSv/hくらい。これは川内村の川内小学校とほぼ同じくらいだ。
放射能汚染という点では、とても似た境遇だが、3.11後の様子はまったく違う。
川内村は30km圏で「緊急時避難準備区域」に指定されたため、学校再開できず、子供たちは、川内小学校より数倍汚染の高い郡山市内の小学校に間借りして通っていた。
川内村では津波被害はないから、家が流されたとか全壊したという家族はいない。
相馬市は海に面しているのでそうはいかなかった。
家を津波で流された子供は、総合福祉センターの集団避難所からバスで学校へ通う。
その中のひとり、みなきちゃんの笑顔がまず泣ける。
彼女の父親は仕事で相馬市を離れていて、祖父と二人で避難所暮らしをしていた。祖母は津波に流されて亡くなった。
そんな状況の中でも、愚痴ひとつ言わず、笑顔で淡々と語る少女の姿。
国よ、東電よ、原子力ムラの偉いさんたちよ、一体なんてえことをしてくれたんだ!
改めて怒りがこみ上げる。

彼女は、3か月の集団避難所生活の末に、6月半ばになってようやくプレハブの仮設へ移れた。

百子(ももこ)ちゃんの家は自営のレストランだった。
地震で建物があちこち壊れ、津波で床下浸水もした。3.11以後、働けなくなった父親を見ているのがしのびないと、3ヶ月間、レストラン再建のために手伝った。
将来は父親に料理を教えてもらってレストランを継ぎたいと思っている。
「パスタから作ってみたい」とはにかんだように言う笑顔。泣けてくる。

農家の息子・龍之介くんは、田圃の手伝いが大好きで「稲の生長を見るのが楽しい」と言う。
これが小学生の台詞だろうかとびっくり。
というのも、川内村では毎日お隣のジョンと散歩していたが、田んぼや林で子供たちの姿を見たことがなかったからだ。農作業を子供が手伝うシーンも見たことがない。
学校から帰ってくると、家の中でゲームをしているという、都会の子供たちと同じような毎日を過ごしている子が多かったようだ。
父親の農作業を手伝うのが大好きだという小学生がいることに、まずびっくりした。
泣けて泣けて仕方なかったのは、彼が見つけた「秘密の場所」を案内するシーン。山の中、水が湧き出して水たまりや沢を作っている場所。「水の音がきれいで、鳥もときどき鳴く」と淡々と解説する。
「この水が、最終的には海に流れていきます」
……ここでもう涙がど〜っと出てきて止まらない。
この子、俺と同じことをしている。山に入って、水のある場所を探して、見つけると「秘密の場所」として大切に見守る。
こんな子と一緒に山を歩いてみたい。何かを教えたり教わったりしたい。
なんていい子なんだ〜、龍之介!!

ある日、小学校の特別授業として、大学教授が呼ばれて放射線の話をした。
終わった後、龍之介君はひとりで大学教授のところに質問に行った。
「磯部地区の年間積算放射線量はどのくらいですか?」
訊かれた教授は、戸惑いながらも「2、3ミリ(シーベルト)じゃないかな」と答える。
まあ、そんなものだろうと思う。
相馬市の海沿いはかなり汚染が低かったが、それでも年間1ミリシーベルト以下というのは難しい。そんな場所は、福島県内にいくらも残っていない。
そういう場所から子供たちを避難させないのは犯罪だと弾劾する人たちもいる。
でも、この番組を見ていて改めて思うのは、生きるということは、人間が決めた単純な数値でどうこう語れるようなものではない、ということだ。
親の商売を誇りに思って、仕事を継ぎたい、お父さんのように生きたいと思う百子ちゃんや龍之介君。
これこそ、人間が生きるってことじゃないのか? 生きる価値なんじゃないのか? この子たちは、すでに自分が生きたい人生を持っていて、そのために考え、行動しているのだ。

彼らに福島を出ろというのは、親子の絆を断ち切れ、生き方を変えろ、と言っているに等しい。
百子ちゃんにとってのレストラン、龍之介くんにとっての田んぼや森の聖地は、そこにしかない。それを捨てろと言えるだけの放射線リスクが相馬市磯部地区にあるのかどうか。

ちなみに、相馬市の住民には原発の仮払い金などは出ていない。義援金も、家を流された世帯や家族が死んだ世帯中心に配られているので、ほとんど受け取っていない世帯もある。

かたや川内村はどうか。
家を失った人はいない。汚染度合は相馬市と大して変わらない。しかし、30km圏ということで仮払い金が早々と配られ、義援金も一律で配られた。 5人家族をモデルケースにすると、最低でも400万円以上の仮払い金、義援金がすでに配られた。この他に、失業補償や作付け禁止に対する補償などなど、これからいろいろ上乗せされていく。
未だに役場は戻って来ないし、学校も再開していない。
村は来年も作付け禁止にして補償金を出してくれと県や国に要請していくという。

相馬市が復興を誓って夏祭りをしていたとき、川内村で例年通り天山祭りをしようとした人たちは「勝手なことをするな」と村を出ている村民から嫌がらせを受けた。役場は「どうしてもやるなら天山祭りという名前は使うな」と言ってきた。
頑張って店を再開させたり、自分で汚染状況を調べるために作付けしたりする人たちも、さんざん非難された。
「何を勝手なことやっているんだ」「補償金を減らされたらどうするんだ」……と。

そうした図を見てきて、僕らはすっかり嫌になって村を出たのだが、相馬市磯部小学校の子供たちを見ていて、やっぱり福島に帰りたくなった。
ただ、もう川内村で何かができるとは思えない。
子供たちはいないし、大人たちは補償金の話ばかりしていつまでも目標を定めようとしない。
何かしようとする人間を、大多数の村民はじ〜っと外から観察だけしている。噂だけ流れ、みんな遠巻きに見ているだけ。
共通した目的意識がないところには、なんの連帯も活動も生まれない。エネルギーや気力を吸い取られるだけ。

しかし、村人たちはみんな「いい人たち」なのだと思う。それだけにやっかいなのだ。
もはや「いい人」でいるだけでは問題は解決しないし、村は破滅に向かう一方だ。
「いい人たち」というのは「ずるい生き方をにこやかにする人たち」「そのつながりを保つためには、あらゆる物の道理を無視する人たち」かもしれない。
別の視点からものを考えようとしない人たち。別の視点を持つことを極端に忌み嫌う人たち。
こうした「いい人たち」ぶりこそが福島を立ち直らせえない、最大の壁なのだろう。


淡々と、自分の人生を切り開こうとしている人たちと一緒にいたい。地理的・物理的に無理ならば、気持ちだけでもつながっていたい。
少しずつ、何ができるのか、どうするのがいちばんいいのか、考えていこうと思う。


ところで、愛ちゃんのロングインタビューがUストリームで見られる。74分くらいある。
でも、ぜひぜひ見てほしい。
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第1章 「いちエフ」では実際に何が起きていたのか?
第2章 国も住民も認めたくない放射能汚染の現実
第3章 「フクシマ丸裸作戦」が始まった
第4章 「奇跡の村」川内村の人間模様
第5章 裸のフクシマ
かなり長いあとがき 『マリアの父親』と鐸木三郎兵衛

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