2012/04/27

原発廃炉に向けてまずやらねばならぬこと


今朝もケ〜ンという声で、家の前にカンタローが来ていることを知る


槌田敦さんと室田武さんから同時に本と原稿のコピーが届いた。
エネルギーとエントロピーの問題に気がつかせてくださったお二人には、拙著『3.11後を生きるきみたちへ 福島からのメッセージ』を謹呈した。その返礼としてお送りいただいたもの。
むさぼるようにして読んだ。
『福島原発多重人災 東電の責任を問う  被害者の救済は汚染者負担の原則で』(日本評論社)は かなり衝撃的な内容も含まれていて、今さらながらびっくり。


本書からいくつか興味深い記述を抜き出してみる。


 原発は運転を停止している間であっても、核燃料や使用済み燃料の冷却を続けるためのポンプなどの動力、制御用のシステム、回収工事などの動力として電力を大量に必要とする。これを「所内電力」という。その量は1基あたり約4〜5万キロワットにも上る。(中略)
 2007年、柏崎刈羽原発が中越沖地震で7基全部止まったときには、約40万キロワットもの電力を東京から送らなければならなかった。それは柏崎刈羽原発が新潟県最大の「電力消費地点」になったことを意味する。そのためにも東電は、1日も早く柏崎刈羽原発を1基でも動かしたかった。
 3.11後の今も同じことが起きている。(中略)1ワットも電気を生まない福島第一と第二で、これだけの電力(約50万キロワットと推定)が消費されている。(中略)私たちが節電しているのは、福島第一と第二を冷やすためなのかといいたくなるような実態だ。
(第5章冒頭 P49 担当・山崎久隆)

 原発は、一度止まってしまえば、どんなに早くとも安全点検などで1週間程度は再稼働できない。これほど不安定な電源にいつまで依存するつもりなのだろうか。
 「脱・原発依存」という言葉は、計画停電で生産活動に支障があったと主張している経団連などがまっさきにいうべきであろう。
(第5章の最後 P57 担当・山崎久隆)

 かつて、東電の勝俣恒夫会長が総務部長だった頃、東電が自然エネルギーに取り組むことについて「自然エネルギーではだめだということをわかってもらうためです」と語ったことがある。今回もそのやり方で自然エネルギーに資金が投じられる。この資金に人々が群がって大騒ぎするが、結局は勝俣会長のいったように自然エネルギーは失敗する。これを原子力(推進側)は狙っている。
(挿入コラム「エネルギー問題」という大ウソ P135 担当・槌田敦)



2号機、4号機の破壊がどういう経過で起きたのかという点、また、福島県を中心とした汚染の実態を踏まえた上で、被曝してしまった我々が今後どのように生きていけばいいのかという点について、山崎氏と槌田氏の意見は食い違っているが、二人とも3号機が単なる水素爆発ではないという見解では一致している。
同時に手紙と資料を送ってくださった室田武さんも、やはり3号機が水素爆発などではないという見解ではガンダーセン氏、槌田敦氏らの見解は正しいだろうとおっしゃっている。

詳細はぜひ読んでみてほしい。
僕が生きている間には、本当のことは分からないかもしれない。

何がどうなっていたのかということを正確に分析・認識することはもちろん大切なのだが、今、まっ先にしなければいけないことは、エネルギー行政、原子力事故の後始末を、引き続き犯罪者たちの手で行わせてはならないということだ。一旦、原子力ムラを完全解体して、まともな人間、組織にしてから始めなければどうしようもない。
それができないというところに最大の問題があり、危険が存在している。

もうひとつ、出版されているものとして『原発廃炉に向けて ──福島原発同時多発事故の原因と影響を総合的に考える』(エントロピー学会編、日本評論社)の中から、室田武さんが担当した「原発廃炉の経済学」の最後の部分を抜き書き。

 再生可能エネルギーとされているもののうち、たとえば太陽光発電、風力発電は、全面的に天候に依存する技術です。送配電網のないところではそうした発電技術は大いに役立ちます。しかし、送配電網が整備されている地域では大きな意味はありません。むしろ高速回転する風車による低周波公害が問題ですし、太陽光パネルも寿命が尽きればゴミの山です。原発を廃炉にしてその代わりに再生可能エネルギーを、といってしまうと、それは幻想に終わります。
 太陽や風力は特殊電源として有用なのであって、常用電源としては、石炭、石油、天然ガスを中心に考え、そのうえで節電、省エネルギー、そして公害対策を進めればいいのです。


室田さんは、脱原発社会を実現するための最大の障壁は、多くの人たちが「CO2温暖化説」に洗脳され、その結果「低炭素社会」を実現せねばと勘違いしていることであって、人々がこの間違った思いこみから一刻も早く抜け出すことが必要だと説いている。
まったくもってこの呪縛はやっかいで、相当なインテリでさえ簡単に引っかかって、しかもその後ずっと強い呪縛にとらわれている。
この呪縛が続く限り、人々の「よき社会を実現したい」という思いは空回りするどころか、原子力ムラの妖怪たちに利用され、税金を吸い取られ続け、自然環境はますます破壊されていく。これではどうにもならない。
僕自身、悪人たちの所業に怒りを覚えるのは当然なのだが、それよりも、善人たちが洗脳されていることへの絶望のほうが大きい。
悪党に殺されるより、善良な人たちに殺されるほうがはるかに哀しい。阿武隈では実際にそれを経験してきた。これは太平洋戦争に突入していったときと同じような構図だろう。
権力を間違った方向に行使させないためには、善良なる人々の「数」で勝負するしかない。しかし、現代社会はその「数の力」のコントロールにおいて、利権にあぐらをかく少数権力者たちに負け続けている。
 


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