2012/09/28の2

川内村往復(承前)



家に到着。
池は水の流入は止まっていたが、抜けてはいなかった。
もっとも、もう気温が下がっていて、オタマの姿はない。もしかすると、ツチガエルのオタマは泥の下で越冬準備に入っているかもしれない。

弁天池


土手池


雨池……すべて無事


山葵池はだいぶ土砂で埋まっている。来春には底さらいをしなければ

「除染」がうちのすぐそばまで迫ってきた。
うちは「除染はしなくて結構。敷地内、一木一草伐るな」と宣言しているが、あまり言うと近所と軋轢を生むので難しい。
実際にやっているのは、家の周りの木を伐って土を剥き出しにして、出たゴミをせっせと青い袋に詰め込んで運び出す……という作業。
山際の家では、斜面ごと重機で崩して土を剥き出しにしているので、これでは大雨が来たら土砂崩れで、家がつぶされる危険性が高まるのでは? と思うようなものもある。
数メートルお隣がいわき市という場所では、境界線の向こう側は手つかず。
村人より多いのではないかと思われるくらいの除染部隊があちこちで動いていて、なんだかもう、ゲーム上の村というか、生活感もリアリティもない、異様な雰囲気になっている。
投入している金(もちろん我々の税金)が尽きればパタッとやめるのだろうが、それまではひたすら突き進むだろう。

除染される側の村人たちの中でも、反応はいろいろだ。
真剣に被曝を怖がって、「徹底的にやってくれ」と言う人もいる。
ハナから除染の効果なんてない、意味がないと知った上で、どうせやるならただで家の周囲をきれいに掃除してもらおうと、私道に新しい砂利を敷いてもらいたいとか、この木の枝が邪魔になっていたところなのでちょうどいい、切ってくれと、細々と指示を出したりする人たちもいる。これはかなり多数派だろうか。
今はもう空間線量もだいぶ下がって、村の中心部では0.1μSv/h台で首都圏並み。それよりはかなり高めのうちの周辺でも、外で0.3μSv/h以下。家の中は概ね0.2μSv/h前後。
首都圏でもこれより高い場所はいくらでもあることを考えると、やはり、この金を使うべき場所や目的は他にいくらでもあるだろうと思う。
「復興予算」のうち、東北とは無関係なところに流れている金がやたらとあることは一部の報道で暴かれているが、今も、国民のほとんどはこの大がかりな詐欺に無頓着なのではないだろうか。
「復興予算」という名目で核燃サイクル事業に金が注ぎ込まれるなどというのは、詐欺以外のなにものでもない。
「除染」にしても、火急に必要な場所、効果が見込める場所が放置され、どうでもいいようなところでマニュアル通りの「除染」がせっせと行われている。
ただ、それを言うと、村人たちからは一斉に「余計なことを言うな」とやられるだろう。
金が入る、雇用が生まれる、それはもう無条件によきこと、という生き方を続けてきた場所だから……。
そのことは3.11以前にさんざん経験してきた。

「今日はいい話をきいた。すばらしい。さっそく明日から俺もあんたの言うことをみんなに伝えるよ」とニコニコしながら言っている元議員が、翌日村に「とんでもねえやつがいる。なんとかしろ」とねじ込んでいたり、ね。 ……あくまでもこれは3.11以前の経験。今はもっと露骨なことになっていて、村の中で何を言ったところでどうしようもないと分かっている。
できることは、外から入ってくる公的資金が尽きて、静かになるのを待つだけ。それまで、致命的な自然破壊がないことを祈りつつ……。
しかし、たとえまた静かになったとしても、そのときの住民の心はもう、自力で生きていくだけのパワーを失っているのではないか。
そうなる前に、村は外から気骨ある農業人や自立経済をめざす気概と能力を持った人たちを率先して招き入れることだ。それしか、村が生き延びる道はないと思う。

道路沿いに植木を伐採している「除染」現場


家の周囲の木を伐り、土を剥いで入れ替えるというのだが、これでは土砂崩れの危険が増えるだけのような……


剥いだ土などはこの青いバッグに詰めて、村の仮置き場に運ばれる


家の周りがスッキリしてよかったよかったと喜んでいる人たちも多い


しかし、すぐ隣り、村の境界線を過ぎたいわき市側では手つかずの状態

こういう「現場」で生活していることによる精神的苦痛、ストレスのほうが、放射能云々よりよほどきつい。
あと2年、3年、こんな状況が続くのだろうか。

毎回、村に戻るたびに気持ちがどんよりしていく。


帰りは阿武隈PAで白河醤油ラーメン。これが安くてうまいのだ



PAには福島県の観光パンフがごそっと置かれていた。
11月15日まで、磐梯吾妻スカイラインなどの観光道路は無料だそうだ。秋の東北を満喫するなら今年がチャンスかもしれない。みなさん、どんどん福島を訪ねてください。

それにしても、パンフの地図に描かれたグレーの半円形が……まったくなんてことしてくれたんだ

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