2013/01/05

Daddy's Cafe 新年セッション



EWI4000Sという楽器をもっと広く世に知ってもらいたいと思い、僭越とは分かっているけれど、EWIのファンサイトというのを作ってみようと思い立った。
こちら⇒ http://ewifan.com/

僕は10月にこの楽器を初めて手にしたので、今、3か月経過したところ(なんだかすごく早い3か月だった)。
3か月しかやっていない楽器のことをあれこれ語るなんて、しかもレクチャーのノリで……なんて、とんでもないことだとは重々分かっている。
でもね、この楽器に関しては、まずはこういう楽器があるのだということを知ってもらうことから始めないとだめだと思ったのだ。
で、自分が最初に手にしたとき(3か月前)の戸惑い、なんだこれ? という疑問から始まり、やっぱりアラ還で新しい楽器は無理かなあと思いながらも、これだけ軟弱な楽器さえマスターできないとなると、もう死ぬまで新しい楽器はできないな、つまり、単音ソロ楽器を自由に演奏するということができないまま死ぬのだなぁ、と思って、僕なりにしつこく練習して、2か月目にはそこそこさまになる?ようになったという経験を、僕と同じように、一歩踏み出せない大人たちに、ちゃかちゃかっと伝えられないだろうか、と思った。

というのも、この楽器、手にして1か月目で初めて人前で(数人しかいなかったけど)吹いたのだが、そのときから毎回、いつも誰かが目を輝かせて「これ、何?」「ちょっと触らせて」「難しいの?」などと食いついてくる。
いちばん印象的だったのは、こないだ川内村に戻ったとき、獏工房の守さんちで、まもちゃんとマサイさん夫妻を前にして、こんな楽器始めたんだよ~と見せびらかしたとき。いつもクールでニヒルなまもちゃんやマサイさんが興味津々という感じで(それこそ「少年のような目」をして)乗ってきた。これは実に意外だった。
二人ともギターは弾くけれど、やっぱり「ソロ楽器に憧れていた」という思いを語ってくれた。
まもちゃんはオールキーのハーモニカを今からもう一度挑戦しようとしているようだし、マサイさんに至っては、その直後、ハードオフで中古のチェロを見つけて衝動買いしてしまったのだとか。

そうかあ、やっぱりみんな僕と同じ気持ち、子供のときからの憧れや夢をもっていたのだなあと、つくづく感じた。

僕は高校生くらいのときからジャズ、フュージョンにちょっと目覚めて、ナベサダとか、当時ちょっと売り出していたヒロシマというアメリカの日系人中心のフュージョンバンドのリーダーとかを意識して、やっぱりサックスかなあと思い、大学生のときにお茶の水の質屋で柳沢のアルトサックスを7万円で購入。
でも、1週間も経たずに諦めて5万円で転売。
……これがソロ楽器挫折の第一歩だった。
サックス(特にソプラノ)やオーボエの音色がいちばん好きで、一時期、ポール・ウィンターのような音楽活動もありだよなあ、と憧れたのだが、なにせサックスは音がでかいし、最初に音を出すまでが大変そうで、大学生の時の挫折の記憶から立ち直れなかった。

諦めきれずに、カシオのデジタルホーンなんていう、音源とアンプとスピーカーが内蔵された玩具のような楽器を買ったこともある。これはちょっとやってみたけれど、なにせ玩具っぽくて、見た目が間抜けすぎる。
この前、『マリアの父親』を読み直して、カシオのデジタルホーンが出てきたのでびっくりした。
登場人物の一人・デンチが、サックスへの夢を諦めきれずにデジタル楽器で自分を慰めているという設定……すっかり忘れていたのだ。
それくらい忘れていたのは、デジタルホーンが玩具っぽすぎたということもあるけれど、電池が液漏れして壊れてしまったのが原因。製造中止になっていて、中古を高い値段で買ってまでもう一度という気にはなれなかった。
CD『狸と五線譜』の最後に入っている『地球に生まれて』という曲の間奏は、たしかカシオデジタルホーンで吹いている。でも、やっぱり音が平板で、物足りない。
音が途切れたりして、楽器として不安定でもあった。

次に、YAMAHAがWX5というウィンドシンセサイザーの安価モデル(といっても8万円くらいした)を出したことを知り、中古で買ったのだが、どうにも馴染めずにすぐに転売。
その後、川内村で佐藤センセが「息子のWX5があるから貸してあげる」と貸してくださったのだが、これも一回音を出しただけでしまい込み、返してしまった。
その後、もう一度だけ気をとりなおして、これが最後の挑戦の意気込みでWX5の中古を再度買ってみたのだが、やはりどうしても馴染めずにまた転売。
この「馴染めない」というのは、ちょっと音を出してみただけでどうにもその気になれず、練習を始める前にやめてしまった、という意味だ。
WX5になんで馴染めなかったのか……細かいことは忘れているけれど、多分、外部音源というのが面倒くさいというのと、吹いたときの感触に吹奏楽器的な一体感(リニアで微妙なフィーリング)がないよなあ~というのが大きかった。
この頃は、ウィンドシンセサイザーをライブでやるという気持ちはまったく失せていて、録音のときに、キーボードやマウスからの打ち込みでは出せないニュアンスを入力できればいいな、と思って買ったのだが、それがいちばんうまくいかなかった。MIDI信号では空気感みたいなものを表現するのは無理なのかなあと。
特に、この頃にはもう音源がサンプリング音源中心になっていたから、ますます吹奏楽器的な感じが出にくくなっていて、マウスで入力して、波形を見ながらボリュームの値を変化させたりして追い込んだほうが結果的にはよほどうまく聞こえた、という悲しい体験を再確認するだけになってしまった。

ウィンドシンセサイザーと同じ発想で、ギターシンセサイザーも試してみた。ローランドが出している、エレキギターに取り付けて外部のシンセサイザー音源を鳴らすというユニット。これもWX5と同じように、なんとも中途半端だし、反応がリニアでない、音が安定して出てこないという理由ですぐにやめてしまった。

さらには、YAMAHAのサイレントチェロを買って、すぐに売ってしまったりもした。
これはレコーディングに使うというよりは、ライブで演奏するのを夢想してのことだ。

この日記を読んでいた人から「サイレントチェロは本物のチェロよりはるかに難しいです。あれを最初に触ったというのがたくきさんの挫折の最大の要因だと思います。今からでも遅くないですから、本物のチェロを買って始めるべきです。あなたならきっとできます」という、かなり長文の、真剣なメールをいただいたこともある。
そのかたには今でも本当に感謝している。
というのは、そのメッセージに応えられなかった自分がなんとも情けなくて、ず~~っとトラウマになっていたからだ。

で、そんなことをしているうちにアラ還となり、原発は爆発して引っ越しやらなにやらに追われる日々になってしまったのだが、去年、ある家電安売りネットショップの宣伝メールの中でいろいろ見ていて、ザフーンという楽器を知った。
竹で作ったパイプの先に本物のテナーサックスのリードをつけただけのシンプルな吹奏楽器。
もしかしてこれならできるかも、と思って注文。数千円だったので気楽に試してみることができた。
でも、これまたすぐに断念。
家で音を出した途端に助手さんから苦情。ネコが逃げるしやめなさい、と。

僕も、音が気に入らないし、なにせ音がでかすぎて、これでは練習する気にもなれないしなあ、ということで、すぐに転売。

その直後、今までは見向きもしなかったAKAIのウィンドシンセサイザーに、なんと音源内蔵、電池駆動のものがあると遅ればせながら知ることに(発売から5年も経っていたのに気がつかなかった!)。
それまでAKAIのウィンドシンセサイザーに手を出さなかった最大の理由は高価だったからだ。
10万円を軽く超える楽器をそう簡単には試せない。
それと、YAMAHAのWXに比べると「でかくて、角張っていて、うっとうしそう」だったからだ。
WXで「外部音源につなぐウィンドシンセサイザーは、結局面倒くさくて練習しない」というのが分かっていたから、WXより重量級で高価なAKAIにはハナから注目していなかったのだ。
ところがよく見ると、EWI-USBという、PCに音源をインストールして入力するやつは2万円台で買えるらしい。さらに調べたら、上位機種のEWI4000Sは、音源内蔵というではないか。5年も前に出ているのに知らなかった!!
というわけで、今度こそ最後のチャンスと、EWI4000Sの中古を買ってみたのだった。
でも、今回もまた断念して転売するのではないかと予想していた。実際、最初の1、2週間はまともに音が出せずに、挫折する気配濃厚だった。
しかし、3か月経った今は、もう一生、この楽器は手放さないと確信している。それだけ惚れ込んでしまった。これは本当によくできた楽器だ。僕のために作ってくれたのではないか、と思うくらいピッタリはまってしまった。

……と、話が長くなってしまったが、とにかくこの楽器に巡り会うまでにはいっぱい挫折があったのだということを書きたかったのよね。
で、僕と同じ思いの「大人」がいっぱいいるはずだと。
その人たちに、EWI4000Sならうまくいくかもよ、と教えたいなあ、と、心から思うのだ。
うまくて当然のプロミュージシャンより、挫折しまくりのままアラ還になった初老の男が、初めて手にしてから3か月でこの程度に頑張ってますよ、という姿を、包み隠さず見せたほうが、説得力があるのではないか、と。
だから、不遜なことも恥ずかしいことも分かった上で、敢えてこんなかっこわるい動画も晒すことにした。
言ってみれば、デジカメの「ガバサク流」の楽器版ですね。

EWI4000S、ガバッと買って、サクッと練習


しかし、サクッと動画というわけにはなかなかいかなかった。ネコどもの邪魔が入って……うううむ。
ここで時間切れ。
今夜はDaddy's Cafeで新年一発目のセッションデー。
このところ音楽では悩みが多く、今回はやめておこうかなと思ったのだが、継続こそ大切と思い直して、EWI4000Sだけをもって出かけた。

先月、先々月とも、客はふたりとか三人しかいなかった。今回もそうかなと思ったら、え? 駐車場からはみ出すほど車が停まっている。
入ったら、ほぼ満席に近い盛況ぶり。何かあったの? というくらいびっくり。

マスターからはいきなり「たくきさん、またデジタルものですか。ギターは!」と叱られるし、やれやれ。

フルートも参加。華があってよいなあ


バイオリンも!


女性Vocalはふたり
XF1の音がいいのが分かったので、これを持って行ったのだが、メモリ切れにならないよう、LX5で使っていた32GBのSDカードに入れ替えたのが失敗で、どうも相性が悪く、「カードエラー」というのが出まくり。
全然撮れない。そのうちに純正の満充電した電池も切れてしまうし、諦めた頃、カードを何度も出し入れしているうちに一瞬、うまく認識してくれて、最後のほうだけ録画できていた。
諦めてテーブルの上に放りだしたままだったので、レンズが明後日の方を向いている。主役が映っていないのは、どうぞ勘弁してくださいな>主役のかたがた

この日、初登場の Marlyn Iwamotoさん。旦那さんと一緒に来店。病気でプロ活動を休んでいて、復帰リハビリ中?とか


フルートの……なんとかさん。この前にやった『枯れ葉』がすごいテクニック満載でした


2回目のきみこ?さん。彼女はとてもいい声なので、この声を素直に生かしてほしいなあ、と



Marlynさん、この日3回目の曲。
「たくきさん、間奏どうぞ」と誘い出されたのだが、知らない曲だし、途中から転調しているみたいだし、おまけになんかPAのフェーダーが下がっていたみたいで音が出ないしで、ひやひやものだった


MG(マルチなGさん=4リズム全部できる)が『月の沙漠』をやるというので、無理に入れてもらった。
MG(お名前を知らないので、僕が勝手にそう呼んでいるだけ……すみません)とはこの夜が3回目だったけれど、一緒にやるのは2回目。今度会えたらインプロビゼーションだらけのセッションをやってみたいなあと思っていたので、『月の沙漠』をやると聞いて、これはチャンス! と。
僕としてはもっともっと自由度の高いセッションをじゃんじゃんやりたかったのだが、昨夜はちょっと遠慮してしまった感がある。MGもなんか「予定通り」の構成で終わらせようとしていたみたいで、不発のまま終わった感じになってしまった。もっともっとノリでじゃんじゃん広がっていく感じにしたかったのだけど、MGが主役のステージなのであまりでしゃばってもいけないしなあ……と、遠慮しているうちに終わってしまった。
次回はうまく乗せられるようにアプローチしてみよう。


最後のセッション。なぜか控えめなお客さんが多くて、フルートやサックスもいたのに出てこなかった。僕が邪魔だったのかなあ……と、反省。僕としても、控えめにしていたのが裏目に出て、中途半端になってしまった感が強かった。難しいねえ、こういう場は。
しかし、出ていってよかった。
乗り切れなかったけれど、毎回、いろんなことを学ぶ。
純粋に音楽以外のことで学ぶことが多いかなあ。人間関係とか、歳のとり方とか、コミュニケーションの方法とか……。
ここではあまり欲張らずに、とにかく勉強なのだ~と思って、いろんなことを感じたり、試したりする場にしていけばいいのだな。うまくいってもいかなくても勉強になるから、よほどのことがない限り、ずっと通おうと思う。
僕にとっては教室ですね、Daddy's Cafeは。

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