2013/02/04

人の営み

風邪はだいぶよくなった。
昨日から涼風号で散歩も再開。
ジャンベを使った新しい音楽を制作しようとしているのだが、気力が今ひとつわかない。
ああやって、こうやって……という手順やイメージはあるのだが、その先のことを考えてしまうという悪い癖。つまり、「創ったところでそれがなんなんだ……」と、ネガティブな思考にとらわれてしまう。

……で、このタイミングで書くべきことかどうか迷うのだが、最近、「ひょえ?」っという体験をした。

前から、うちのプロパンガス料金は高いのではないか? という疑念を抱いていたのだが、業者によって高い、安いの差があったとしても、そうそう大したことではないだろうと思っていた。
しかし、「一般社団法人プロパンガス料金消費者協会」というサイトがあって、読んでみるとにわかには信じがたいようなことが書いてある。

……自由価格なのは分かる。しかし、同じ業者が一般顧客に対して「何十種類もの料金体系を持っている」というのがにわかには信じられなかった。
Aという業者の料金のほうがBという業者より高い/安い、というのなら分かる。しかし、同じ業者が、同じ地域に住む鈴木さんちには1m3あたり350円で売っていて、隣の佐藤さんちには400円で売っている、なんてことがありえるはずはないではないか……と、普通の感覚なら思う。
しかし、このサイトでは、そういうことはあたりまえに行われているのだという。

試しに最近の料金を確認したところ、基本料金が1800円、ガス料金が553.5円/m3だった。
これは「相当高い」と判定される。
日光市は関東の中では高めの価格が定着している地域だが、それでも「適正価格」は基本料金が1500円、1m3あたり330円〜360円だという
原油価格高騰で今はもう少し高めに設定されているとしても、うちの553.5円というのは法外すぎるということになる。
そこでこの協会にフォームメールで相談してみたところ電話がかかってきて、「○○(業者名)は、∇∇営業所の人間(※栃木県外だった)を私が個人的に知っていますので、業者を変えるよりも、彼を通じて安くしてもらったほうが早いと思います」
と、信じられないことを言う。
そんなことが可能なのか? と訊いたが、自信満々で「今まで何度もやってきましたから」という。
その交渉の成功報酬などもまったく不要なのだという。
そんなことがありえるのか? と、信じられないままに、「では、お願いします」と言って電話を切ったところ、ほんの数分でまた電話がかかってきて「安くするそうです。370円/m3にするとのことです。これでどうでしょうか」と言う。
まさにキツネにつままれたような瞬間だった。
今日まで1年以上、1m3あたり550円以上の料金を支払ってきたのだ。それが、電話一本で370円にするという。
先月のガス料金にあてはめると5780円安くなることになる。今は冬だから高いのだが、月5000円安くなるとしたら、年間6万円安くなることになる。10年続けたら60万だ。
10円安くしましょうとかいうのではない。554円が一気に370円。33%OFFである。それも電話一本で……。

それでもまだ本気にできなかったのだが、翌日、業者から電話がかかってきて、
「今月はもう締めてしまいましたので間に合いませんが、来月から370円にします。それでよろしいでしょうか」
としゃあしゃあと言うのだ。
念のため「基本料金の1800円というのもずいぶん高いんじゃないの?」と言ったところ、「分かりました。いろいろ調べられているようですので、こちらも調整させていただきます」と二つ返事でOKしてきた。

電話を切った後も、腹が立つやら呆れるやら世の中がますます信じられなくなるやら……脱力してしまった。

その後、ご近所や知り合いに訊いてみたところ、ちょっと調べただけでも、最低は基本料金800円の350円/m3。かと思うと、基本料金1980円の540円/m3 というのもあって、とんでもない価格差が存在していることが分かった。

世の中、いろいろ信じられないことがある。しかし、あまりにも身近なところでのことだけに、なんともすっきりしない思いだ。
毎月、あたりまえのように払っているプロパンガス料金。ごまかしようがないシンプルな価格体系のものでさえ、これだけおちょくられているとなると、ましてや電力会社が言っている発電原価なんてものも信じられるわけがない。
(2013年2月9日 追記)
今日(2月9日)、大手のプロパンガス業者の営業が回ってきた。
そこは最近、複数社が合併したので拠点が増え、この地区も営業可能エリアになったので新規開拓に回っているという。
で、その業者の提示価格は、基本料金が1365円。従量料金は360円〜340円/m3。これだけ見れば、現在契約している業者(これも関東ではかなりの大手)がつい先日電話一本で値下げに応じた370円/m3より安いわけだが、この従量料金のうち60円が原料調整費だそうで、この原料調整費が上がれば従量料金も変わってしまう。
「今まで、いちばん高いときでいくらまで上がったのか」と訊いたところ、「100円くらいまで上がったときがあります」とのこと。
となると、400円/m3くらいはありえるわけで、この「調整費」の幅が大きいなあという印象。
とりあえず今の業者に下げさせたばかりなので、しばらく様子を見てみるつもりだ、と言ったら、あっさりと帰っていったが、なんだかんだで15分くらいは玄関前で立ち話しただろうか。
「ネットで、石油情報センター⇒LPガス で検索してみるといいですよ」と言っていた。
確認したところ、日光市の現在の価格相場は、基本料金が1500円〜2000円。従量料金が420円〜570円くらいとなっている。しかし、これはあくまでも「平均価格」であって「適正価格」とは言えない、というのが「プロパンガス料金消費者協会」の見解。
「基本料金800円、従量料金350円でやっているところがある」と言ったところ、「それはものすごく良心的な価格設定ですね。特に基本料金800円というのは、私たちでは考えられません」と答えていた。

金の話ついでに……。
録画してあった『Inside Job』というドキュメンタリー映画を見た。
日経ビジネスのコラム記事(2010年12月20日)の中で、田村耕太郎氏は、

//  インサイド・ジョブとは、「内部者の犯罪」を意味する。2008年9月のリーマンショックが引き金となった世界金融危機は、その内部にいたものが人工的に作り出した、と示唆しているわけだ。

 映画の中で、英大手紙「フィナンシャル・タイムズ」の名物論説委員マーティン・ウルフ氏が、「アメリカの金融は、国による“ねずみ講”だ」と一言で斬っている。これが映画のエッセンスである。//


……と書いている。
アメリカではときどきこういう「告発もの」映画が出てくるが、それがアカデミー賞をとったりするところが日本とはだいぶ違う。

株価とか外為とか投機とか、そういうものはかつての人間社会には存在しなかった。
僕は30代になったあたりで最初にこれを体験させられた。
20代のときにレコードデビューに失敗し、その後、仕事が全然なくて苦しんでいたときだった。
毎日、暇に飽かせて新聞を隅まで読み、折り込み広告の不動産情報などにも目を通していたので、周囲の不動産物件が急に値上がりし始めたことを察知した。
それまでは2000万円前後の戸建て物件というものがちらほらあったのが、すーっと消え始めたのだ。

金がなかった時期だったが、このままでは一生家が手に入らないまま、借家住まいを余儀なくされるという恐怖に襲われた。
今、処分しようとしている川崎市の長屋は、そのときに購入した。
2330万円だった。
他に2000万円台の物件というと、町田市の郊外(駅からかなりあって歩けない距離)の一戸建てとか、ほんのわずか。いい環境のものはことごとく3000万円以上になっていた。
25年ローンを組んで、ほとんど自己資金なしで購入したのだが、それがまるでスタートの合図のようにバブルに突入し、1年で周囲の不動産価格は倍以上になった。
3000万円台で売りに出されていた物件が平気で1億円などという狂気の価格をつけて売られている。
変な斜面にびっしりと建てられた新築物件は安いものでも6000万円台。近所のマンションは6000万〜8000万円台。ご町内の古い中古物件が1億4000万円なんていうのもあった。
計算すると、1時間あたり何万円というスピードで値上がりしたことになる。
そういう馬鹿げたことが実際に起きるのだな、ということを体験したわけだ。

信じられなかったのは、夫婦共働きで長年コツコツと金を貯めてきた中年夫婦が、高止まりしたあたりでローンを組んで新築一戸建てを購入したりするのを見たこと。1時間数万円の速度で値上がりした後に買うだなんて、今までしこしこ働いて、せっせと貯めてきた金をどぶに捨てるようなものではないか!
なんというバカなことをしているのかと驚いた。
実際、その後、バブルははじけ、あっという間に不動産価格は下落する。ローンの金利分以上に下落したから、とんでもない負債を抱えたことになる。

毎日真面目に働き、倹約して、お金をしこしこ貯めているような人たちが、超金持ちがさらに金持ちになるための道具になっている図。
これが現代社会なのだな、と理解した。

株価とか為替レートという化け物が勝手に暴走するわけではなく、当然、誰かがそういうふうに仕向けて操作している。
そういうゲームに参加するような愚かな人生は送りたくないと思う人間は、ぎりぎりのところで生活防衛という闘いをしながら、生き甲斐を見失わないようにしていくしかない。

今いるこの日光市の家は、バブル期に調子に乗って雑木林の山をひとつつぶして造成した住宅地の中にある。
手をつけたデベロッパーはバブル崩壊のときに倒産して消えてしまった。後を受けて販売しようとしたいくつかの地元の不動産屋も、破産して夜逃げしたりして、残ったのは造成されただけの土地。
購入したのは首都圏の中金持ち、小金持ち層が多く、投機目的だったのだろう。目論見が外れてそのまんま。
別荘でも建てようかなと思った人もいただろうが、建物を建てる金ができないまま、土地は塩漬けに。
安い土地に念願のマイホームを……という目的で購入した人たちだけが家を建て、住んでいる。区画は、家が建っていない空き地のほうがはるかに多い。
排水処理や道路(私道)の設置などがものすごくいい加減で、舗装されていた道はとっくに舗装が剥がれて車が通るたびにもうもうと土煙を上げる。
下水溝は空継ぎのU字溝だが、空継ぎなので、末端まで流れる前に地面に染み込む。これがまあ結果よしで、一種の地下浸透、土壌浄化みたいになっているのだが、下水溝の行き着く先は例の「復活の沢」で、その沢は田んぼの圃場整備のときに消されてしまったから、行き場所をなくして田んぼの手前にヘドロだまりを形成していた。
排水溝ルートは最後に2本になって、どちらも「復活の沢」に流れ落ちるのだが、そのうち1本は重機が入って造成したときに配管をつぶしてしまったとかで、行き場がなくなったまま。幸い、そのつぶれたルートに流れていく排水溝を使っている家は3軒だけで、しかも2軒はほとんど留守の別荘。もう1軒も夫婦共稼ぎで家にいる時間が極端に短いから、実質、排水が流れていないに近い。
もし、この住宅街に販売した区画数だけ家が建っていたら、今頃排水は処理しきれず、あちこちで汚水が溢れ、最後の沢には相当ひどい汚染を垂れ流していたことだろう。要するに設計・施工がまったくダメ。 本当にいい加減な造成をしたことが分かる。そんないい加減な開発を許可した行政にも問題がある。

そんな場所だが、このへんの「ほったらかし造成地」の中ではかなりきれいに残っているほうで、他の造成地はもっともっと荒れ果てている。
そういう造成地には、そこそこ雑木が残っているところがあるので、周りに家がない、雑木に囲まれた場所に一軒だけポツンと家がある、なんていうのならいいなあと思ったりする。

涼風号散歩で、2日連続してそんな場所を回っていた。


この「宅地造成地」ならぬ「造整地」という標識がなんとも……そうとしか表現できない場所ということか


道をどんどん進むと、最後はこんな感じ


ここも造成区画のひとつで、本当は瀟洒な家が建つはずだったのだろう


ここなどは、区画を区切る舗装道路に草が覆い被さっている


半分藪こぎのように進むと、ふっとこういう、手入れを続けている区画が現れたりする


ここも実は舗装されていて、両側は住宅を建てるべく造成された区画


ポツンと一軒。別荘のようで、人の気配はなかった


陽があたらないのでだいぶ前に降った雪が凍りついたまま。ここも舗装されている


ここで行き止まりかな? と思っても、さらに先まで道があったりする


ほらね。続いているのだよね


ここは地主が諦めずに定期的に草刈りしているのだろう。ここだけ開けていた


ここでようやく行き止まり。ここに来るまで、家は別荘の一軒だけ。後は全部空き区画


↑雰囲気が分かるように、歩いているところを動画にしてみた
もともとは雑木林だったのではないかと思うが、一度皆伐して造成してしまうと、その後放置しておいても、雑木林には戻らず、藪になってしまうのだろう。
その結果、家が建たなくても、林でもない、住宅街とも言えない、なんとも中途半端な風景になる。

それでも僕は、きれいな家がびっしり並んでいる住宅街より、こういう隙間のある、木々や草が残っている場所に暮らしたい。安くて程度のいい中古物件があったら大いに検討するだろう。
でも、残念ながら、いくら安い土地でも住むことはできない。家を建てる金は持ち合わせていないからだ。
どんな場所に建てても、家を新築するのは大金がかかる。それは無理。
だから、金がなくても精一杯自由に生きていける工夫をしていくしかない。


このページの写真はフジフィルムのXF1で撮っています

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