2013/11/15

100歳


話が前後するが、15日はある葬儀に参列するために福島に向かった。
正確には、葬儀に参列する親父と叔父の運転手代わり。
亡くなったのは親父の従姉にあたる女性で、結婚して姓は変わっていたが、鐸木家の惣領にあたる人だった。
鐸木三郎兵衛の孫(次男の長女)で、三郎兵衛が亡くなったときの隠居所・極楽院に次男一家と同居していた。
その家を訪ねたときのことは2009年の日記に書いたことがある。
その日記に「96歳になるという御当主に見送られ~」と書いているが、そのとき96歳だった御当主が100歳で亡くなったのだ。

読み上げられた弔電差出人の中に、福島県選出の参議院議員の名前もあった。福島第一原発へのプルサーマル架装を急がせた元経産省副大臣。おそらくなんの縁もなく、単に新聞のお悔やみ欄を見て秘書が機械的に出した弔電なのだろう。
思わぬところで不愉快な名前を耳にした。

戻ってきたら、フェイスブックで、目下福島に除染作業で入っている男性のリポートブログが話題になっていた。⇒これ
極めて冷静で整った文章を書いている。この人は一体どういう人なのだろうかと。
これを全部読んでしまったというある女性は「優れたルポライターが育っていく現場を見ているようだ」と評した。
僕はふと、葬儀場で読み上げられた参議院議員の顔を思い出した。あの元経産副大臣とは対極にある精神性の持主だろうな、と。



葬儀の後、遺影を撮る叔父。彼も三郎兵衛の孫のひとり

葬儀は伊達市で行われたが、その後、福島市の信夫山墓地に立ち寄った。
その端に鐸木家の墓がある。祖父母、叔母(親父の姉。生涯独身で祖母と同居していた)、お袋の骨が納められている。
この墓地は奥に行くにしたがって線量が高い。うちの墓のあたりでは今でも1μSv/h近くあるはずだ。
紅葉はいまひとつ。今年はどこもあまり美しくないらしい。

広い墓地のいちばん奥に墓がある


この下の市営住宅の一角に親父、祖母、叔母が住んでいたが、今はこんなきれいな鉄筋集合住宅になっている


だいぶ足腰が衰えてきた親父


このへん、ちょっと紅葉がきれいだった


この木は幹が面白い


久しぶり……


駐車場まで戻ってきたら日没になった。日が暮れるのが早くなったなあ

帰り道、疲れて、すべてのSAで休憩、短い仮眠をとりながら戻った。
自分も歳を取ったことを痛感する。これからのことを考えると気が滅入る。
いつまで○○ができるだろう、ということを考える。テニスはテニス肘はほぼ治ったのだが、リハビリ代わりに素振りをしたりしただけですぐに再発する。70くらいまではできるような気がしていたのだが、諦めるときがきたのかなと思う。
マイペースでならできるけれど、テニスは相手が必要だから、迷惑をかけられないし、お荷物になっている感じでは楽しめない。
演奏はまだやめたくない。でも、気力・体力はどんどん落ちている。
家の階段も登るのがきついと感じることがある。ここが普通に登れなくなるときが来るのかと思うと、ぎょっとする。
車の運転が怪しくなってきたら、生活そのものが難しくなる。それはいつのことなのか。
そうなる前にぽっくり死ねたらいいのだが。
なんとか身体が動くうちに、山の中で凍死、というのがいいかなあ、なんて、だいぶ前からイメージしている。
先日、介護施設から雪が降る夜にひとり抜け出した老人がうちのすぐそばの林の中で死んでいるのが数か月後に見つかった。そのときはただ驚いて、これが少女殺人事件などではなくてよかったとほっとしたのだが、時間が経つにつれ、待てよ、あれって理想的な死に方かもしれないなと思った。おそらく一種の自殺だったのではないだろうか。

家に戻ってからもしばらく気が滅入ってしまった。
そもそも、自分の身体がだめになる前に世の中がダメになって、老いさらばえた身で特高に捕まって投獄されるなんてことになるかもしれない。それだけは嫌だなあ。

ふと外を見ると異様に明るい。
月明かりがすごい。
死ぬまでにオリオン座のベテルギウスが膨れあがって月より明るくなるという現象は見られるのだろうか? 見てから死にたいものだなあ。


月明かりに照らされた家の周り

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