2014/12/11の2

タイムカプセル(42年もの)の中身(2)

さて、ぐちょぐちょ、というよりはドロドロになったタイムカプセルの中身をどうすべきか……。
ビニール袋から取りだそうとしても、ビニールがくっついていて取れない。そのまま捨ててしまおうかとも思ったが、念のため、鋏でビニールを切り裂いて、中身を慎重に取り出してみた。
しかし、紙類は半分溶けてパルプに戻ろうとしているような状態。
それでもしつこく、ドライヤーで温風をあてて水分を飛ばしながら、はがせる部分がないものかと探っていった。

42年も前のことだが、タイムカプセルに何を入れたのかは、おぼろげに覚えている。紙類が多かったはず。固形物は大きさ制限、重量制限で入れられなかった。だから、当時の自分を21世紀の自分(当初は2001年に掘り出す予定だった。予定通りなら40代半ばだ)に伝える情報を散りばめた……と記憶している。でも、悩んだ末というよりは、えいやっと突っ込んでいったような気がする


ビニール袋を鋏で切って開いてみたが……


紙類はほとんど原形を留めていない……絶望的な状態


ナイロン弦と鉄弦の袋が1つずつ。ギターを弾いていたんだよ、ってことを伝えたかったのかな


なんだろ、これ。まったく記憶にないが、サイモン&ガーファンクルにかぶれていたんだよ、ってことを伝えたかったのだろうね


唯一出てきた「紙以外のもの」がこれ。最初はまったく分からなかったが……



……分かった!
これはカセットテープレコーダーの録音ヘッドだ。摩耗して交換してもらったやつ。
タイムカプセルに入れるものは、重量制限があった。確か数十g。だから、固形物を入れようと思った生徒は、小物を1つ入れるのが精一杯だった。
僕がこの摩耗した録音ヘッドを入れたのを見て、たしか佐野くんが「なんでこんなもの入れるの?」と訊いてきたような記憶がある。
27年後、21世紀には、多分、テープレコーダーも進化していると思うんだよね、だから、昔はこんなものを使っていたんだよ、ヘッドがすり減るほど音楽を聴いたり録音したりしたんだよ、ってことを伝えるために……というようなことを答えた気がする。
これは多分、フェライトではなくてパーマロイヘッドと呼ばれていた金属製のヘッド。すぐに摩耗した。それにしても見事に錆びて、ヘッド部分が消滅しているなあ……。



これも最初はまったく分からなかった。なんだこれ?
でも、よく見ると、上のほうにうっすらと「レシーバー」と書いてある。欲しかったオーディオ機器の候補2機種の性能比較表を手書きで作成したものだろう。
今は、WEBサイトでクリックするとライバル機種との比較一覧表が瞬時に作成できたりするのだが、あの頃はほんとにアナログな時代だったんだねえ。



これは学園祭(聖光祭)のギター部活動スケジュールだろう。高2のとき、僕はギター部の部長だったから。
CLEFという文字が読めるが、これは多摩高校(川崎市)のフォークデュオだ。コンサートで一緒になって仲よくなり、お互いの学園祭にゲストとして呼び合っていた。
……というのを、今思いだした。というか、すっかり忘れているが、こういうものが出てきた以上、呼んだのだろう。
巨蕭(きょしょう)というのは僕がリーダーをやっていたフォークバンド。
「スーパーセッション」だとさ。きっと、ドラムの布村くんを加えて、リズム帯を厚くしてやるってことなんだろう。
いちばん下に「平岡」って書いてある。平岡くんが音楽をやっていたという記憶はない。ただ、みんなを笑わせるエンターテイナーだったから、物真似ショーみたいなのを頼んだのかな。それとも平岡くんもバンドを組んでいたのかな……。覚えてない。



これは切符ですね。多分、山手←→横浜 とか、そういう切符だろう。まだJRじゃなくて「国鉄」だった


数学の教科書を破いて入れたのかな? 授業が苦痛で苦痛でたまらなかったから


なんだこれ? 僕が描いたんじゃないような……渡辺しょーじくんが描いたのかもしれない


写真が入っていたらしいのだが、中身はドロドロで跡形もなかった


これも写真だと思うのだが、見事なまでに表面が溶け落ちてしまっている


これはなんだろう。この一部分しか読めなかった。僕の字ではないなあ。手紙っぽいけど、フェリスの女子高生からもらった「ファンレター」かな?


これはギター部が学園祭のために作った手作りの歌集。嫌だったなあ、これ


その歌集の目次。こんな歌をあの頃の高校生は歌っていたのね


歌集の扉、誰だよこんなキザなの入れたの……ああ、思い出した。2年上の小林先輩だ

……と、ぐちゃぐちゃなゴミの中からもいろいろな思い出が発掘される。じゃあ、これでおしまいにしようと思いつつ、残った泥水を吸って粘土みたいになっている紙を見やると……(続く)









神の鑿
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江戸時代天保年間、高遠藩を脱藩して南福島・福貴作集落に身を潜めて定住した謎の天才石工・小松利平。その利平の弟子・小松寅吉布孝と孫弟子の小林和平。3代続いた名石工が残した驚異的な石彫刻作品の数々を、それぞれの人間ドラマを推理しながら紐解いていく。

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