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のぼみ~日記2016

2016/11/16

アクセルとブレーキの踏み間違い事故は「踏み換える」から起きる?


ここ連日、「高齢ドライバーによる事故」が続いているというニュースが目立つ。長時間とって特集を組んでいる番組もある。
この問題はいくつかの視点に分けて整理しないといけない。
まず1)だが、これはマスメディアがよくやる「誘導」の問題。インターネットは今でこそあたりまえになって、わざわざネット犯罪が……とは言わなくなったが、ネット時代初期ではもっぱら「インターネット」が犯罪の温床のような誘導報道が目立った。
詐欺犯罪は昔からあって、それが電話が普及すれば電話で、ネット時代になればネットで、カード社会が到来すれば現金だけでなくカードを使って……と、手段が変わっていったという話なのだが、インターネットを凶器のように報道することで大衆の興味をひきつけようとしていたようなところがある。
これからの日本は超高齢化社会になるわけで、犯罪者だろうがドライバーだろうが自殺者だろうが、高齢者の比率が上がっていくのは当然のことだ。
昔に比べて高齢者の○○比率が増えているといいたいのであれば、○○の中の高齢者の数や割合ではなく、高齢者全体の中での○○の比率を見なければならない。
「高齢者ドライバーによる事故が増えている」ということでいえば、事故を起こしたドライバーに占める高齢者の割合ではなく(それは高齢者ドライバーが増えていくのだから増えてあたりまえ)、高齢者ドライバーの中での事故発生比率を見る必要がある。
下のグラフはまさにそれを表している。
高齢者による事故は増えている。事故を起こしたドライバーのうちの高齢者の比率も増えている。しかし「高齢者による事故件数の免許保有者に占める割合」は増えていない。

↑事故を起こす高齢者ドライバーの比率は横ばいかむしろ減っている
高齢運転者による交通事故件数についてみると、年々増え続けている。65歳以上の高齢運転者(原付以上)による交通事故件数は、平成22(2010)年は106,311件と、21(2009)年に比べ1.4%増加した。ただし、高齢化の影響による高齢者人口の増加によるものが大きく、高齢者の運転免許保有者に占める高齢者の事故件数の割合は、16(2004)年をピークに減少傾向にある。
内閣府ホームページより)

つまり、「昔に比べて事故を起こす高齢者が増えた」わけではない
データが少し古いのでごく最近はまた変化があるのかもしれないが、報道で「高齢者の○○が増えている」という言い方に出会ったときは、高齢者そのものが増えているのだからそれはあたりまえ、ということをまず頭に入れてから、冷静に判断する必要がある。

で、それはそうとして、2)の「高齢者特有の運転事故」問題というのは存在する。
認知症や運動能力低下で起きる事故は確実に増えているはずだ。高速道路逆走事故などはその典型。それをどう防ぐか、というのは重要課題だ。
運転技術が一気に落ちたり、認知症傾向が出てきたドライバーからは運転免許を取り上げるという議論は、この意味においては正しい。認知症ドライバーの存在は、常時飲酒運転と同じなのだから。

さらに3)の「アクセルとブレーキの踏み間違い事故」だが、これは高齢者特有の事故とは言いきれない。初心者ドライバーなどもよくやる。
これについては、運転方法そのものに問題があるのではないかと以前から思っていた。
自動車教習所ではアクセルとブレーキの踏み方をどう教えているのか?
僕が教習所に通ったのは40年以上前のことだからよく覚えていないが、いろんな人に聞くと、
「アクセルは踵を着けて爪先で踏みなさい。ブレーキは踵を浮かせて膝を動かして踏みなさい、と習いました」という人が多い。
これはダメだと思う。
実際、自動車メーカーのテストドライバーとか、プロドライバーの間では「踵は絶対に浮かすな」という踏み方が常識になっているという。
踏み替えるのに時間がかかるだけでなく、アクセルからブレーキに足を動かす瞬間は極めて不安定になるからだ。
踵を浮かしてブレーキを踏もうとした瞬間に追突されたりした場合、足の位置がブレーキの上に来る前にアクセルをドンと踏み込んでしまいかねない。
僕自身は、教習所に通っていたときからこの「踏み換える」という動作に疑問を抱き、自然とブレーキの上がホームポジションで、踵をつけたまま爪先だけを右にずらしてアクセルを踏むという運転法に切り替えた。幸い、指導員はその踏み方を咎めることはしなかった。彼らも実際にはそういう踏み方をしていたからではないかと思う。
しかし、世の中のドライバーの多くは「ブレーキは踵を浮かせて膝を動かして踏む」をそのまま実践し続けているドライバーが多いのではないだろうか。

この位置でアクセルを踏むと……



ブレーキを踏むときは左に平行移動させるため、一旦踵を離して足を浮かさなければならない



この「踏み換える」瞬間に何か衝撃を受けたり、パニクったりするとブレーキを踏むつもりがアクセルを踏みかねないので危険




プロドライバーは「かかとは浮かせるな」と叩き込まれる。アクセルを踏むポジションはこう



これだとブレーキを踏む位置が「ホームポジション」になり、かかとは離れないので踏み間違いは起きにくいし、ブレーキを踏む時間も早くなる



ちなみに、これと同じ理屈で「ワンペダル」というものがある↓。

踏めばブレーキ、アクセルは足を右にずらす「ワンペダル」も理屈は同じ


しかし、これだと改造する手間やコストの問題もさることながら、改造していない普通の車(他人の車、レンタカー、代車……)に乗ったときに困る。
この「ワンペダル」運転に慣れるよりも、「ホームポジションはブレーキで、踵をつけたままアクセルを踏む」運転法に慣れるほうがずっと楽だし、有効だと思う。

動画でどうぞ↓

これを見たプロドライバーの多くが「自分はこうしている」と証言してくれた











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