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のぼみ~日記2017たくき よしみつの日記2017


2017/05/05

『ひよっこ』に出てくる「昭和」

今期の連続テレビ小説『ひよっこ』はなかなかよいではないか。前作があまりにあまりにあまりに……ひどすぎたからねえ。
出稼ぎに出ている父親が行方知れずになって、主人公の女の子が東京に集団就職することに……就職したのはトランジスタラジオを作る工場。
時代は東京オリンピックの翌年だから1965年。昭和40年。僕は10歳、小学校4年生だったかな。
で、前作は時代考証もデタラメ、というか、まったくやる気すら感じられなかったが、今回は結構頑張っている。
主人公たちが働くトランジスタラジオ工場の場面では、ラジオマニア?たちが「あの基板はなんだ?」「妙に新しいけど……」とざわついているそうだ。

『ひよっこ』に出てきたトランジスタラジオの基板


NHKの朝ドラ「ひよっこ」。
昭和40年頃のトランジスタラジオの基板という設定。
シルクが立派だし材質もベークではなく紙エポっぽい。
ケミコンも防爆弁付。IFTはマウントが不自然。
更によく見ると中央やや下にICを挿す穴も。
がたろう 標準ロジックでCPUを作る爺‏ のツイッター

なんのことやら……。
ちょっと調べたら、基板には板の材料によって、
紙フェノール基板、紙エポキシ基板、ガラス・コンポジット基板、ガラス・エポキシ基板、テフロン基板、アルミナ基板、LTCC基板……などの種類があるそうで、昭和40年のトランジスタラジオなら安価な紙フェノール基板が普通だから、あそこに映し出された基板はもう少し後の時代のものだし、トランジスタラジオのではないのでは? というわけだ。
こうしたオタク系の話題が「基板警察」というタグでちょっと盛りあがったらしい。
昔の紙ベークの基板、あんなに薄い色じゃなく、焦げ茶色に近かったなぁ どのラジオキット使ったのだろう

ひよっこに出てくる基板、この時代だと、こんな、シルクの綺麗なよい基板だったかなぁ…とか、部品、こんなにいいものかなぁ…とか、これ、トランジスタのラジオかなぁ…とか、そんなことばかりぐるぐる。


……なんてわいのわいの。
でも、
基板警察は、基板や部品見てあーでもない、こーでもないとうるさいけど、誰よりも当時の部品、基板そのものを集めるのが困難な事を知っているので、まあ生暖かい目線で見てるよね。

……という意見に同感。

……で、ふと部屋の片隅を見るとトランジスタラジオがある。これって、いつごろのなんだろ……と手にとる。
これ、見た目よりずっと大きないい音がして、気に入っていたんだよなあ。でも、ここは電波が極端に入らないから……すっかり放置されたままだった。

コニオン? いつ買ったんだっけかなあ……安売り店で1980円くらいだったような気がするが……



合皮のケースから取り出すと、本体はこんな感じ。短波バンドがついている3バンド



単一電池×3。おお、ヘビーデューティ。スイッチを入れたらノイズが出たので動いてる



電池を抜いたら、マイナス側の端子がサビでボロッと取れた。あちゃ~



壊れたついでに裏蓋をとって中身を見てみる



これぞまさしく、みなさんが言っていた紙フェノール基板では? 濃い茶色だし

安かったので中国製だと思っていたが、部品は全部日本製っぽい



スピーカーはパイオニア製



コンデンサーは……見えないな



とりあえず、これを直しておくか……



……というわけでハンダごてを持ち出して、切れたコードを接続。スプリングの代わりがなかったので、厚紙を蛇腹に折って詰め込んで応急処置



こうやって新たにつけたコードを引っ張りだしておいて……



隙間にボール紙をつめてなんとかした



ここまでやったら、このラジオの正体を確かめたくなった。
検索したら、

↑こんなのが出てきた。まさにこれだわ。

あと、⇒これも。

さらに調べると、CONIONというのは神戸にあった(今も?)コニー音響株式会社というメーカーのブランド名で、中国製ではなかった。
立派なメーカーだったのね。まさに『ひよっこ』の主人公たちが就職した会社と同時代、同規模のメーカーではないか。

海外のサイトでは、このラジオの製造年は推定1969年となっていた。そんなに古いものをなんで新品で買ったんだろう。
助手さんに確かめたら、「あなたが久末から持って来た」という。つまり、結婚したときにはすでに持っていたのだと。
……となると、高校生くらいのときに買ったのかなあ。
売れ残っていたのを叩き売りしているのに遭遇して、見た目のしっかり感のわりには安いと思って買ったのかもしれない。
今も残っているんだから(しかもしまい込んでいたのではなく、仕事部屋の片隅に出ていた)、多少は愛着を持っていることは間違いない。
そういえば、ものすごく昔に、アンテナが折れて、短いアンテナをどこかから手に入れて付け替えたのも覚えている。秋葉原でパーツとして買ったのだったか……ということは、学生時代にすでにアンテナが折れて修理していた……?

今回は2度目の修理だったわけか?

ちなみに、去年くらいだったか、今市のカンセキで似たようなラジオをやはり1980円くらいで売っていて、「災害時のために」と衝動買いした。それと比べてみると……

これが最近購入した同じくらいの大きさのトランジスターラジオ。これは中国製。中国では今も昭和40年代の日本みたいな感じで、若い子たちが工場でこういうものをせっせと作っているんだろうか。今はむしろバングラデシュとかインドネシアとかに移っているのかもしれない



単一電池×4本!!


同じようなものだけど、味がないというか、性能は1969年製のコニオンのほうが断然いいかもなあ……。
あの頃の日本企業は頑張っていた。今の日本は……?
東芝があのザマだしねえ。真面目に働いている現場の人たちが可哀想すぎる。
この国は、ここ50年でいろんなものを失ってきたんじゃないだろうか。
政治家が世襲のぼんぼん議員ばかりになり、まともに「生活」をしないまま、つまり社会生活というものを知らないまま権力を握った大人になっているのではないかという気がする。




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