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のぼみ~日記2017たくき よしみつの日記2017


2017/05/18

ナガミヒナゲシ考


ん? これが噂のナガミヒナゲシかな?

最近、よく聞く「ナガミヒナゲシ」という名前。「異常繁殖して周囲の草花を枯らす悪魔のような花なので駆除してください」というような話として出てくる。
鮮やかなオレンジ色の花はよく見る。でも、冷静になると、うちの周囲ではたまに見る程度で、少なくともハルジオンやフランスギクのように群生しているのは見たことがない。
先日もレオとちんたら散歩しているときに目に入ったので一応写真に撮っておいたのだが、その後、気になっていろいろ調べているうちに「ほんとにナガミヒナゲシだったのかしら」と思い、翌日確かめに行くと……もう見あたらない。花が終わったのか誰かが抜いたのか……。

これ? この写真だけだと葉も写っていないのでよく分からないから……と、翌日見かけた場所にいってみたが、もうなかった



これも? こっちはどうも違うような……。背が低いし、小さいし……



これは明らかに違うねえ。ボケ! これを忘れるなんて、ほんとにボケたなあ、あたしは……怖いわ



群生っていうのはこういうのをいうんだろうねえ



? 畑にこれだけ一斉に咲くというのは、緑肥目的で種を撒いたのかなと思うほどだが、キツネアザミという種らしいので、それはありえなさそう。自然にこうなったんだろう



アレロパシーといえば、オオカミ池に繁茂しているこの草がよく分からない



水中からもしっかり生えているのだが、水草のつもりでこのままにしておいていいのか? なにか毒性を持っているのか? この状態では無害でも、ホテイアオイのように冬、枯れてしまうと毒になるとか?? 



根っこはかなりしっかりしていて、横にも伸びてどんどん増えている感じだが……(追記)武田院長によれば「ミズユキノシタ」ではないかと。念のため、今年の冬前には葉っぱ部分は除去しよう
ナガミヒナゲシについては興味深いページを見つけた。
東京農工大学大学院農学府教授(国際生物生産資源学教育研究分野・国際環境農学専攻)という肩書きを持ち、アレロパシーの権威?である藤井義晴教授とのやりとりを紹介している。
教授、「個人で作られているサイトに大学から情報をだしてもよいものかどうかわかりませんが、とりあえず個人的な情報として……」と、いろいろ書いてくださったそうで、親切だなあ……藤井教授。ちなみに僕と同い年らしい。

かなり詳しく⇒こちらに情報がまとめてあるので、興味のある方はそちらを読んでいただくとして、目にとまった部分をちょっとだけ引用させてもらうと……。
交差点でよく見かけるのはなぜ?

実ができるのがちょうど梅雨どきで、その雨で車のタイヤにくっついて道路沿いに広がっていると推定しています。
このような特性が都市の道路沿いに広がっている原因と思われます。


ナガミヒナゲシのアレロパシーについて

アレロパシーは私の専門分野で、その活性を自分達が開発した「プラントボックス法」や、「サンドイッチ法」という方法で検定しましたところ、相対的には強い活性がありました。
ただ、この話が一人あるきして、周辺の植物をアレロパシーでばたばた枯らすように思われているようですが、それほど強い現象ではなく、生育を少し阻害する程度と考えています。
たしかに、ナガミヒナゲシや、他のアレロパシーが強い植物で、周囲に他の植物が少ない現象が見られますが、それは、ほとんどが光の競合によるもので、アレロパシーの寄与はその一部と考えています。
ただ、このような光の競合が強い被覆植物で、アレロパシー活性が強いものは、他の植物の生育を抑制する可能性があると考えています。
ナガミヒナゲシが在来種に及ぼす影響については、今後研究しないわかりませんが、個人的にはそれほど影響がないのではないかと考えています。
ぐにらぼ 「ナガミヒナゲシは本当に駆除したほうがいいの!?危険外来種って何なのだ!」 より)

ちなみに「光の競合」というのは、「日光が当たる箇所を植物同士で遮光してしまい、光合成がうまくできなくなってしまう現象」だそうだ。

アレロパシーは単純に「悪」と決めつけられない


さらに興味深かったのは、アレロパシー(他感作用)とは、「ある植物が他の植物の生長を抑える物質(アレロケミカル)を放出したり、あるいは動物や微生物を防いだり、あるいは引き寄せたりする効果の総称」ということで(Wikiより)、単純に悪いとかいいとかいえない、ということ。
ぐにらぼのページでも紹介されていた「日光種苗株式会社」のサイトによれば、クローバーなどのアレロパシー作用を活用して、雑草除去作業の軽減や、緑肥として利用することで化学肥料や除草剤の使用を減らすという無農薬農業の発想もある、とのこと。
なるほど、簡単にいいとか悪いとか悪魔だとか、決めつけられないのだなあ。

で、改めて我が家の周囲をナガミヒナゲシを探して歩いてみたのだが、なぜか見つからない。今までちょこちょこ目にしていたものはなんだったのか?
似て非なるものだった可能性もある?


改めて隣の草むらを丹念に探してみたが、一昨日あたり見たと思ったのに、今日は全然見つからなかった



こんなのとか……ニガナ……



こんなのとか……えっと、カタバミだっけ? (オッタチカタバミでは、と武田院長より)



こんなのとか……



陽当たりの悪いかわず庵の庭にも見つからず。サギゴケはいっぱい



陽当たりがいちばん悪い方舟のスポットに一輪だけこれが……



ほぼ一日中陽があたらず、コンクリートで固められているカーポートのわずかな割れ目からタンポポが頑張って生えている。ここでもナガミヒナゲシの姿はない

なるほど、少なくとも我が家の周辺を見ている限りは、ナガミヒナゲシの脅威というのは感じられない。
「この話が一人あるきして、周辺の植物をアレロパシーでばたばた枯らすように思われているようですが(略)個人的にはそれほど影響がないのではないかと考えています」……という藤井教授の話は頷ける。
群生しているのはナガミヒナゲシではなくハルジオンやフランスギクで、それも他の草花と混在している。
滅茶苦茶生存が厳しそうな陽当たりの悪いコンクリートの隙間から生えてくるのもナガミヒナゲシではなく、タンポポやスミレだったりする。
大魔王ナガミヒナゲシがやってきて、他の草花をバタバタと死に追いやる……なんて図は、我が家の周囲には展開していない。
ナガミヒナゲシが目立つ場所というのは概ね都会で、ナガミヒナゲシが出現する前にすでにほかの野草が消えてしまっている場所なのではなかろうか。だからナガミヒナゲシばかりが目につくのではないか……?
なんだか、考えれば考えるほど、一種の都市伝説みたいなものに多くの人が乗せられているんじゃないかとも思えてくる。学識者や自治体までが「危険だ」と主張するわけだから、いわゆる(嫌いな言葉だが)ちょっと「意識高い系」の人たちが連鎖反応的に「美しさに瞞されないで! 抜いて!」と叫ぶ……。少しでも異論を挟めないような雰囲気が形成されていく。
CO2温暖化説やピロリ菌の恐怖……みたいなものかもしれないなあ……と。

そんなことよりも、人間が作ったソーラーパネルが里山エリアの山の斜面や草原を根こそぎ消滅させ、草花だけでなく動物も地域絶滅させていることのほうがはるかに大問題だ。

いやはや、自然観察とか自然との共生って、一筋縄ではいかないなあと勉強させられたのであった。

だいぶ散ってしまっていよいよ見納めの桐の花



来年はさらに大木になっているのだろうか……


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