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のぼみ~日記2017たくき よしみつの日記2017


2017/11/08

ミニスピーカーと格闘する(3)


右の黄色いサランのついているのが100円で落札したケンウッドのスピーカー。左はチボリを仮組み込みした新スピーカー。

さて次は、完成品であるケンウッドのスピーカーに無印10cmを組み込めるかどうか……。その前に元々の音を確認しなければ、というわけで、届いたスピーカーをそのままアンプにつないで音を出してみたら……。

ケンウッドのスピーカーをそのまま鳴らしてみると……
え?!
なにこれ、いいじゃん。もしかしてタンノイよりシャキッとしていて「いい音」なんじゃないの?
特に欠点が見つからないほどちゃんとしている。強いていえば、少しドンシャリ(死語?)っぽい感じがするのと、中音にふくよかさが足りないような気がするくらい。でも、それも意地悪な聴き方をすれば……という程度。
これはバラすのはもったいないと思い始めた。

サランネットを外したところ。ユニットに傷みなどはない。



ウーハーを外してみる。ドシッと重たい、しっかりしたユニットだ。重量級のマグネットが二重についている。


AIWAのスピーカーも登場


そこで急遽、助手さんのPCにAIWAのミニスピーカーをつないであったことを思い出して、その箱を使えないかと持って来た。
これはタンノイより前に買った安いミニコンポについていたもの。しばらく天井から吊してテレビの音を出していたのだが、ドンシャリで、歪みっぽい音が気になって、思いきってタンノイに交換したのだった。
だから、そのままの音はダメなことは分かっている。でも、一応確認……。
まあ、悪くはないけど、やはりちょっと歪みっぽい。それでも昔より気にならないのは、それだけ僕の聴力が衰えているということなのだろう。

このスピーカーはユニットを交換できないかと思って、前にもバラそうとしたことがあるのだが、バッフルがテコでも外れずに諦めた記憶がある。
そのときにドライバーでこじった跡も残っている。
今回も再挑戦したが、やっぱり外れない。でも、もうこれだけスピーカーが集まってきたんだから、壊してもいいや、という気持ちで、強引に引っぺがした。
なんと、ボンドで固められていた。外れないわけだ。
なんとか外してみたが、つなぎ目がずいぶん傷ついて汚くなった。

なんとか前面バッフルを取り外した……というか引っぺがした。なんとこれはバッフルというよりは化粧カバーで、バッフルはその下にプラスチック製のがついていた。



ウーハーを外す。なんか貧弱なネットワークが見えている。



外したウーハーユニット。ユニットはきれいで素敵なんだけどね。いいネットワークと一緒に使えばいい仕事をしそうな気がする。



フルレンジユニットにするので、この貧弱なネットワークは不要。線を切る。



で、寸法を測るつもりで軽く無印10cmフルレンジをあててみたら……あら? なんかそのまま……スポッと収まってしまったではないか! こんなことってあるのか? L型に飛び出しているビス穴金具も寸分たがわず合うのだ。



というわけで、見事にピッタリ収まった! 前面の化粧板もグイッとはめ込んで完成。



さっそく音出し。おお! 断然いいじゃないか。これで3セットできあがった。前のタンノイも入れて4セット……どうする、これ?


さて、困った。
4セットある中からどれを採用すればいいのか? どれも悪くない。悩んだら……いちばんお金がかかったチボリかなあ。
……とチボリを聴いているうちに、どんどんよくなってきた。やはり、エージングが必要だったのだろう。
特に低音は鳴らせば鳴らすほど出てくる感じ。中音部も抜けがよくてストレスを感じない。
というわけで、採用はチボリに決定。他の諸君も大健闘だったので、しまい込むのがもったいない。かといって、傷だらけだし、売るにも売れない。

メインのモニターは今まで通りneim audioのアンプ+Mission 700LEという英国コンビ。これはほぼ不動。
このメインモニターでミックスダウンした音を、PCに持って来て動画に組み込む作業などをしているときに、あまりに音が違ってくるので困惑していたのだが、その違和感も改善されそうだ。

スモールモニターというのは難しい。
ただ「気持ちよい音」を求めるならバックロードホーンの抜けのよさは癖になるくらいの快感だが、一般的なオーディオ環境と違いすぎるのでモニター用には使えない。
最近はスタジオに入っていないので分からないが、かつては日本中のスタジオで、スモールモニターといえばオーラトーンという時代があった。
これは、なぜこれがスタンダードになったのか分からないほど貧相な音のスピーカー。その貧相さが、ラジカセやトランジスタラジオ、テレビの内蔵スピーカーで聴く場合のバランスを知るためによいのだ、という説明もあった。
その次に出てきたのがYAMAHAのNS10M(通称「テンモニター」)というモニタースピーカー。
これは密閉型2WAYで、大音量で鳴らさないとバランスがよく分からない。
大音量にしても、中音の抜けが悪く、高音部がきつく聞こえるので僕は嫌いだった。スタジオモニターのスタンダードということで1セット持っているんだけどね。今もあるけど、全然使う気がしない。
ほぼ同じサイズのMISSION 700LEのほうがはるかにいい。NS10Mの低音が詰まったような窮屈さがなくて、中音もクリアに聞こえる。

NS10Mに関しては、いろんなスタジオのエンジニアに訊いて回ったことがあるけれど、誰一人「いい」とか「好きだ」とは言わなかった。高音がきつすぎるといって、わざとバッフル部に隙間を作ってみたり、ツイーターにティッシュをかぶせたりしている人までいた。そこまでしてなんで使うの? って思う。

そんなわけで、「スタジオのスタンダード製品」信仰を僕はあまり信じていない。

今回はひょんなことからチボリオーディオという個性的なメーカーのユニットが手に入ったことで、面白いセットができあがった。
小音量で聴いても音のバランスが崩れないし、中音の自然さ、抜けのよさが気持ちよい。
2Wayのシステムに比べて、ダイナミックレンジというか、音量の大小の差がすごく気持ちよく再現できる。2Wayシステムはなんかコンプレッサーがかかったような音になる。だからガチャガチャした音楽を大音量で鳴らすと、迫力は出るのだが、ナチュラルな楽器やVocalを自然な音で再現するのが苦手。

新しいチボリのスピーカーは、夜中に小さな音で鳴らしていると、えも言えぬ幸福感を得られる。これは本当にやってみてよかった。
EWIのヴァイオリン音源がとても美しく、自然に、素直に聞こえてくるのも嬉しい。

これでもう死ぬまでオーディオには手を出さないで済むかな?


新しいPCオーディオ環境。のぼるくんが身体をすりつけて匂いづけするので、スピーカーネットを取り付けるべきかどうか悩んでいるところ。このままでも十分いい感じの絵なのだが……。








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