阿武隈日記 07/05/04の4
二つの八幡神社(4)
石工の名前は鈴木次郎兵衛。僕の養父の祖父は鐸木三郎兵衛という名前なので、親近感を覚える。
この石工、とにかく技術が凄い。明治30年というと、福貴作を拠点に小松寅吉布孝が活躍していたときだが、その時期、広野では鈴木次郎兵衛がこれだけの技術を持っていた。技術は寅吉に勝るとも劣らないレベル。オリジナリティもすばらしい。これだけの石工は全国的に見ても、狛犬史の上でも、何人もいない。
足の先もこれだけ丹念に彫り込んでいる。「狼爪」もついている↑ こだわりの石工なのだなあ。
阿像の口。舌がリアルに彫り込まれている。口の中に珠を入れて動くようにする……という技法がこのエリアでは流行っていたようだが、この舌を彫り上げた技術のほうが凄い。
吽の歯ですら、これだけきちんと彫っている
尾から後ろ脚に流れる毛並み。丹念な上に、美的センスも大したもの。
前回は雨でよく見られなかったが、今回、改めてこの石工の腕のすばらしさに感嘆した。これだけの石工だから、他にも作品が残っているのではないだろうか。双葉エリアでは鈴木次郎兵衛の作品発掘という新たな目標ができた。
■Data:楢葉八幡神社(福島県広野町上北迫)
ο明治30(1897)年9月建立
ο石工:当地石工鈴木次郎兵衛 ο奉納者:三浦源吉・竹之
ο撮影年月日・07年5月4日。
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