あなたの知らない「彫刻屋台」の世界

鹿沼の彫刻屋台を深く楽しむ

「屋台のまち中央公園」という展示場で最初に彫刻屋台を見たときは本当に驚きました。
こういうものがあったのかという驚きもさることながら、なぜこれだけのものが世に知られていないのだろうという疑問を抱きました。
これらの彫刻屋台が繰り出される「鹿沼秋祭り」における今宮神社への「繰り込み」(神社境内に屋台が集合して祭りの開会を宣言する行事)は、平成15年に国の重要無形民俗文化財に指定され、さらには他の地域の祭りと一緒に鹿沼の秋祭りがユネスコ無形文化遺産に「山車・やま・屋台行事」として登録されることになり、ようやく注目を集め始めてています。しかし、これはあくまでも「無形」文化財としての指定で、彫刻屋台そのものを美術工芸品として指定したものではありません。彫刻屋台そのものの美術工芸品としての評価はまだまだ低すぎると思います。
彫刻屋台そのものをアートとして見直したいという思いから、2016年から「彫刻屋台図鑑」シリーズを編纂し始めました。第一弾として『鹿沼の彫刻屋台』を128ページフルカラー写真集としてまとめました。

B6判・132ページ フルカラー オンデマンド 1480円(税別) 送料220円
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鹿沼の彫刻屋台とは何か?


下材木町の彫刻屋台 天保3(1832)年製作


銀座2丁目の彫刻屋台 安政4(1857)年製作

彫刻屋台の歴史

屋台は当初、氏神へ踊りを奉納する舞台として、移動式の簡素な台として造られたようです。そこに囃子方や踊り、狂言などが入り込み、次第に大型化。黒漆塗りにしたり、一部を彩色したりしていましたが、日光東照宮の造営に全国から集まってきた宮大工や彫刻師、彫金師などが鹿沼宿に滞在しているうちにこの地に住み着くものも現れ、その職人の血筋を受け継いだ子孫が、仕事のない冬場などにこれらの屋台に遊び心で装飾を施すなどをしているうちにどんどん技術を競うようになって、現在のような「彫刻屋台」に発展したようです。
途中、江戸幕府の天保の改革(1841~)によって華美な風俗が禁止されると、「それじゃあ色をつけなけりゃ文句はあるまい」と、白木造りにして、彫刻の技術をさらに競うという形になったようです。
お上のくだらない「禁止令」に反発して、庶民が知恵と根性で職人魂や遊び心、美的センスを爆発させた結果がこの「彫刻屋台」という不思議な造形物です。その物語にも、現代に失われつつある貴重な精神を感じます。

鹿沼市観光協会のサイトによれば、秋祭りに繰り出される今宮神社氏子町の屋台が27台。それ以外にも、鹿沼市内には楡木町(にれぎまち)に3台(うち1台は山車)、上大久保(かみおおおくぼ)に1台、栗野神社大祭に繰り出される7台の合計38台の屋台が現存しているそうです。
他に、今市や宇都宮市の徳次郎町や石那田地区にも複数台の立派な彫刻屋台があり、車輪のない固定式の「天棚」と呼ばれるタイプも含めると、栃木県内には相当数の彫刻屋台類が現存します。

鹿沼市内で普段見られる屋台は、屋台のまち中央公園の展示室に展示してある3台(銀座一丁目、銀座二丁目、久保町)、通りを挟んで斜め向かいにある仲町屋台公園の1台(仲町)、少し離れて「木のふるさと伝統工芸館」に展示してある1台(石橋町の屋台)、そして、鹿沼市文化活動交流館に入れ替えで展示されている2台くらい。
他は保管庫に眠っていて見られません。
祭りのときも、喧噪の中、一種の興奮状態でいることが多いので、屋台の彫刻をじっくり観察することは難しいでしょう。
また、氏子町の27台全部が出てくるわけではありません。資金不足・人員不足で、泣く泣く出すのを諦める町内会もあります。
ということは、すべての屋台をきっちり見るのはかなり大変なことです。

彫刻屋台の奥深さを楽しめるように、ここに彫刻屋台の写真を多数置いています。
なお、祭りのときの写真や動画には数多くの人たちが写り込んでいます。そのため、ずいぶん多くの写真を没にしましたが、この程度はいいだろうと思うものは載せています。ぼかしを入れたりするのはむしろ失礼だと思いますし、祭りや屋台の魅力がきれいに伝わらないからです。
どうぞご寛容に接してくださいますようお願いいたします。
「あ! これは俺だ」「これは私みたいだわ」「ほしいな」という写真がありましたらご自由にダウンロードしてください。もちろん悪意のある転載などは困りますが、普通に個人で「楽しんで」いただける範囲内でしたら、ご自由にお使いください。
また、ここに自分が写っているのは嫌だというご本人や関係者のかたは、お知らせくだされば削除します。

鹿沼の屋台に関しては、私は屋台を創作したかたがたや、保存に携わっているかたがたに最大限の敬意を払っています。みなさんも一緒に鹿沼彫刻屋台を全国区にする活動を盛り上げていきましょう。

※屋台の写真の分類・整理は徐々に進めていきます。現在、1000枚以上の写真を掲載しています。今後も更新していきますので、ときどき覗いてみてください。(since 2012/10/16  last updated 2016/11/16)

New! 2014年秋祭りの写真を日記にUPしています。⇒こちらからどうぞ
下の各町のページの下にあるリンクからも各町の2014年版の屋台写真がご覧になれます

目次

各氏子町別の屋台 写真集

New!    2014年秋祭りの写真集

麻苧町  銀座一丁目  銀座二丁目  蓬莱町  石橋町  泉町  上材木町  久保町  中田町  下田町  下横町  末広町  天神町  戸張町  鳥居跡町  下材木町  寺町


■下組 7町
■田町下組 6町
■田町上組 7町
■上組 7町

『彫刻屋台図鑑01 鹿沼の彫刻屋台』

写真・文:たくき よしみつ 写真:鐸木郁子  ユネスコ無形文化遺産に選ばれた鹿沼秋祭りに参加する全27屋台をフルカラーで詳細に紹介。彫刻屋台そのものを「アートとして」認識し直そうという意図のもと、個々の彫刻意匠に焦点をあてたユニークで豪華な写真集。
鹿沼の彫刻屋台
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兄弟サイト 「今市の彫刻屋台を深く楽しむ」こちら

鹿沼の屋台に勝るとも劣らない、宇都宮市徳次郎の彫刻屋台の紹介はこちら

祭りの動画

日記で紹介


関連サイトリンク



■主な更新記録

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