2012/07/01
大飯原発再稼働の大憂鬱
毎週金曜日の夕方、首相官邸前で原発再稼働反対のデモが行われている。
そのことを長い間マスコミは伝えなかったが、6月には数万人規模に膨れあがってきたので無視できなくなってきた。
それでも読売グループは今なお一切無視している。
7月1日から再稼働させるという大飯原発の前には、数百人規模で人が集まり、「再稼働反対」の大合唱をしている。
ジャンベやドラムセットを持ち込み、うねったリズムを作りだすという、今まで日本ではあまり見られなかったようなデモ、というか、集会。
これもマスコミからはほとんど無視されている。
NHKでは国内向けには流さず、海外向けにはちょっと伝えていたりする。
Uストリームでは、現場に乗り込んだ人たちが撮った映像をライブで流している。
Video streaming by Ustream
そもそも、大飯原発というのはこんなとんでもない地形の中に位置している↓
福島第一原発↓と比べてみると、いかにまずい地形かが分かる。
福島第一は、ほぼまっすぐな海岸線に整然と原子炉が並んでいた。
陸側には大動脈である国道6号線が走っていて、原発敷地周辺も整備され、開けている。
何かあった場合、陸側からも海側からもすぐにアクセスできる地形だった。
そういう「整った地形」に位置する福島第一でさえ、一度手がつけられない事態になると、あのざまだったのだ。
大飯原発で福島第一と同じレベルの事故が起きたら、瓦礫の山と放射能で、唯一ある狭い進入路はまったく使えなくなり、ただただ爆発・崩壊を続ける原子炉を離れたところから見ているしかできなかっただろう。
しかも、福島第一に「さえ」あった重要免震棟がないのだ。指揮する前線基地が置けないということだ。
そんな場所に原子炉を置くこと自体が間違っていた、ということを福島第一原発の爆発・崩壊は徹底的に教えているのに、何にも考えず「もしものときは私が責任をとる」と間抜けなことをしゃあしゃあとぬかしてくれる我が国の首相。
それ以上に犯罪的なのは経産省と電力会社。
Googleの航空写真↑で見ると、さらに臨場感を持って、現場の地形が分かる。こんなすぐそばまで白波を立てる海が迫っているのだ。活断層もあるし、津波が来たらひとたまりもないことは誰の目にも明らかではないか。
小沢グループが何人造反するでしょうなんていうショーをやっている場合ではないのだ。
そもそも小沢は原子力政策についてなんにも語っていない。この時期にだ。
民主党がもうおしまいなのははっきりしているが、それに代わるものがまったく見あたらないという悲劇。
……で、こういうどさくさに、政府や電力会社が何をやっているかというと……↓
↑ざけんなよ、である。
誰がこんなことを許したというのだ。
「育エネ」だと?! ふざけるな。
庶民からはいくらでも金が取れると思っている連中の厚かましさは、地球の裏側までメルトスルーしてもまだありあまるくらいの厚みがあるのだな。
エネルギーを育てる? まさに詐欺師のたわごと。
金がかかってしまうというのは、それだけエネルギーを使うからだ。
エネルギーを使ってエネルギーを得る。エネルギー事業というのはそういう性格のものだが、投入するエネルギーが大きく、得られるエネルギーが小さい、あるいは質が低い(利用価値が少ない、利用できる柔軟性に欠ける)ほど高いものにつく。こんな単純なことくらい、もっとみんな理解してくれよ、と言いたい。
↑この文言、どこかで聞いた覚えはないか?
そう、原発推進のためのPR文句そのものだ。まったく同じ手法で、また金を巻き上げ、なけなしの国土、国力を弱らせ、自分たちだけボロ儲けしようというのだ。
裏を見てみるといい↓
いっぱい電力を使う企業ほど負担を減免されるというのだ。
こんなバカげたことを堂々と出してくる経産省や電力会社。まだ解体できない金の亡者・妖怪どもの思い通りに金を巻き上げられる世の中。
「原発でヘマしちゃいましたが、それに代わる新しい詐欺ビジネスを着々と進めますから大丈夫ですよ」
「じゃあ、よろしくね。今度は簡単には尻尾を出すなよ。こっちだって初期投資半端じゃないんだから、しっかり儲かるまでは持ちこたえられるようなうまい嘘を頼むよ」
……こういう話なのだ。
税金だの電気料金だのに組み込まれると、我々は拒否することができない。
耐えられないなあ。
今の日本の産業界に残された道ははっきりしている。
- 廃炉技術を磨き、福島第一の後始末に全力を注ぐ
- 国内すべての原子炉、再処理施設を安全・迅速に閉鎖、封じ込める
- そのための技術開発には、金も人材も惜しまず投入する
- 省エネ技術開発を進め、世界に先がけて「エネルギー消費を減らしても技術大国としての地位は揺るがない」ことを証明する
- 大量生産・大量消費が生み出した幻想の幸福感ではなく、健全な生態系の中でそこそこ平和に暮らしていける精神文化を築き、発展させる
そのためには、まず、悪党たちをトップの地位から一掃することだ。
人殺し・犯罪者がいつまでもいいように国民から金を巻き上げ、好き勝手をやれる国でいいはずがない。
たくき よしみつ 新刊情報
『3.11後を生きるきみたちへ ~福島からのメッセージ』(岩波ジュニア新書)
|
『3.11後を生きるきみたちへ 福島からのメッセージ』(岩波ジュニア新書 240ページ)
『裸のフクシマ』以後、さらに混迷を深めていった福島から、若い世代へ向けての渾身の伝言
第1章 あの日何が起きたのか
第2章 日本は放射能汚染国家になった
第3章 壊されたコミュニティ
第4章 原子力の正体
第5章 放射能より怖いもの
第6章 エネルギー問題の嘘と真実
第7章 3・11後の日本を生きる
■今すぐご注文できます
で買う
⇒立ち読み版はこちら
|
|
『裸のフクシマ 原発30km圏内で暮らす』(講談社 単行本352ページ)
ニュースでは語られないフクシマの真実を、原発25kmの自宅からの目で収集・発信。驚愕の事実、メディアが語ろうとしない現実的提言が満載。
第1章 「いちエフ」では実際に何が起きていたのか?
第2章 国も住民も認めたくない放射能汚染の現実
第3章 「フクシマ丸裸作戦」が始まった
第4章 「奇跡の村」川内村の人間模様
第5章 裸のフクシマ
かなり長いあとがき 『マリアの父親』と鐸木三郎兵衛
■今すぐご注文できます
で買う
⇒立ち読み版はこちら
|
「ガバサク流」推しのデジカメ パナソニックLX5
撮影サンプルは⇒こちら
一つ前へ abukuma.us HOME takuki.com HOME
次の日記へ
↑タヌパックの音楽CDはこの場で無料試聴できます
Flash未対応ブラウザで、↑ここが見えていない場合は
|
(バナナブックス、1700円税込)…… オールカラー、日英両国語対応、画像収録400点以上という狛犬本の決定版。25年以上かけて撮影した狛犬たちを眺めるだけでも文句なく面白い。学術的にも、狛犬芸術を初めて体系的に解説した貴重な書。
で注文
|
狛犬ネット入口目次へ