2012/08/03
なんということ!! 産んでいた!!
百合丘から運んできた荷物の大半は、そのまま川内村の倉庫行き。2か月ぶりに川内村へ。
原発避難区域で避難した人たちへの高速道路無料処置が6月30日からまた変更になり、矢吹ICも対象になった。これで、また川内村までの高速料金は免除に。ころころ変わる。
それにしても、こういう待遇を素直に受ける気持ちになれないというか、いつも気が滅入る。
津波被災地域の人たちにはもうこうした待遇はない。
でも、親族や地域の隣人たち、住む家や仕事を根こそぎ奪われた被災者の悲惨さ、大変さは僕らの比ではない。
それでも被災者たちは、「自然災害」で大変な目にあった自分たちに差し伸べられる援助に対して、心から「ありがたい」と感謝の気持ちを抱いていると思う。
一方、原発避難区域の人たちの「被災」というのは、種類が違う。自然災害ではない。言ってみれば、酔っ払い運転、無謀運転の車に轢かれて交通事故にあったようなもの。恨みの対象がはっきり存在しているのだが、その相手が殿様で、真っ向から喧嘩できない。……そんな感じだろうか。
そんな「原発城下町」に外からやってきた僕たちは、殿様の無責任さ、でたらめぶりにも呆れ、怒りを覚えるが、原発城下町の暮らしに隠されていた精神性、その特殊さ、複雑な構造を知って、さらに驚き、戸惑った。
その渦中に身を置きたくない、という気持ちが強くなった。
この感じは、現地に住んでみなければ絶対に分からないだろう。
阿武隈から足が遠のくのは、それがいちばんの理由なのだが、この感じ……自分の気持ちの中でもまだ整理がついていない。
で、東北道が工事で大渋滞。事故渋滞と違って、延々動かない。下に降りたほうが早かった。失敗。
矢板北PAにようやく到着して朝飯。

妙においしいラーメン

あたしは前回同様、ステーキ丼。ついているおろしニンニクを全部使う

外の廃材利用アート?は少しずつ売れているのか、変わっていた
動かない渋滞のおかげで、2時間以上ロスした。昼過ぎには到着するはずだったのが、2時を過ぎてしまった。
すぐに池のチェック。

マツモ池には水が残っていたが、オタマの姿はない

山葵池に下りていく道は草が生い茂っている

流入口がふさがって水が涸れていた

雨池と土手池の間も草がボウボウで、池が見えないありさま

草をかき分けて雨池を覗き込む。ここも水が干上がっていた
で、2つ上の写真。これを撮ったときは気がついていなかった。
草ボウボウの地面のほうにばかり目がいっていたからだ。でも、この写真にもしっかり写っている。分かるだろうか……↑↑

土手池も干上がっていた

弁天池。どろどろのわずかに残った水分のあるところで、オタマが少し生き残っていた

周囲の様子は変わらない。いつもの夏の景色

倉庫に荷物を降ろす。書類ケースも、今はもう何にどう使うわけでもないのだが、捨てるのも金がかかるので……

車2台入っていた倉庫も、今ではこのありさま
池に沢水を入れながら、荷物を運び出し、倉庫を最低限度整理。
作業をしながら見る家の周りの景色は、以前となんら変わらない。
なぜここを出たのかな? と思う。
放射線量は家の中が0.2μSv/h台、外が0.2~0.3μSv/h台。ところどころ0.4μSv/hくらいあるが、もう全然恐れるような線量ではない。このまま放っておけばいい。
村の中心部ではもっとずっと低い。つまり、首都圏となんら変わらない。
日光の今の家の中でも、常時0.15μSv/h以上ある。それと比較してもほとんど変わらない程度。
放っておいてくれるなら、もう外部被曝に関しては問題はないと思える。
もちろん気持ちは悪い。藪の中で作業をしていて、放射性物質を吸い込んだりする危険性はある。野草やキノコを採ってきて「おいしいね」と食べる楽しさも戻らない。多分、平気だとは思うが、大丈夫かなあと思いながら食べるくらいなら食べないほうがいい。
ここに越してきた当初は、周囲とあまり深く関わらないで暮らしたいと思っていた。田舎流のしきたりや考え方と衝突したくなかったからだ。
もちろんご近所さんたちとは仲よくおつきあいしていたし、問題もなかった。
自然の美しさや恵みを求めてこの地にやってきた人たちとは価値観が似ているので、一緒にいろいろな活動も続けていくつもりだったし、実際にやっていた。
破綻しないよう、少しずつ気長にやっていければいいと思っていた。
それがうまくいかなくなり始めたのは、ウィンドファーム建設問題が浮上してから。
そして、原発爆発で根底から覆された。
今は、また静かになるのを待っている。
除染だの、メガソーラーだの、放射性ゴミの仮置き場 or 処分場建設だのといった騒ぎが長続きせず、金が尽きて、静かになってくれたらいいと願っている。
そういう、一度失敗したやり方を強引に続けようとする政治屋のボスをニコニコ出迎えて握手をせがむ行政や村人たちの姿を目の前で見ていたくない。
これからどうなるかは分からない。
でも、こうしてこの場所に戻ってくると、本当にここはすばらしいと感じるし、死ぬ場所はここでありたいな、と思う。
そんなことを思いながら、そういえば、モリアオはやっぱり今年もうちでは卵を産まなかったのだろうかと、樹上に目を転じた……そのとき……。
!!!!
あったのだ。雨池の真上の枝に、モリアオの卵が。
なんてえこったい。
産んでいたんだ。
あれだけ苦労して、毎年、どうしたらモリアオをここに迎えられるだろうと悩みながら池を造り、改造し、研究し続けてきたのに、産卵のそのときにここにいなかったとは!
悔やんでも悔やみきれない。
しかも、卵は完全に干からびている。
雨が降らなかったから、うまく溶けずにオタマは卵の中でミイラになった可能性が高い。うまく下に落ちたとしても水がない。いや、そのときはあったのかもしれないが、その後、干上がってしまった……。
何をやっているんだろう俺は。
あまりのショックに、しばらく放心していた。

…………あれは??

間違いない! モリアオが産んでいたのだ。初めて、我が家の庭で

それなのに、自分はここから逃げていた……情けなく、やりきれない
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『3.11後を生きるきみたちへ 福島からのメッセージ』(岩波ジュニア新書 240ページ)
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第1章 あの日何が起きたのか
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ニュースでは語られないフクシマの真実を、原発25kmの自宅からの目で収集・発信。驚愕の事実、メディアが語ろうとしない現実的提言が満載。
第1章 「いちエフ」では実際に何が起きていたのか?
第2章 国も住民も認めたくない放射能汚染の現実
第3章 「フクシマ丸裸作戦」が始まった
第4章 「奇跡の村」川内村の人間模様
第5章 裸のフクシマ
かなり長いあとがき 『マリアの父親』と鐸木三郎兵衛
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