X-S1とα300＋ズボラレンズを比較してみる（3）

はっきりした対象物がある場合、X-S1はしっかり被写体を判断して、それなりにいい絵作りをしてくれる、という印象。
あれ？　こんなはずでは……と思う写真は、森とかごちゃごちゃした地面や草むらが散りばめられている風景など、対象を絞りきれない被写体の場合。撮像素子の小ささが露呈され、色階調などで不自然さが出てくる気がする。
α300はそのへん、よくも悪くも映像エンジンで変にいじっていないようで、あらゆるシーンでそれなりに撮れる。

操作性の点では、X-S1の鏡胴が緩すぎて、下向きにするとずりずりと伸びてしまうのが困る。一度決めたズーム位置が簡単に狂ってしまう。「気持ちのいいズーム操作」を追求したというが、もう少しなんとかならなかったのだろうか。

オートフォーカスはかなり優秀で、たいていはサクッと合う。
連写も速い。しかし、書き込み速度が結構かかる。といっても、かつてのS100-FSとは大違いで、困り果てるほど遅いというわけではない。SDカードの性能にもよるので、高速カードは必須だ。
しかし、この大きさのCMOSで600万画素くらいに抑えていたら、このへんのストレスもずいぶん減ったのではないだろうか。色階調もぐんと深く記録できただろう。
超望遠ズームで小さな撮像素子なのだから、1000万画素はいらないのだ。ほんと、600万画素くらいだったらすばらしいカメラになっていただろうに、実に惜しい。