2013/03/15
川内村のモリアオガエルがフィギュアに
奇譚クラブがまたまたやりました。「川内村のモリアオガエル」をフィギュアに。
事前に何度か電話で相談があり、川内村のモリアオガエルの特徴は何か、と訊かれたので、「身体に斑点があまりない。中にはほとんど無地のやつもいて、そういう無地のモリアオガエルはシュレーゲルアオガエルとほとんど見分けがつかない」と答えた。
僕は擬人化されたようなカエルグッズは好きではないが、こういう本物志向は大歓迎。いいね!
利益の一部が川内村に寄附されるらしいが、少額であっても、きちんと分離して、変な事業ではなく、カエルの命を守るために使ってほしい。
例えば、森の除染という名目で木を伐られたり表土をはがされたりすれば、カエルだけでなく、森に棲息している生き物すべてがますます生きていけなくなる。
川内村は去年も全面作付け禁止で、ほとんどの田んぼに水が入らなかった。大変な数のカエルが2年連続で繁殖場所を失ったことになる。実際、今までいちばん目についたアカガエルがほとんど見られなくなった。
モリアオガエルは3.11前から棲息地をどんどん奪われていて、かなり無茶な場所(国道脇のU字溝の上とか)にも産卵するようになっていた。モリアオガエル繁殖地として国の特別天然記念物に指定されている平伏沼も2011年夏には完全に水が干上がっていたし、心配だ。
川内村はカエルをシンボルマークに使っている。でも、僕が知っている限り、ほとんどの村民はカエルの名前も知らない。シュレーゲルアオガエルなんて言っても、初めて聞くという人ばかりだった。中には「え? カエルに種類があるの?」と言ってのけた人もいた。
我が家の周囲には、東北地方にいるすべての国内固有種がいた。
そんな場所は稀なのだ。
分かっているのかなあ……そのすばらしさを。
結局はカエルのことを本当に心配しているのか、平たく言えば「好き」なのかってことだ。愛の問題だよ。

二宮いち、3月の中身↑
二宮いち、今月も早々と佐渡からゆうぱっくが届いた。
代表が入院したというのでとても心配している。避難先で入院したり、家族を亡くしたりしている阿武隈の友人たち。でも、こうして日々、やることをやる、やりたいことを続けるという気力があるうちは希望が持てる。
みんな強い。すごいなあ。

近所の不動産屋の社長さん(モロさん)とフェイスブックを通じて知己を得た。
モロさんは本格的なサックス吹きで、自分のビッグバンドも持っている。フェイスブックにリンクを張ってある僕がDaddy's CafeでやっているYouTubeの動画を見て「友達申請」をしてきた。
AB型には珍しく、速射砲のようによく喋る人。僕もよく喋ると言われるが、完全に負ける。
自宅がすぐそば(自転車で数分)のところ。もともとバンドの練習場所として建てた大きなログハウスを今は自宅にしているそうだ。
↑こんな顔の番犬がいた。バードって呼ばれていた。チャーリー・パーカーの愛称ですね。
こうしてネットを通じてどんどん近所の人たちとつながっていく。すごい時代だなあ。
2013/03/17
3月のかき氷

で、その明るい社長・モロさんに誘われて、珈茶話(かしわ)という今市のカフェにかき氷を食いにでかけることに。
イベントの正式?名称は、
珈茶話塾「日光天然氷の未来を創れ!」
ゲスト:四代目氷屋徳次郎 山本雄一郎、コーディネーター:珈茶話オーナー 柏木保之
……というもの。
この珈茶話(かしわ)というカフェは以前から場所は知っていた。打ち合わせなどで何度か使おうとしたのだが、そのたびに休業していて、まだ入ったことがなかったのだが、こんなに広くて、ジャズ喫茶のようになっているとは知らなかった。
オーナーはもろさんとは親しい間柄らしくて、もろさん曰く「ぼくのジャズの師匠」とのこと。元プロミュージシャンで、日光市(下今市駅のそば、ベイシアの隣り)で珈茶話(かしわ)を30年以上経営しているらしい。
で、この日は四代目氷屋徳次郎こと山本雄一郎さんを迎えて、日光の天然氷についてのトークセッションみたいなことをやった。
なんのことやらよく分からないまま出かけていったのだが、分かったことをまとめると、
- 天然氷を作る氷屋は日本で5軒しかなくなってしまった(日光に3軒=吉新氷室・松月氷室・三ツ星氷室、秩父に1軒=阿左美冷蔵、軽井沢に1軒=渡辺商会)
- 山本さんは日光霧降高原の入り口にある「ちろりん村」という観光施設のオーナーだが、このうち、吉新氷室から天然氷を仕入れてかき氷などを客に出していた
- ところが創業者から3代続いた吉新氷室が廃業するというので、「それは困る。自分が継ぎたい」と親方に直談判して教えを請い、苦労の末になんとか認めてもらう
- 親方から「吉新(よしあら)氷室(ひむろ)という店名は継がせられない」と言われたので、吉新氷室の初代・徳次郎さんの名前をもらって「4代目徳次郎」を名乗ることにした
- 今では手弁当で手伝いに来てくれる人たちも多く、様々な苦労の末に氷屋稼業は軌道に乗りつつある
……というような内容だった。
この日の参加者には天然氷のかき氷がふるまわれた。それがこれ↑↓

普通のかき氷は1時間に60杯くらい作れるが、それではいいかき氷はできないとか。1時間20杯が限度だという

ふんわり薄い、ひらひらの氷。製氷室で作った氷とは別物の舌触り

この日は大量に用意しなければならなかったので、味はイチゴジャムに統一されていた

なかなか食べるのが難しい。額がキーンと痛くなるようなことがない。へえ~~という新鮮な驚き

トークセッション始まる

4代目徳次郎こと山本さんは、常にこの帽子を脱がないらしい
ちょっと原田芳雄みたいな雰囲気の山本さん(通称・徳さん)と、ホスピタリティに溢れたオーナーの柏木さん(ちなみに彼もAB型らしい)。なかなかいいコンビだった。
4代目徳次郎は何度もテレビで取り上げられていて、山本さんは日光市では超有名人らしい。市会議員をやっていた時期もあるとか。
今回のイベントは「柏塾」というシリーズの第2回目だそうだが、その柏塾とは……:
『志を高く持ち、心を磨き、物心両面の調和のある豊かさによって、平和と幸福を世界にもたらそう』という理念のもと、皆様の生活に少しでも潤いを与えられたらと企画している珈茶話オリジナルのゼミです
とのこと。
そうか、ゼミなんですね、これは。
ライブもできるスペースだし、またひとつ面白い場所を知って、有意義な一日になった。
それにしても、モロさんといい柏木さんといい徳さんといい、日光のおっさんたちはみんな元気だ。前向きに生きて、存分に人生を楽しむ姿勢は素晴らしい。
山本さんは天然氷だけではなく、自分が所有する山に自生しているイタヤカエデの樹液を商品化できないかと考えている。
イタヤカエデをWikiで調べると、
用途
材 :建築、器具、ハーモニカなどの楽器、車両、床柱などの装飾材。
樹液:サトウカエデにくらべて含有糖分がやや低いものの、イタヤカエデからもメープルシュガーを作ることは可能であり、第二次世界大戦直後の砂糖不足の時代に東北や北海道で製造が試みられたことがあるが、商業ベースには乗らずに終わった。
……とある。
砂糖の代用品では当然効率が悪くて儲からないが、付加価値をつけてブランド化し、日光の新しい名産品に加えられたら面白い。楓なら紅葉もきれいだろうし、落葉樹だし、スギをいっぱい植えるよりはるかにいい。
もともとこのへんの潜在自然植生のひとつなのだろうから、荒れた杉林を整理しながらイタヤカエデ中心の雑木林に再生させたら日光の景色もよくなる。
この試み、多くの人が後を追って広がれば面白いんじゃないだろうか。
帰りに、参加者ひとりひとりにその樹液を詰めた瓶がおみやげとして配られた。
夜、まずは冷やして単体で呑んでみた。ほんのり甘い砂糖水のような感じ。
で、これはもう水割りしかないでしょ、というわけで、焼酎のイタヤカエデ樹液割りを堪能。
水道水で割るのとは違って、甘みが増し、柔らかでコクのある後味になる。
コスト計算が大変そうだけれど、うまくやれば採算ベースに乗るかもしれないね。
日光はこういう商売で生き延びなくては。
「ゼミ」の最後に徳さんも言っていた。
「おいしい水は健全な森があって初めて生まれる。この森の環境、水の環境を孫や曾孫の代まで伝えられるように努力するのが我々世代の役目だ」と。
いいね!
怪しい金を外からじゃんじゃん入れて、なんだかんだ理由をつけて環境破壊を続けている田舎がたくさんある中で、日光の環境をこれ以上壊さないためには、こうした地道な努力と工夫、そしてなによりも生き甲斐を持った人間のつながりと行動が必要だ。
食べたのは氷なのに、なんだか心が温かくなった気持ちがした。
いい一日だった。
このページの写真はフジフィルムのXF1で撮っています
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