2013/08/08の3
壬生町に行ってみた(3)雄琴神社の狛犬

奥に位置するこの狛犬はとてつもなく興味深い

明和6(1769)年の建立。さっきの青銅製鳥居が1778年だから、その9年前だ

だいぶ摩耗してしまったが、まずこの顔がユニーク

阿吽ともに極端な逆三角形でカマキリ型

こんな頭部を持つ狛犬は他に知らない

鬣は大きな渦巻き。尾は凝ったデザインだがどちらかといえば団扇タイプ

阿吽で尾のデザインは変えていない

走り毛がある。これは越前禿型などからの流れだが、尾は完全に浪花狛犬タイプ

大きな渦巻き型の鬣と、その先の直毛……越前禿型と浪花狛犬の中間的な印象を受ける

頭には宝珠とおぼしき突起も見られる
吽像の頭の突起は阿像のより小さい。ポチッとした突起で、これは宝珠ではなくおそらく角のつもりだろう。
ということは、阿像が宝珠、吽像が角だから、「吽像に角」はもともとの神殿狛犬様式(獅子・狛犬様式)に乗っ取っていて「正しい」。もともと角がなかった阿像(獅子)に、角の代わりに宝珠をつけたという形だ。
いわゆる宝珠型狛犬が大量に造られるきっかけとなったのは「諸職画鑑」のイラストだろうという説は拙著『狛犬かがみ』でも紹介したのだが、『諸職画鑑』は寛政6年(1794)刊であって、この狛犬が造られた明和6(1769)年にはまだない。
しかも、『諸職画鑑』は本来角があるべき吽像に宝珠をつけ、角がない阿像に角をつけてしまっているという「ミス」をおかしている。それによって、『諸職画鑑』以降の狛犬には阿像に角があるというおかしなものが増えたのだが、『諸職画鑑』より25年も前に造られたこの狛犬は、正しく吽像に角があり、本来頭には何ものせていなかった阿像に宝珠をのせている。
『狛犬かがみ』にも掲載している筑土神社(千代田区九段北)の狛犬は阿像が角、吽像が宝珠で、建立は『諸職画鑑』より14年前の安永9(1780)年。『諸職画鑑』の絵師・鍬形恵斎(北尾政美)はこの筑土神社の狛犬を参考に描いたのかもしれないと解説したが、壬生町・雄琴神社のカマキリ顔狛犬はそれよりさらに11年古いのだ。
つまり「宝珠型」の元祖は『諸職画鑑』以前から複数存在していて、もともとは宝珠は阿像のほうにあったということが、この狛犬によって証明されたことになる。
これだけでも狛犬史的には大発見ではないだろうか。
頭部のオリジナリティといい、越前禿型~浪花狛犬型・江戸獅子(流れ尾全盛)型と変わっていく狛犬史の中で、エポックメイキングというかミッシングリングというか、極めて注目に値する存在だ。
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