2014/04/29 

ビデオレター

午前中から卵の配達に行くというので、マサイさん、ボケさんが挨拶に来た。
「あと、適当にいてくれていいし、帰ってくれていいから」と。
そこで、岡山の愛ちゃんのところで撮った映像を二人に見せるToko監督。
ビデオレターですね。
大きくなった彩來ちゃんや楽人の姿を見て顔をほころばせる二人。

彩來ちゃん、大きくなったねえ……孫を見る目になっている二人


それをすかさず撮るクリス




獏原人村で生まれて育った楽人と彩來ちゃんは、マサイさん夫妻にとってはまさに孫と同じ。
原発が爆発しなければ、今もここにいて、成長を間近に見守っていられたはず。まったく、なんてことをしてくれたんだろうこの国は。

外から阿武隈に惹かれて入ってくる人たちが増えて、しっかり住み着いて、多様な価値観がせめぎ合いながらも共存共栄の道を探り始めていたのに、原発爆発のおかげで一気に数十年時計の針を巻き戻されてしまった。
しかも、ゼロからの再出発というよりは、マイナスから、やっかいなものを背負わされて……。

ここまで来ると、憤りや絶望を通り越して、なにかもう、みんな淡々とした生き様を固め始めている感じがする。その強さと柔軟さに、最後の希望を見いだせるかもしれない。

さて、マサイさん夫妻が卵の配達に出てしまった後は、どうしても撮っていかなければならないという『奇跡の星』の演奏シーン。
当初はきょーじゅが弾くキーボードで……ということだったのだけれど、昨夜から、ドームの中や屋外でいろいろ演奏し、撮影してきた結果、なんとなく「ギターだけで、PAなしで、まったくの素で弾き語り生撮りがいいんじゃないの?」ということになってきて、ドーム内と屋外で撮った。

なにせいつもならまだ寝ている時間。しかも昨夜は埃と黴の臭いが充満する蒲団部屋で寝て喉の調子は最悪。
それでも、まあ、やれるだけやってみましょ……というノリでやってみた。

屋外バージョンの撮影ポイント決めをするToko監督(Paulがスマホで撮影)


で、こんな感じで撮っていたみたい(Toko監督撮影)


クリスは靴を脱いで僕の周りをぐるぐる回っていた


いい絵が撮れたよ~、ということで、撤収~


北沢さんもおつかれ~


クリス、この後、派手にこけていた

順調に撮れたようで、当初の予定より1日早くバクを引き上げられた。
心配された雨も、昨夜、ちょっとぱらついた程度で収まり、撮影には絶好の空模様(曇天)。やっぱり監督は「もっている」ようだ。ここまでずっと幸運に恵まれている。

家に戻って戸締まりや、持ち出したキーボードの片付け(結局、全然使わなかった)。そして池に水を満たしてから帰路へ。
ご近所さんもみんな元気だった。
原発爆発後は、精神的に衰弱したり自暴自棄になったりして、何人も老人が亡くなっていくのを見ていたが、ここ1年くらいは、生き延びた人たちがみなしっかり生活を取り戻しつつあるのが分かる。

奥のきよこさんに挨拶に行った帰り道、うちのすぐそばでアズマヒキガエルと遭遇。おまえも元気でな


新緑がこれから芽吹いてくる、今がいちばんきれいな季節

池が心配だが、事故などないうちに撤収。一路日光へ戻る。
ポールが腹減った腹減ったとうるさい。
買い込んだ食料はほとんど食べ尽くしていて、どこかで食うにしても中途半端な時間。
いちばん近いのは小野町だが、夕方だとランチタイムが終わって閉めている店が多いし、開けているラーメン屋はあんまりうまくないのを知っているので、こちらとしては一気にあぶくまPAまで行って、おいしい白河ラーメンが食いたいところ。
ポールにバナナを渡して、なんとかおとなしくしてもらい、一気にあぶくまPAまで走った。


あぶくまPAにて。ようやく飯にありつけてごきげんのポール


肉も魚も食べないけど、酒も煙草もヘビーにやるというクリスは、掻き揚げうどんと納豆ご飯のセット


北沢さんは悩んだ末にソースカツ丼。肉が薄いと、ちょっとがっかりしていた


僕はいつもの白河醤油ラーメン。裏切らない味


入り口のガチャガチャにこんなのがあった。これはちょっと飛びすぎやろ。カエルか狛犬にすればいいのに


なんとか無事、日光に戻ってきた。
夜、プチ打ち上げ。
前田利右衛門がどんどんなくなる。あれはうまいね。
この日のためにずっととっておいた純米吟醸酒も出した。うまい。

いちばん心配していたバク往復が無事に終わってほっとした。
まだロケは残っているけれど、ここまでなんとか来られれば、あとは多少、トラブルがあっても素材は足りるだろうし。
タイヤもここまではもってくれた。出発時にエアが抜けていたのはなんだったのか、未だに謎。
お金がなくて、左前輪はちょっといびつでホイルバランスがどうしても合わないインドネシア製。右前輪は13年間トランクに眠っていた購入時のスペアタイヤ(フランス製ダンロップ)。後輪は中国製の激安タイヤ。普段はなんとも思わないが、絶対にトラブルを起こせないこういうツアーでは、いろいろ考えてしまう。
高速でバーストでもした日には、桜塚やっくんのツアー事故みたいなことにもなりかねないし、獏林道でスタックしたら助けも呼べないし。
村の人に迷惑をかけることも絶対に避けたかった。
外から勝手に映画撮りに来た連中が……って言われるのは目に見えているしね。

自分の軽ワゴンで東京から運転手役をやるために来てくれた北沢さんには特に感謝。見えないところでのきめ細かなサポートも見事だった。北沢さんがいなかったら、そもそもこれだけの人数と機材を積んでの移動は僕一人では無理だったわけで……。
その北沢さんとも、フェイスブックでやりとりしていただけの知り合いで、今回のツアーで初めて顔を合わせたというおつきあい。ネット時代の果実ですかね。

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