ネック幅を細く改造するために山形の
彩雲工房さんに出していた杉作がひと月ちょっとぶりに帰ってきた。
当初、某工房に出すつもりで荷造りまでしていたのだが、昔とってもお世話になったKさん(シンガーソングライター、ギタリスト、松山千春のディレクターなども……)が、FBで、あそこにはいい印象がないとコメントしてきたので、ちょっと不安になり、急遽、日本中のギター工房にネット上で見積もりを取ってもらった末、見積額が二番目に安く、やりとりの印象としてすごく仕事ぶりがていねいそうだったので彩雲工房さんにお願いしたのだった。
結果は大正解。
いい仕事してますね~。
完璧な仕上がりで大満足。弾き味がガラッと変わったのに、音は変わらない。生まれ変わった杉作。
松子やアントニオ、Martinの陰に隠れて今までほとんど出番がなかった杉作だが、これで出番が増えるかな?
さっそく試奏……しかし、右手の指を転倒負傷したのが治らず、まだちゃんと弾けないのが悲しい。
微妙なニュアンスが出せない。左手は普通に動くようになったので、ネックが細くなって弾きやすくなったことは実感できるのだが、右の指が痛くて曲がらないままなので、音の違いとか、総合的な手応えがよく分からない。
試しに松子を弾いてみたら、全然弾けない。あんなに弾きやすい松子なのに……?
そこで、同じ(右手がよく動かない)条件で他のギターと弾き比べてみようと思い、クローゼットにしまい込んであるギターを次から次へと出してきて弾き比べてみた。この際、音の違いも比較してみようと思った。
ただ音を出しているだけの演奏になってしまっている。みっともないねえ。でも、こうやって自分を鼓舞しないとね。
カメラの内蔵マイクでは違いが分からないけど、弾き味も音もものすごく違う。
- 1 コンデ・エルマノス(フラメンコ)……パキパキの明るい音。今は亡きパコ・デ・ルシアも弾いていた、名門ブランド「コンデ兄弟」の工房で作られたんだな~、って思って弾く
- 2 Martin(エレクトリックガット)……弦のテンションが高くて弾くのが疲れる。ストロークでコードを弾くとふくよかで最高だけど、単音は前に出てこない。だから、一人で弾き語りのときにだけ使う
- 3 アントニオ・サンチェス(エレクトリックフラメンコ)……薄胴なのに生音が太い。お店に並んでいた同じモデルの中でもひときわいい音だった。楽器としてはものすごく「当たり」。ただ、ネックが完全にクラシカルフラメンコと同じ幅なので弾きづらい
- 4 松子(茶位幸信=実際には小林一三・作 ドイツ松)……とにかく上品な音。単音がきれいで前に出る。テンションが低くてネックも薄いので、こればかり弾いていると指が軟弱になり、普通のギターが弾けなくなる。ここぞ、というステージには持参するが、プリアンプが内蔵されていないので必ずエフェクターと一緒に使わなければならない。だから、お気楽なセッションなんかでは持って行きづらい。野外ステージなんかでも壊れるのが怖くてあまり持っていきたくない
- 5 杉作(茶位幸信=実際には小林一三・作 杉)……薄胴とは思えないでかい音。ぎらついた感じの音色なので、助手さんは好きじゃないという。今回、ネックを細くしたので、俄然弾きやすくなった。ラフなセッションや野外ステージで今後活躍しそう
- 6 K.Yairi(クラシック) ……実父の形見分けでもらってきたやつ。実際には弟が大学時代、ギター部で、先輩から譲り受けたものを実父がちゃっかり使っていたらしい。低音が豊かで暖かい音
ナイロン弦ばかりこんなにあっても……。
まだ他に田村博のフラメンコとか、Crafterのナイロン弦ソリッドエレキとかドイツ松に張り替えたギグパッカーとか……。
助手さんに怒られるのも仕方がない。
でもまあ、ソフビ人形とかナイフとかコレクションしている人よりはいい、と、助手さんも半ば諦めているようだ。
そうそう。人生は60から。楽しまなくちゃ。そして、しっかりこのナイロン弦軍団とつきあわなくちゃ。
指が完治するのはまだ数か月かかりそうだが、固まって動かなくならないよう、痛くても少しずつは動かそう。そしてちゃんと弾けるようにしよう。
タイミングが悪く、杉作が帰ってきたその日に、Native InstrumentsからKontakt5というサンプラーソフト&音源が届いた。
今まで使っていたMOTUのオーケストラ音源やエスニック音源が64ビットのMacでは使えなくなった。いちばん痛いのは、主役であるAriaのViolin音源がMacの音楽ソフト Logicのプラグインとして使えないことなのだが、これはMacに二種類のオーディオインターフェイスをつないで、AriaはAria用につないだインターフェイスからアナログ音声出力して、その音をLogicにつないだもう1台のインターフェイスからオーディオ録音するという方法で切り抜けた。
これだとMIDI信号で編集ができないので細かな切り貼りはできないが、生演奏の「音」を録音していることになるので、まあ、そのほうがいいかな、とも思う。ただし、Aria用のインターフェイスがダメなのか、ノイズがのるのが困る。
Logicにしてからは、ベース音源などは無料のKontakt5 Playerと無料のサンプル音源で『Digital Wabi-Sabi ─As Easy As EWI』の最後を録音したのだが、これが結構使える音。有料版には1000種以上の音源がついてきますよというので、迷った挙げ句に注文してしまった。
何年も前にGullitanのチェロ音源ソフトを購入しているのが記録として残っていて「あなたは半額でいいです」って言ってくる。このへんが、MOTUより良心的だな。