2015/04/11
音楽も動画でなくちゃ聴いてもらえない時代
今はもう、YouTubeやVimeoなどの媒体で動画形式にしないと音楽も聴いてもらえなくなってしまった、という話。
どんなに稚拙な動画でもいい、動画が無理なら静止画でもいいから画像をつけてやらないと音楽を聴いてもらえない時代。つまり「映像ビジネス」へと移行している。
レコードやCD、テープといった媒体で音楽そのものを記録し、売り買いする時代は終わってしまった。どんなレアな音源でも誰かがYouTubeにアップしている。違法行為とされているのだが、これだけ日常化したら、もう元には戻らない。
音楽業界もそれはもう分かっていて、今ではCDはチケット抱き合わせとか、握手券付きとか、秘蔵映像のDVDがついてくるとかの「オマケ商法」でしか儲からないと割り切り、AKB48に代表されるような「動画芸能」中心になった。
ジャズのような、音を純粋に追求するジャンルでは、もはや相当名のあるアーティストでもCDを売ることが難しくなっている。
……で、その「映像ビジネス」も、最近ではデジタルツールの発展で、CGを素人でも作れるようになった。
ましてやプロは、とんでもない金をかけないと作れなかった環境が変わってきて、すごい作品をどんどん作る。
例えばこれは有名なZach Kingという人の作品。この程度のものは特に高価な機材などなくても、デジカメとパソコン、動画編集ソフトだけで作れてしまう。
これも有名になったCG。さすがにこのクラスのものになると素人がただ同然ではできないだろうが、昔に比べれば低予算でできる
今、世界中で数千万回から1億回くらい再生されている動画がこれ↓
ゾウがスカイダイビングしたりするのと違って、最初のうちは実際のサッカー中継で起きたことかと思って観てしまうが、次第に、いくらなんでもそれはないだろ……と気づく。それくらいよくできている。
最後の最後まで「な~んちゃって」という種明かしはしない。
この動画をシェアして、通販サイトに誘導したりするビジネスが横行している。上の動画、YouTubeでは2015年4月12日現在2470万回再生だが、これをそっくりコピーして時計の通販サイトに誘導するフェイスブックでの動画再生も1000万回を超えている。
多分、その時計の通販サイトとこの動画を作成した人なり企業なりは何の関係もない。
「動画のクオリティで音楽に誘導する」という手法がこれからは主流になっていくのだろうか、と気づかせた最初の作品がこれ↓
その後も、この手のものはどんどん出てきた。いくつか紹介しておくと……。
もおお~~、いくらでもある。すぐに腹一杯になる。すでに「animusic」というジャンルも確立されているらしい。
で、これらはどれも音楽を聴かせるというよりは、動画を見て楽しませる趣向のほうが強い。
最後のサンプルは有名な『展覧会の絵』をMIDI音楽でやっているわけだが、『展覧会の絵』を聴いたことがない人がこの動画を見たら、音楽は二の次で、動画だけ楽しむかもしれない。
もしこういうものが音楽産業の主流になっていって、人々が音だけを聴いても感動を覚えないような未来が待っているとしたら空恐ろしいとも思う。
音楽制作そのものも、すでに単なる「打ち込み」の時代は終わりかけていて、今は「ループもの」が主流になりつつある。
ドラムはだいぶ前からそうなっていた。スネアやハイハット、バスドラムなどのパーツごとにMIDIで打ち込むやり方から、実際にプロのドラマーにいくつものフレーズを叩かせて、それを8小節くらいのフレーズごと提供するという方法。
使うほうはそのフレーズを丸ごとつないでいき、最終的に細部を調整していく。だから、もたりやノリなどの人間くささもそのまま再現される。
EZDrummerはそういう音源だったし、Logicの最新バージョンにはバーチャルドラマーという機能が最初からついていて、叩いているドラマーのプロフィールまで紹介されている。
これのキーボードバージョンがEZKeysで、プロのピアニストが弾いたフレーズをフレーズごとMIDIデータとして販売している。
これをつないでいくことによって曲作りが簡単にできます、というのが売り文句だが、これってミュージシャンにとっては自殺行為にほかならない。
それが分かっていながら購入して試してみるわたし……そのへんもこの前の鬱状態の一因ではあった。
いろいろ見て、聴いて、試して、自分としては最終的にどのへんに落ち着くのだろうか。
シンプルに生ギターを弾き語りして、演奏しているところをつないでいったこないだの練習ビデオは、自分でもその後、何度も見返した。シンプルなものを、最小限度の映像と一緒に……あたりがいちばんいいのかもしれない。
結局、この前試しに作ってみたビデオも、一種のCGではあるのだ。
あれをリファインしていく、という方向がいいかもしれない。
メロディの価値をしっかり追求していくという元々のテーマを見失わないためにも。
↑録音機材:MacMini+Logic X 撮影機材:SONY NEX-5R+SONY50mm F1.8
Guitar: Conde Hermanos 1992 Microphone: Audio Technica AT3060
動画や音楽を創るのにいちばん向いているコンピュータは多分これ↑
↑最近いちばん感動した買い物 小さな黒い箱をつなぐだけで家庭のテレビで世界の娯楽を楽しめる
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Tanupackから久々の新譜! これはあなたが聴いたことのない種類の音楽かもしれない!
「メロディの価値」にとことんこだわり、手段としてはデジタルを使う。これが「デジタル・ワビサビ」だ
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たくき よしみつ のアルバム (MP3ダウンロード)
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のぼみ~日記の写真は主にオリンパスXZ-10で、他にオリンパスStylus1、ソニー NEX-5R+SONY 50mm/F1.8 OSSなどでも撮っています
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第2章 国も住民も認めたくない放射能汚染の現実
第3章 「フクシマ丸裸作戦」が始まった
第4章 「奇跡の村」川内村の人間模様
第5章 裸のフクシマ
かなり長いあとがき 『マリアの父親』と鐸木三郎兵衛
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