二議席を三人で争った日光市選挙区。自民の重鎮だった男性現職が、民主新人と自民現職に敗れ、女性が議席を独占した。政治に女性の視点を求める機運が全国で高まる中、極めて象徴的な選挙区となった。
ファシズムというのは、よっぽどの偶然がない限り、広がらないんです。大抵がその前でついえて、民主主義が勝つ。でも、たまにいろんな偶然が重なると、ゴワーッと広がっていくので、そうなる前に異議申し立てをしておかないといけない。
もっとも逆に言うと、大抵が大丈夫だから、頭のいい人はあまり異議を唱えない。万が一、ファシズムが広がってしまったら、異議を申し立てていた人が一番最初に(攻撃の)ターゲットにされるし、広がらなければそれでおしまい。異議を唱えるのは、どっちにしても損な役回りです。ただ「俺は言わなくても誰かが言ってくれるだろう」というのが重なった時にファシズムが成立するので、言える立場の人間が言おうということ。特に安倍政権は維新より巧妙なので、早い段階で異議申し立てをしておかないと、どんどん言いにくくなる。
日本がアジア唯一の先進国という座から滑り落ちたことを日本国民はまだ受け入れられない。どう受け止めていくのか、まだ誰も答えを出せていない。思想家も社会学者も政治学者も、もちろん政治家も。これはつらく寂しいことなんです。でも、受け入れなければならない。
例えばイギリス。大英帝国が崩壊して、あの小さな島国の中で生きていこうという決意をして、いろんな試行錯誤をしたわけです。ドイツの場合も、自らが「欧州の一国に過ぎない」ということを受け入れ、今がある。それは「謝る」「謝らない」とかっていう問題より実は大事な、深いことなんです。
今の安倍政権の考え方は真逆ですね。「世界の中心で輝ける日本」と言っています。
安倍さんは、アジア唯一の先進国から滑り落ちてしまったのを受け入れられない、という日本人の典型だと思います。残念ながら、日本は世界の中心では輝きませんよ。いや、どこの国だって、世界の中心になんてなってはいけない。
日本ではほとんど知られていないのですが、欧州ではハンガリーがすごく危険視されています。新しく制定された「ハンガリー基本法」が非常に人種差別的で排外的な要素を含んでいる。それでユーロ圏に入れてもらえず、ハンガリーの通貨フォリントの価値が下がって、ブダペストは観光客があふれているのです。どこの国かって思うでしょう(笑)。
ハンガリーと日本はものすごく似ています。オーストリア・ハンガリー帝国が成立したのが、明治維新とほぼ同時期。その後も似たような歴史を歩んできて、ハンガリーは第2次大戦で敗戦した後、ソビエトの押し付けで憲法を変えた。そして、ソビエト崩壊で東欧が解放された時に唯一、東欧諸国で憲法を変えなかった。ソビエトが定めた憲法を部分改正して、新しい民主的な憲法にしたんです。
ただ、その憲法は非常にいい憲法だったけど「自主憲法」ではなかった。そして数年前、ある民主的な政権ができたけれど、経済政策の失敗とスキャンダルで崩壊してしまって、その後にできた国家主義的な政権が、一気に新憲法をつくっちゃった。それがハンガリー基本法です。
欧州の政治家はハンガリーのことが念頭にあるので、安倍政権も同様に非常に危険視しているわけです。
政府が自由と人権から距離を置こうとする憂慮すべき傾向が世界的に見られるが、残念なことに日本もこれに踊らされている。
安倍晋三首相率いる日本政府が推進してきた政策には、女性の活用拡大や外国人労働者の受け入れ増支持などリベラル(自由主義的)なものが含まれる。裁判員制度の導入など、日本社会は数十年前から全般的により自由主義的な方向に進んできた。しかし自民党の望み通りに憲法が改正されれば、これらのほとんどが意味を成さなくなる恐れがある。
自由民主党は英語でリベラル・デモクラティック・パーティーと表記されるが、これほど実態とかけ離れた党名も珍しい。わずかな期間を除いて戦後ほぼ一貫して政権を握っている同党のかなりの部分は、思想的にも、組織面でも、さらに遺伝子的にも軍国主義時代の政治階層を引き継いでいる。これらの勢力は一時期党内で少数派だったが、今では中心的な立場にあるようだ。
その自民党が今取り組んでいるのが、米国が起草した日本国憲法の改正だ。改正草案の内容を説明した冊子で自民党は「現行憲法の規定の中には、西欧の天賦人権説に基づいて規定されていると思われるものが散見されることから、こうした規定は改める必要があると考えました」と主張。草案では表現の自由について、「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない」という規定が加えられた。
また信教の自由に関しては、いかなる宗教団体も「政治上の権力を行使してはならない」との一文が削除され、政教分離を事実上放棄している。
さらに心配なのは、改正草案が国民に新たに6つの「責務」を負わせていることだ。このうち
1)「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚」しなければならない
2)常に「公益及び公の秩序に反してはならない」
3)緊急事態の宣言の効果について「何人も国あるいは公の機関の指示に従わなければならない」
の3つは、明らかに反自由主義と独裁政治の方向への一歩と言える。
トルコやハンガリーで台頭しつつある反自由主義の民主主義を日本が選択した場合、アジアの中で抑圧的な中国に代わる存在としての日本の価値が下がりかねない。
9条変更を可能にする措置が取られるならば、権威主義的な「責務」と人権軽視へのドアを開くことになる。現実的な最善策は、もともと欠陥のある憲法を書き直すこと自体を先送りし、政権に就いている人々が1940年代のような考え方をしない時代まで待つことだ。
「身の丈に合わない一過性の莫大な予算」は、地道に積み上げていた取り組みを破壊します。例えば、これまでは努力してやっていたことを、予算の力で業者に外注するようになったり、華美なものを作ったりしてしまうようになります。
さらに、無駄に膨大な報告書を作成したり、会計検査への対応をしたりと、行政がからむことによる独特の作業にも追われることになります。結局のところは、従来の取り組みは低迷し、モデル事業を「回す」ことに数年を費やすことになります。
事業で稼ぎ、成果をあげていたことが注目されていた成功事例でも、モデル事業に採用されてしまった途端、それ以降、本業は赤字になり、予算依存体質の組織に転落してしまうこともあるのです。おカネがなくて地域がつぶれるのではなく、「急に降ってくる巨額のおカネ」で地域はつぶされるのです。
残念ながら、政策担当者がほしいのは「◯◯地域が幸せになること」ではなく、政策で使える「成功事例」なのです。
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