のぼみ~日記 2015

2015/07/14

小来川の瀧茶屋で至福のランチタイム

今日は暑い。後から知ったが、館林では40度だって。
小来川の山帰来に蕎麦でも食いに……と思ったが、火曜日定休。
それなら、土曜日に行ったばかりだけれど、蕎麦は食わなかったので、瀧茶屋に行ってみるか……と、電話をして「今から二人で蕎麦を……」と訊いたら、いいですよ~とのことなので、出かけていった。
うちからは車で30分くらいかな。片道19kmくらいある。結構遠いね。
12時半に到着。お客さんは他に誰もいなかった。
笑顔で迎えてくれた女将が作る蕎麦懐石を、清流を見下ろすテラス席で貸切状態で楽しむ。こんな贅沢が許されるのかと心配になってしまうほどの至福のときだった。

テラス席を独占


川の音が涼しさを運ぶ


眼下の眺め


まず出てきた付きだしというかオードブルというか前菜というか……


芋茎は季節的にこれでもう終わりだとか。大根は梅酢漬け


インゲンの味噌添え


山椒の葉漬けをのせたごはん


ちりめん山椒を入れた地鶏のたまご焼き


天麩羅……紫色のはなんと紫陽花


紫陽花の天麩羅って、初めて食べた。苦みが微妙にあって珍味


そして女将手打ちの蕎麦~


絶妙な味わい


小来川有数の蕎麦打ち名人なのだ


そば湯もおいしかった。ここまでがコース料理で一人1250円(税込)


デザートにイチゴ100%のシャーベットを追加


濃厚な味でGOOD


調子にのって抹茶も頼んでしまった。今日は贅沢を許す>自分

食事の後、女将の福田栄子さんとかなり長い時間お喋りした。
小来川という地域の歴史や特色など、この茶屋を始めるまでの苦労話、モリアオガエルや川の話、草刈りの話、蕎麦打ちの話、食材の話などなど、話題は多岐に渡った。

まず驚いたのは、福田さんは向かいにあるお休み処 山家を立ち上げたときのリーダーで初代組合長だったということ。
山奥の集落で女性や高齢者が働け、外から来る人たちにこの地域のよさを伝えるような場所を作ろうと、協同組合方式の蕎麦処、休憩所を提案した。
しかし、当初は「こんな山奥でそんな商売ができるはずがない」と、猛烈に反対する人もいて、簡単ではなかったそうだ。
行政からの助成金を得るため、大きな失敗は許されない。その緊張感も大変なものだったという。
当初の組合員は約30人。その後、高齢者がリタイアしたりして、今は10人くらいで続けている。

で、そこを卒業して、一人で、今度は自己資金だけでこの瀧茶屋を始めることになったいきさつがまたすごい。
実はこの建物は「選挙事務所」だったというのだ。
ご主人は市会議員で、13年前、これから選挙だという時期、任期最後の議会中に倒れて入院、その3日後に急逝。
残された栄子さんはその後、もろもろの残務処理などに奔走することになるが、自分は政治の世界には入りたくないとのことで、しばらくしてこの元選挙事務所でお茶屋を始める。
最初はお茶屋だったが、もともとは向かいのお休み処 山家を立ち上げた蕎麦打ち名人でもあるわけで、蕎麦も……と。

土日のお客が多い日は義妹が手伝ってくれるが、基本的にはひとりでやっている。だから、できる範囲で無理をしない。その代わり食材選びや味にはとことん気持ちを込める。
特に蕎麦は、同じ粉と水を使っても打ち手によってまったく違うものになるという。
一度、鋸で手を怪我して、別の人に蕎麦打ちを頼んだところ、たまたまその日に現れた常連さんが一口蕎麦を口に入れるなり「栄子ちゃん、今日の蕎麦どうかしたのか?」と言ってきたという。蕎麦打ちというのはそのくらい難しいものなのだ、と。
なるほど~。

この地区の林業でも活躍していたようで、地元では名士、女傑?として有名人みたいだ。
「小来川は昔から変わってない。道が舗装されたくらい。レジャー施設があるわけでもないし工場が誘致されるわけでもない。それが最大の魅力」という。
店の隣には木造コテージが数軒あり、貸し出しもする。古いコテージは傷みもかなりあるので、場合によっては貧乏学生にタダで貸し出すこともあるそうだ。
「草刈りは極力しない。そこに生きている生き物が困るから」「川の護岸工事はさせない。崩れるからやってくれと言う人もいるけれど、崩れるのも川が蛇行するのも自然の成り行きで、それを人間の手でまっすぐにするのはいけない」「お金儲けは目的にしてはいけない。生きていく、暮らしていくためにいちばん大切なのは土と水。特に水はなにものにも替えられない」などなど、話の端々に「そうそうそう」と相づちをうちたくなる言葉が出てくる。

お休み処 山家と瀧茶屋は道を挟んで向かい合っているが、ここまで入ってくる人たちは極めて少ない。
一本道だから迷うことはないが、「まさかこんなところに店があるはずがない」と、途中で諦めて引き返してしまう人もいるそうだ。

しかし、南小来川の集落の中にある山帰来は常にお客さんで賑わっている。それは山帰来は会社経営のお店で、雑誌などへの広告費をしっかり使っているから、とも教えてくれた。
じゃあ、このさらに先にある「ほそで」は? と訊くと、「行ってみて、実際に確かめてください」とかわされた。そうだね。楽しみはとっておこう。

南小来川から清滝へ抜ける県道277号線は、すれ違いにも苦労する山道だが、その入り口には日光でも有数の繁盛店・山帰来、そこからかなり奥に入ったところにお休み処 山家と瀧茶屋、さらに先まで進むとそば処ほそで……と、4軒の店がある。
そのうち、真ん中のお休み処 山家と瀧茶屋で実際に食べて、話も聴いて、店が誕生したいきさつも知った今、商業的に成功している「山村の原宿店舗」的な山帰来と、最奥の蕎麦屋ほそでも、当然、これから確かめてみなければ……と思う。

小来川は本当に面白い。村自体が独立国というか、隠れ里というか、周囲の日光地域とはかなり雰囲気が違う。まだまだミステリースポットが探索できそうだ。
死ぬまでにゆっくり楽しみたいな。




日光クリック
瀧茶屋
日光市西小来川3704-5 tel:090-3470-0046(福田栄子)
水曜定休 11.30~13.30くらい 臨時休業もあるので行く前に予約電話を







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