2015/09/11の4
川内村野良猫日記(3)
シロ
シロ
2010/10/15 13時18分
シロは川内村で出会った野良猫でいちばん忘れられない、大好きなネコになった。
最初はものすごい形相で夜中に現れてびっくりした。荒々しく、とても懐きそうになかった。
すばしこく、警戒心がものすごい。
それでも諦めず、シロと名づけて、現れるたびに「シロ」と呼んで、ここは危険じゃないのだと教えようとした。
なぜシロにだけそこまでしたのか、今でも不思議だ。最初から通じるものがあったのだろうか。
まったく期待していなかったが、ある日、突然寄ってきた。
次の夜はさらに近づいてきた。
そして劇的に……ついに頭を撫でさせたのだ。
びっくりした。
あれだけすごい形相で唸っていたネコが、突然ゴロニャンとなるなんて。
そこからはあっという間だった。
撫でられるだけでなく、お腹を出して寝転がったり、ついには家に入り込んで寝そべったり。
そうなってからも、シロはけじめをつけるというか、ある程度くつろぐと、ニャっと鳴いて外に出て、そのまま翌日の夜までは現れなかった。
どこに帰っていくのか……。
一晩寝ていったこともあるが、早朝、やはりニャと鳴いて、そのままどこかへ消えていくのだった。
シロとしんちゃん
2010/10/03
しんちゃんが唸っているのにシロはケロッとしている
こんなに可愛い顔していたんだ~と、びっくり。最初に来たときは鬼のような顔だったのに
2010/10/15
シロとしんちゃん
2010/10/26
劇的に懐いたシロ
初めて頭を撫でさせた野良猫。後にも先にもシロだけ。
2010/12/06
シロとしんちゃん
シロはボスネコとしての風格がある。しんちゃんをいじめたりしないで、むしろご飯も譲ってあげることが多かった。
2010/12/12
ついに家の中に入ってきてくつろぐようになった
冬を乗り切ってもらうためにネコ小屋も作った。これはなつかないしんちゃん用
2010/12/18 寒い冬を家の中で過ごせてごきげんのシロ。でも、極寒の中、また外に出て行く。「俺は野良だから」とでも言うように。けじめをつける立派なネコだった。
今思えば、この頃が僕とシロの蜜月期間だった。
シロはものすごく頭のいいネコで、家に入ってきても、台所やテーブルの上に乗るのを一度怒ったら、二度と乗らない。
家の中で粗相をすることもない。
家具を引っ掻いたりもしない。
人間の邪魔にならない場所でくつろぎ、その後は出ていく。
雪が降っている中にも出ていく。
「今夜くらい泊まっていけよ。寒いだろ」と言っても、ちょっと振り返り、意を決したように外に出て行く。
トイレならすぐに戻ってくるだろうと待っていても、一度外に出ると翌日までは戻らない。
男気があって、弱い者には優しく、いちいち説明しなくてもいろんなことを理解する、ものすごいネコだった。
何度か喧嘩して深手を負って来たことがある。治療するときも痛みをじっとこらえて身を任せていた。
シロより前から来ているしんちゃんがいつまでも懐かないのに比べれば、なんという違いだろう。
シロといるときは本当に幸せな時間だった。
その関係が、まったく予想もしないことで引き裂かれることになるとは、このときは僕もシロも知らなかった。
更新が分かるように、最新更新情報をこちらの更新記録ページに極力置くようにしました●⇒最新更新情報
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「福島問題」の本質とは何か?
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『3.11後を生きるきみたちへ 福島からのメッセージ』(岩波ジュニア新書 240ページ)
『裸のフクシマ』以後、さらに混迷を深めていった福島から、若い世代へ向けての渾身の伝言。
複数の中学校・高校が入試問題(国語長文読解)に採用。大人にこそ読んでほしい!
第1章 あの日何が起きたのか
第2章 日本は放射能汚染国家になった
第3章 壊されたコミュニティ
第4章 原子力の正体
第5章 放射能より怖いもの
第6章 エネルギー問題の嘘と真実
第7章 3・11後の日本を生きる
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『裸のフクシマ 原発30km圏内で暮らす』(講談社 単行本352ページ)
ニュースでは語られないフクシマの真実を、原発25kmの自宅からの目で収集・発信。驚愕の事実、メディアが語ろうとしない現実的提言が満載。
第1章 「いちエフ」では実際に何が起きていたのか?
第2章 国も住民も認めたくない放射能汚染の現実
第3章 「フクシマ丸裸作戦」が始まった
第4章 「奇跡の村」川内村の人間模様
第5章 裸のフクシマ
かなり長いあとがき 『マリアの父親』と鐸木三郎兵衛
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