川内村野良猫日記（10）

この頃、のぼみ～が下痢をするようになった。いっぱい食べているのに痩せてきて、下痢がとまらない。
隣町の獣医さんに連れていったが、なんともあやふやな診断で、あてにならない。
お医者さん全般に言えることだが、診断のセンスと施術テクニックは本当に人によって大きく違う。特に獣医さんは、ダメな獣医さんは本当にダメ、すぐれた獣医さんは本当に素晴らしい。生き物を飼って長いから、そのことは嫌というほど学んだ。特にたぬのときに。

というわけで、ネットで郡山市の獣医さんの評判を検索しまくり、ここがよさそうかな？　と目星をつけたところに行ってみた。
大当たりで、院長は一目見るなり「虫ですね。多分、回虫でしょう」と診断を下し、虫下しの薬を背中にちょんちょんとつけた。
「明日の朝あたり、ウンチと一緒に回虫が出てくると思いますから、びっくりしないように。その後、良好なら特に再来院する必要はないです」
まったくその通りになった。
たしか当時の日記には、ウンチの中で蠢く回虫の動画なんかもあったのだが、ここには載せない。

こんな風に8月が過ぎていった。
移転先は見つかりそうにない。重苦しい空気に包まれる感じもある。
でも、鬱になるとナチュラルキラー細胞が働かず、癌になりやすいから……ネコどもの姿を見て、なるべく幸せを感じるようにして暮らす。
家や家族を流された人たちのことを思えば、ものすごく幸運だったのだから。