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のぼみ~日記 2015

2015/09/14

 川内村野良猫日記(13)

引っ越し前


2011/10/31 チョロ 

移転先も決まり、契約や引っ越し準備に追われる日々。
チョロを一緒に連れていきたいと、何度か捕まえようとしたが、もう少しのところでスルッと逃げられてしまう。
あと1か月か2か月あれば、チョロや須実ちゃん、マックはもう少し手懐けられたかもしれない。でも、のぼみ~と一緒に移動を繰り返すのだけでも大変だったので、連れていくのはやはり無理だっただろう。

毎日ヘトヘトになりながらやるべきことを進め、深夜、川内村の家で眠る。
もうすぐみんなと別れなければならないと思うと、チャッピーとの毎日の散歩や野良ネコたちへの餌やりも辛いものになった。
シロも、しんちゃん一家も、やねお一家も、原発が爆発してもしなくても、もともと野良猫として生きていたネコなのだから……と自分に言いきかせたが、やはり僕が去った後のことは心配だった。
また厳しい冬が来る。みんな乗り切れるだろうか……。

チャッピーの飼い主はまだ戻って来なかったから、チャッピーの世話はまたよーこさんに頼ることになる。これも心苦しかった。

2011/10/31 ごはんを食べるふーちゃんのこどもたち。

チョロと須実ちゃん、マックは、ちょっと見ただけでは見分けがつかないくらいになった。それでも常にチョロは弟(妹?)たちにご飯を譲って、自分は残った分を食べる。とても性格がいい。なんとかチョロだけでも連れて行けないだろうか……と、こういう光景を見る度に思った。



よしたかさん夫妻が野菜やおこわをたくさん持って来てくれた。
「ベクレル計ってあっから大丈夫だから」と遠慮がちに言う。もちろんありがたくいただいた。



みみちゃんはここまでは近づくが、窓を開けた途端に遠くまで猛スピードで逃げてしまう。



さしいれのおこわや野菜で夕食。



チャッピーとの散歩もあと1週間。



やねお一家とチャッピーはこんな感じで、うまく共存している。



きみたち、しっかり生き延びろよ。



回虫がいなくなったのぼみ~はどんどん太る。



どこかに取り残された犬がチャッピーの散歩に合流することもあった。



2011/11/03 手前がマック。後ろが須実ちゃん。



色づき始めた山裾をチャッピーと歩く。



新居引き渡しの日が11月8日に決まった。
その夜は東京のTBSラジオの番組に呼ばれていたので、不動産屋さん(都内の大手業者だった)から鍵を渡された後、僕は電車で上京し、助手さんはひとりで車を運転してのぼみ~が留守番している川内村の家に戻った。東北道が大渋滞で大変だったそうだ。

上京した僕はその後、横浜の中古車屋さんでバネットバンを引き取り、それを運転して川内村に。
引っ越しは11日にした。2011/11/11で1が並ぶので、記憶しやすいだろうということで。

チャッピーと最後の散歩をした後、やねお一家ともお別れ。きみたち、元気でな。死ぬなよ。ありったけのキャットフードをてんこ盛りにして、新しいキャットフードも納屋に補充して、よーこさんに「ネコも忘れずにお願いします」と頼んで……。

2011/11/08 建物引き渡し。その後、NTTが光ファイバー工事に来るのを待って立ち会い。これで明日からすぐに仕事ができる。



夜、下小代駅から東武線で赤坂のTBSへ。助手さんはその後、ひとりで運転して川内村に。



2011/11/09 バネットバンを受け取って、川崎の仕事場(タヌパック百合丘)の荷物を積めるだけ積み、川内村へ。



2011/11/11 いよいよ引っ越し。


新居で最低限必要な荷物をバネットバンに積んで、車2台で出発。



深夜に新居に到着。日光は川内村よりも夜はまっ暗で、ナビがないバネットは道に迷った。あやうく田んぼ脇に落ちるところだった。



道中鳴きっぱなしだったのぼみ~。新居に着くなり、さっそくあちこち嗅ぎ回る。



しかし、移動の疲れで、寝てしまった。



コンビニで買った食料で遅い晩飯。今日からここがおうちだよ。あっちこっち移動したけれど、ようやく落ち着けるよ。



生まれてからここまで、この子たちは一体トータルで何キロ移動したのだろう。大変だったねえ。


引っ越しは一回では終わらないから、その後もバネットバンで何度も川内村を往復した。
一度、ひとりで戻ったとき、夜、シロと再会した。
シロは「またいなくなるのかよ」という顔で見ていた。
「シロ、一緒に来ないか?」と、真剣に声をかけ、抱えようと近づいたが、シロはきっぱりと拒否するように離れていった。
「やっぱり野良のほうがいいか? ここがおまえの生きる場所なのか?」
心の中でそう問いかけた。
シロは無言のまま、僕の前から立ち去っていった。

それがシロに会った最後になった。

シロのことを思い出すと今でも泣きそうになる。
あれから何回も冬が過ぎた。多分、もう生きてはいないだろう。
あんなすごいネコ、一生会えないんじゃないかなあと思う。

でも、無理に捕まえてここに連れてきて、去勢して……なんてことしないで済んだのはよかったかもしれない。
シロは野良猫としての自由な一生を自分で生き抜いたと思いたい。


……長くなってしまったが、阿武隈野良猫日記はこれでおしまい。
また、いつもの「のぼみ~日記」に戻ります。







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第3章 「フクシマ丸裸作戦」が始まった
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