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のぼみ~日記2016

2016/04/02

長岡百穴古墳




宇都宮美術館を出て、帰宅……でもまだ明るいので、近くにある長岡百穴に立ち寄ってみた。
交通量の多い環状道路脇にあって、ここを通る車からは嫌でも目につく。駐車場もしっかりあって、一度は見ておいても損はないスポットだが、わざわざ立ち寄る人は少なそうだ。

豊郷まほろばの道と名づけられたお散歩コースの案内図。太くて交通量の多い道があちこち横切っているので、のんびりお散歩という感じでもないが、うまく回ればいいお散歩になるのかな



……ということだが、ここにまつわる4つの伝承というのが面白い。
  1. 第10代の崇神天皇の皇子・豊城入彦命が東方征伐の途中にこの地で豪族の強い抵抗にあい、家来百人ほどが戦死。皇子は長岡百穴に遺骸を手厚く葬った。
  2. 弘法大師が大谷に立ち寄った際、「これより東方2里ほどのところに長岡という村があり、そこに豊城入彦命の家来衆百人の墳墓がある」と聞いてさっそくここに来てみたが、墳墓は荒れ果てていた。そこで雑草を切り払い掃き清め、百人の御霊を祀るため露出した各穴の奥の壁に観音像を刻んだ。さらに、長岡百観音寺を建立し、手厚く弔った。
  3. 百穴の観音像は弘法大師が一夜にして彫った。しかし99体目を彫り終わった時に一番鶏が鳴き、夜が明け始めたため、100体目を刻むことなく去った。そこで里の人たちは100個目の穴に石の観音像を安置した。この観音像は今も存在し、元観音と呼ばれている。
  4. 3代将軍徳川家光の時、江戸城内で諸大名を集めて「長岡百観音寺」の由来についての芝居が上演された。家光は、宇都宮城主に観音寺について尋ねたが、城主は領内にそのような寺はないと答えてしまった。しかし、宇都宮に帰った城主は、家老から長岡に百観音寺が存在することを聞いて驚き、一夜のうちに寺を焼き払うと共に、村人に観音寺のことは口外してはならないと申し伝えた。そのため弘法大師が建立した百観音寺は今では残っていない。

特に最後の話はなんとも……為政者というのは今も昔も責任逃れ、失敗隠しのためにはなんでもするのだなあ……とため息。













いちばん西側の穴。もしかしてこれが「元観音」?



人の顔のように見える穴







駐車場の桜はまだ五分咲きくらいだった





今日のオマケ 大企業といえどもいい加減

ダイヤモンドオンラインの「日本企業は劣化したのではなく、もともといい加減だった」(山崎元のマルチスコープ)という記事がちょっと話題を集めている。
「立派だ」とされていた日本企業のあちこちで、急激な「劣化」が起こっているように思えてならない。
という話から始まり、
  1. 日本企業はもともとひどかったのだが、それが近年、見つかりやすくなっただけではないか
  2. 仕事に対する「やる気」自体があちこちの現場で低下していて、かつてなら「常識だろう」と思うレベルで実行されなくなってしまう事例が頻発しているのではないか

……という2つの仮説を展開している。

1つ目については、
「日本企業」が特に悪かったり、劣化したりしたわけではないのではないか。そもそも、「企業」というものは、世界的にいい加減なものなのなのだと考えることが妥当なのではないか。

と言っている。
まったく同感だ。
大企業だからしっかりしている、なんていうのは錯覚・幻想であって、規模の大小に関係なく、企業なんてものはしょせんいい加減なものなのだ。
ガバナンスが進んでいたはずのアメリカの企業にあっても、共に意図的な巨大粉飾事件と言うべき、エンロン事件もあればワールドコムの問題があった。また、ネットバブルの時代も、サブプライム問題から金融危機に至る時期も多くの大手金融機関でガバナンスがまともに機能していたとは言い難い。金融業界の「プレーヤー」にとって、顧客もカモだったし、自分が勤める会社の株主(資本家!)もカモだった。合法的だが半分詐欺のようなビジネスが、彼らの高額報酬の裏に存在した。

その後、日本にもコーポレート・ガバナンスのアメリカ的強化を良しとする「風」が吹いた(企業統治で商売したい人々や、社外取締役の天下り先を作りたい官僚などが自分に都合良く感化されたのが実態だろうが)。委員会設置会社などという大袈裟な仕組みを持つ企業が登場したが、ガバナンス優等生とされた、東芝やソニーがどうなったかは、読者がご存じの通りだ。


2つ目については、こう指摘している。
 仕事の意義を押し付けつつ、仕事の成果によって金銭的な報酬の差を少々つけると焚きつける、日本企業の多くが導入している「成果主義」は、「所詮仕事はカネのためなので、カネ相応に働けばいい」という気分につながって、現場に関わる社員たちのインセンティブを、かえって劣化させているのではないだろうか。

「お金をたっぷり支払う」ことを現場単位まで導入する資力は日本企業にはなさそうだ。さりとて、報酬が仕事のインセンティブとして大きな意味を持たないような世界で、「仕事」に対するプロフェッショナリズムに基づく緊張感を鍛え直すのも、難しそうだ。

 次善の策としては、せめて経営トップ層が、報酬水準も含めて現場の社員ともっと近づくことだが、彼らは、当面、「ROE(自己資本利益率)」や「ガバナンス(企業統治)改革」を旗印に、お友達の社外取締役を味方につけて、自分たちの報酬水準を上げつつ企業を経営することに忙しい。


……う~ん、困ったね。

現場の実態はこうなのに、日本人の多くは未だに「技術大国日本」神話や「寄らば大樹の陰」という生き方原理を信じている。
じゃあ、どうすればいいのか……。
この記事(コラム)では有効な具体策までは提示していない。
少しでもマシな解決策を提示している記事を他の人のものに見つけたのだが、それは次の日記にて……。






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「福島問題」の本質とは何か?


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『裸のフクシマ』以後、さらに混迷を深めていった福島から、若い世代へ向けての渾身の伝言。
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第1章 あの日何が起きたのか
第2章 日本は放射能汚染国家になった
第3章 壊されたコミュニティ
第4章 原子力の正体
第5章 放射能より怖いもの
第6章 エネルギー問題の嘘と真実
第7章 3・11後の日本を生きる

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裸のフクシマ  『裸のフクシマ 原発30km圏内で暮らす』(講談社 単行本352ページ)
ニュースでは語られないフクシマの真実を、原発25kmの自宅からの目で収集・発信。驚愕の事実、メディアが語ろうとしない現実的提言が満載。

第1章 「いちエフ」では実際に何が起きていたのか?
第2章 国も住民も認めたくない放射能汚染の現実
第3章 「フクシマ丸裸作戦」が始まった
第4章 「奇跡の村」川内村の人間模様
第5章 裸のフクシマ
かなり長いあとがき 『マリアの父親』と鐸木三郎兵衛

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