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のぼみ~日記2016

2016/05/10

ものを大切に長く使うと罰金刑……という国・ニッポン


足場が組まれたピロティを不思議そうに見回るのぼる


足場を組んだ翌日、翌々日は、雨の予報だったので工事はお休みに。実際には雨は夜のうちに降って昼間はほとんどやんでいたので、職人さんが来ないうちに外壁の補修作業を始めた。
外壁には目立った問題は出ていないのだが、サイディングは経年劣化で粉を吹いていて、つなぎ目のシーリングが一部ひび割れしている。いちばん大切なのはつなぎ目なので、まずはここをシリコンシーラントで被せ塗りしていく。
シリコンシーラントは越後時代、阿武隈時代にずいぶん使った。なかなか馬鹿にできない。埋めた後、何年経ってもしっかりくっついていて、防水効果は完璧。金属部の割れ目埋めにも有効で、灯油タンクの漏れをこれだけで何年も止めたりもしてきた。
弾力のある接着剤としても使える。色つきのものより、クリアが使いやすい。

窓枠の隙間はほとんど劣化が見られない。よかった



サイディングの横のつなぎ目はシールしないで施工するが、年数を経ると隙間が出てくるところがある



ギョッとしたのはここ。家の正面、ど真ん中。人間なら正中線にあたるつなぎ目が広がり、完全に割れて下の断熱材が見えていた。


ひび割れしている箇所を埋めていくのはもちろんのこと、なんでもない場所でも、できる限り上からシリコンシーラントを塗り伸ばして保護膜を作っていく。
それだけでつなぎ目の持ちがよくなる(はず)。
ものすごく地味な作業。作業後も見た目には何にも変わらないから、達成感も少ない。足場を組まないと見えなかった上のほうは、今しかやるチャンスがないから、このチャンスを逃すわけにはいかない。

こういう仕事はプロに頼むと手間賃だけがひたすらかかる。面倒くさいだけで、見た目があまり変わらないからプロも気分的にやりたがらないだろう。だからこそ、素人がやる意味がある。
自分の家だから、どんなに地味な作業でも手抜きせずにやろうと思うし、手間賃はゼロ。
お金がいくらでもあるなら、いっそ外壁ごと全部張り替えて気分一新、ってなこともできるだろうが、そういうことが簡単にできてしまう人生もつまらないのかもしれない。

何度でも言う。自動車税改悪は国家犯罪だ


舛添知事の「公用車」アルファード
舛添都知事の「公用車」として有名になった黒塗りのトヨタアルファード (トヨタのサイトより)

家とか自動車のような「長期にわたって使用される商品」を耐久消費財という。高価な物だし、貴重な資源とエネルギーを使って作るものだから、性能はもちろんのこと、長く使えるかどうかが重要になる。長く使うことで初期投入の資源やエネルギーの「元を取る」わけだ。
まだ使えるけれど、飽きたから買い換える、というようなものではない。そういう消費行動をする人は「ものを大切にしない」「資源を無駄遣いする」ということで軽蔑される(はずだ)。
しかし、日本という国は、いつの間にか「使い捨ててどんどん買い換えることこそがよい国民である」「ものを大切に長く使う人は経済発展の足を引っ張るので企業や富裕層にとっては都合が悪い。よって罰を与える」という法律を作り、実施するというとんでもない国になってしまった。

先日、自動車税を支払った。
登録後約17年を経ている我が家の1台(スズキの1600cc乗用車。2003年に中古を37万円で購入した)は、「車齢13 年超のガソリン車」ということで重課税され、本来なら1600ccガソリン車は39500円のところ、45400円である。去年までも約10%の重課税で腹を立てていたが、今年はさらに5%上乗せされた。

軽自動車や原動機付き自転車など、田舎では日常生活の足として欠かせない車も今年度から自動車税を上げられた。軽(660cc以下)の自家用車は従来7,200円の自動車税だったが、今年からは13年超の車は12,900円で、なんと約80%も引き上げられた。原付バイクは1000円から2000円に、100%増税だ。
「車齢 11 年超のディーゼル車、車齢 13 年超のガソリン車・LPG車の自動車税重課割合を概ね 10%重課から概ね 15%重課に引き上げる」という税制改悪を国土交通省が要望し、認められた
一方で、「エコカー減税」はさらに拡充させた。
折りしも、舛添東京都知事が法外な出張費を使いまくり、正月に家族でホテル滞在した費用を公費で支払い、公用車で湯河原の別荘までほぼ毎週行き来していたことが報じられているが、舛添知事の公用車とはトヨタのアルファードという車だ(写真上↑)
平成26年型というから、都知事就任後に購入させたのだろう。
アルファードのHYBRID Executive Loungeという上級グレードのお値段は約700万円(希望小売価格7,036,691円 税込)である。特別仕様の「ロイヤルラウンジSP」というカスタマイズを施すと約1500万円である。
運転手付きの「走る知事室」がどのグレードなのかは知らないが……。

旬な話題だったのでつい都知事の公用車に話を振ってみたが、問題は「公用車」の車種やお値段ではない。車両総重量が2.6トンあるこの巨大な車がハイブリッド仕様で「エコカー」であると認定されていて、税金を大幅免除されていることだ。
アルファードのHYBRID Executive Loungeはエコカー減税対象車であり、自動車重量税も自動車取得税も100%免除(合計約17万5000円)、自動車税も翌年は3万3500円減税になる。
「合計24万6800円も税金が免除されますよ」と、トヨタも胸を張って売り込んでいる。

トヨタといえば「いつかはクラウン」という名コピーがあった高級車クラウンも思い浮かぶが、この最上級グレード「マジェスタ“Fバージョン"」(車両総重量約2.1トン。約700万円)もエコカー減税対象車で、自動車重量税、自動車取得税、自動車税を合わせて約24万7200円の税が免除される

こういう車を1台製造するのに、一体どれだけの資源とエネルギーを使っていることか。その結果、移動させているのは公共交通機関を使わなくていい強者ひとりだったりする。これこそ「環境負荷の高い車」ではないのか?

いうまでもなく、この手の車をポンと買える人というのは相当な富裕層だろう。自分で運転せず、専用の運転手付きで乗っている人も多い。そういう車はエコカー減税だのグリーン税制だので何十万円も税が免除され、田舎での生活必需品として軽自動車やバイクに乗っている人たち(一般の納税者)には増税や重課税という「罰」を与えてむしり取る。
しかも「古い車は環境に負荷をかけるから」という大ウソをついて、車重が1トンもない軽自動車は増税し、2トンを超えるような高級車でも「エコカー」だと言い張って自動車重量税さえ免除する。そんな国が他にあるのだろうか?
どうしてもむしり取りたいのなら、正々堂々と「増税したいが、政権を支えてくれる富裕層ではなく、騙しやすくおとなしい大衆から取ったほうが楽だから」と言ったらどうだ。

毎年、この時期が来るたびに何度でも言おう。
こんな国でいいのか、と。









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