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のぼみ~日記2016

2016/06/19の4

小田原で(4)松永記念館と老欅荘



松永安左エ門(1875-1971)は「日本の電力王」といわれる人物。
福澤諭吉に心酔し、慶應義塾大学の学生時代から福沢の朝の散歩にお供をする門下生として過ごす。
明治42年(1909)に福博電気軌道の設立に関わる。その後、複数の電力会社を合併して九州電燈鉄道、大正11年(1922年)には関西電気とも合併して東邦電力を設立し副社長就任。後に社長に……と、「電力王」としての道を突き進む。
東邦電力は東京進出をして東京電力を子会社として設立。昭和2年(1927)にはライバルの東京電燈と合併。
国家総動員法の下、電気事業も国家管理下に置くため特殊法人日本発送電会社が設立され、「一発電九配電体制」が始まると東邦電力は解散。松永は引退して所沢に「柳瀬荘」という家を建てて引きこもり、茶道三昧の日を過ごす。
「戦争に訴えなくとも日本の生きる道はある」と訴え、講演会では、軍閥に追随する官僚たちを「人間のクズ」と切り捨てて物議を醸したり(1937年)もしたという。

……で、そんな松永は戦後昭和21年に所沢の家「柳瀬荘」と所蔵していた美術品を東京国立博物館に寄贈し、小田原に引っ越してくる。
引っ越し先として建てたのが老欅荘で、その敷地内に松永記念館もある。

戦後、GHQは日本発送電会社の民営化を図る。松永は木川田一隆や池田勇人らと9電力会社の事業再編による分割民営化(九電力体制)を進めて実現した。

戦後、生存者叙勲制度が復活した際の、最初の勲一等瑞宝章叙勲者である。その際、池田勇人内閣総理大臣が、松永を候補者に挙げ、誰からも異論はなかった。しかし、料亭で池田から打診された松永は「人間の値打ちを人間が決めるとは何ごとか」と激高し、帰ってしまった。
池田から松永の説得を要請された永野重雄は、『(あなたが叙勲を)受けないと生存者叙勲制度の発足が遅れて、勲章をもらいたい人たちに、迷惑がかかる。あなたは死ねばいやでも勲章を贈られる。ならば生きているうちに貰った方が人助けにもなる』と松永を説得した為、松永は不本意ながら叙勲を受けることにした。
それでも松永は抗議の意志を示すため、叙勲式典を欠席した。その後、栄典の類は反吐が出るほど嫌いだとして、死後を含め全ての栄典を辞退すると公言する。このため、松永の訃報を受けた佐藤栄作内閣が政府叙勲を即日決定したものの、遺族は松永の遺志を尊重して辞退した。

(以上、Wikiなどをまとめ)

そんな人物だったわけだが、今の9電力会社の体質や原発爆発、放射能汚染を見たらどう言うのだろうか。

昔の政治家や財界人には、よくも悪くも国家を作っていく理想があり、気骨もあった。
規模は違うが、曾祖父・鐸木三郎兵衛の生涯にも通じるものを感じた。

小田原といえば城下町、北条氏、箱根の入り口というイメージが一般的だが、政財界人が隠居所を求めて引っ越してくるケースが多かった。そうした金持ちが集まると、アーティストたちもパトロンを求めてやってくる。そんな一面もあるのだなと、案内人の解説を聞いてよく分かった。


家の前のこの欅の老木が「老欅荘」の名の由来



楓もあり、秋には素晴らしい紅葉が見られるそうだ



雨樋がなく、犬走りがある。うちでもできないかな、なんて思ったが……まあ、そんなゆとりはないか



室内から庭を見る



障子は四角だが、窓はループ。光の入り方に工夫を凝らしている



この金庫の現金を無心に、池田勇人などの政治家が選挙の前になると「資金をお借りしたい」とやってきたという。松永は借用書も書かさずに金を渡して、回収もしなかった。今なら大問題だけど……いや、今もそのへんは変わらないのだろうな



隠し部屋への入り口



敷地内の池。残念ながら錦鯉が泳いでいるので、生物層は薄そうだが、たまにカワセミも姿を見せるという



蓮が見頃だった



近くの香林寺。猫寺だというのだが、蒸し暑いせいか、あんまりいなかった



マンホールの蓋。人物は何をしているの? これ、ふんどし?



こんな道を通って……



今は廃墟となっているこんなところも覗いて




一般公開できないのかなあ。中善寺湖畔のイタリア大使館別荘やイギリス大使館別荘みたいに



ここも素晴らしい庭園があったそうだが、今は一部のみ残されて企業の研修所になってしまったのだとか



大金持ち、大企業は、文化のパトロンとなり、遺産を後世の人たちに残すべきだと思うのだが、残念ながらそうなっていない例がほとんどだ。
立派な後継者を育てるということがいかに難しいかを思い知らされる。
今の日本はあらゆる面で下り坂で、だらしない姿を晒している。僕が生きている間にはもう「復興」は無理だろう。せめて、50年後、100年後に、新しい価値観、生き方を築いてくれていれば、その時代にふさわしい立派な文化も生まれているのだろうが、その前にとことんダメになりそうでもあるなあ。





 

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