2016/07/16
那須町狛犬めぐり(7) 健武山湯泉神社(2)これはもしかして寅吉?

嘉永年間の名品だけでも満足なのに、ここにはさらにびっくりするような狛犬がいた。
グーグーさんのサイトの写真を見ただけでは気づかなかったのだが……こ、これはもしや??
向かって右側にだけ残っている逆立ち獅子。左側にはまったく作風が違う別の狛犬。この取り合わせの由来は分からないが、問題は逆立ちをしている獅子のほうだ。

左側の吽像。これはこれでいい感じなのだが、右側の逆立ち獅子とはまったく別物

神山? 山神?

昭和9年の建立。筆頭奉納者?の鈴木鶴吉は、小松利平を尊敬していた弟子と同姓同名だが……

で、問題はこれだ。このむっちりした身体と顔はどこかで見たような……

これに似ていないか?

そう。これは借宿新地山の石柵裏側で逆立ちしている獅子。つまり寅吉作品!

最初は分からなかったのだが、見れば見るほど寅吉の作風に似ている。これはもしや??

残念ながら、台座の文字はまったく読めない

この蹴り上げた後ろ脚などは和平の作風にも似ている


尾の処理や鬣の描き方も寅吉風といえる




どちらかというと吽像のようにも見える。阿像は別にあったと思われる

バチバチバチ

う~~ん。どうなのだろう。寅吉工房で作られた可能性は高いが、もしかすると、菊地平二のように、寅吉の作風に影響を受けた地元の石工が借宿の石柵裏の獅子を真似て彫った作品ということも考えられる。
場所的には白河が近いし、寅吉工房で作られたとしても不思議ではない。
何か資料が残っていればいいのだが……。
台座の黴を落とせば何か読めないだろうか。
これが吽像だとすれば、阿像はどこにあるのか。もともとここにあったののうち、阿像が壊れて昭和9年の吽像をどこかから持って来て一対にしたのだろうか。それとも逆で、昭和9年のがもともとあって、阿像が壊れたところに、どこかからこの逆立ち獅子が一体だけ残っていたのを譲り受けたとか?
台座の筆頭奉納者 鈴木鶴吉も気になる。利平の「門人」と自称していた鈴木鶴吉は明治7(1874)年に亡くなっている。単なる同姓同名の別人なのか? 昭和9(1934)年は鈴木鶴吉の没後60年でもある。孫くらいの子孫が祖父の名前を継いでいる可能性もある?
……謎が謎を呼ぶ逆立ち獅子。
そろそろライブが始まるので、謎を抱えたまま神社を後にした。

社殿前から嘉永年間狛犬を見下ろす

元禄年間の灯籠などもあり、由緒ある神社だということが分かる。ちなみにこの神社は、室町時代に那須与一五世の孫・資忠の三男資方が芦野領主となり勧進したという
『日本狛犬図鑑05 小松利平・小松寅吉・小林和平』★
利平・寅吉・和平の狛犬作品のほぼすべてを収録。掲載写真点数約200点。
B6判・96ページ フルカラー オンデマンド 無線綴じ
1380円(税別) 送料:220円
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「福島問題」の本質とは何か?
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『3.11後を生きるきみたちへ 福島からのメッセージ』(岩波ジュニア新書 240ページ)
『裸のフクシマ』以後、さらに混迷を深めていった福島から、若い世代へ向けての渾身の伝言。
複数の中学校・高校が入試問題(国語長文読解)に採用。大人にこそ読んでほしい!
第1章 あの日何が起きたのか
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『裸のフクシマ 原発30km圏内で暮らす』(講談社 単行本352ページ)
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第2章 国も住民も認めたくない放射能汚染の現実
第3章 「フクシマ丸裸作戦」が始まった
第4章 「奇跡の村」川内村の人間模様
第5章 裸のフクシマ
かなり長いあとがき 『マリアの父親』と鐸木三郎兵衛
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