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のぼみ~日記2016

2016/07/31


ようやく夏らしい天気になってきた

驚くべき「日本」の劣化

今日は東京都知事選である。
これを書いている今は朝10時前で、結果は発表されていないが、これほど開票する前からうんざりするような選挙はない。
言及するのも嫌になるので書かない。

28日にはbaumでミニマムライブをやったり、29日、30日は宇都宮の彫刻屋台を撮影して回ったり、いろいろあったのだが、それらを報告する前に一つだけ書いておきたいことがある。
それは、「日本の劣化」が想像を超えてすさまじいということ。
特に「フクシマ」以降は各方面での劣化ぶりを見せつけられ、驚かされてきたが、そのたびに「それでもこういう社会で生きていかなくてはいけないのだから……」と、気持ちを切り替え、視点を変え、自分の暮らし、生き方を保とうと努力している。しかし、これでもか、これでもかというくらいひどい事例が毎日のように目の前に現れて、疲れる。
最近体験したり見聞きした事例を3つほど書き留めておきたい。

使いものにならない豊洲新市場

都知事選に立候補を表明していた宇都宮健児氏は、泣く泣く都知事選候補を降りるまで、公約の1つに「築地市場の豊洲移転は一旦停止」をあげていた。
豊洲市場の施設が使いものにならないことはすでにテレビなどでも一部取り上げられていた。ブースが狭すぎてマグロの解体もできないなどなど。
なんだそれ、と呆れたが、これ(建築エコノミスト 森山のブログ)を読むと、想像をはるかに超えてひどいようだ。
豊洲新市場という施設が、どうやら市場として十分に機能しないどころか、もし、移転してしまったら、魚の流通がストップしかねない事態になってしまっているようなのです。
なぜ、そんなことになってしまったのか?
最初、私も事態がうまくつかめなくて、まさか?そんなバカなことが起きてるのか?と信じられない気持ちでいっぱいでしたが、、、。
どうやら、新国立競技場問題以上の大変な状況に陥っているのです。
しかし、新国立競技場問題より救いがあるのは、豊洲施設がダメなまま完成しちゃいましたが、現築地市場をまだ壊していないことです。

長いのでいくつかポイントを並べてみると……

……とまあ、信じられないようなことが次々に書いてある。
これ、オフィスとして設計したでしょ?
どっかのIT企業のツインビルかなんかの図面ぱくってきたでしょ?
本社ビルとサーバーのデータセンターみたいな。
地下だけでつながってるやつ。
あっ、でもデータセンターはサーバーが重いから、積載荷重2トンはみておかないといけないんだった。
じゃあ、一体、この豊洲施設は何に使おうとして計画したんでしょうか?
教えていただきたい。
と、設計者に悪態をついたところで、既にこの「卸売り市場としては使えない何か」はできあがってしまっているのです。


特に最後のトレーラー駐車スペースが完全な設計ミスのまま完成してしまっているというのは驚きだ。

こういうことを招いた今までの都政。知らないまま知事に立候補する人たち……ここまで劣化してしまった日本。


バカの極致 沖縄やんばる海水揚水発電所

2つめの「唖然」はこの記事 「国頭村の揚水発電所廃止 電源開発、世界初の海水利用施設 沖電への売電交渉不調」
世界初の海水を利用した揚水発電所として、電源開発(本社・東京、Jパワー)が沖縄県国頭村安波で運転してきた「沖縄やんばる海水揚水発電所」が、19日付で発電所として廃止されたことが25日分かった。同発電所は国が建設費320億円を投じて1999年に完成。離島など海洋地域に適した再生可能エネルギーシステムとして実用化を目指してきたが、沖縄電力との売電交渉が不調に終わるなど商業ベースに乗せることが見通せず、電源開発は施設の継続を断念した。

 発電所を管理する電源開発石川石炭火力発電所(うるま市)は「試験レベルの役割を終え、営業運転として活用できないかを沖縄電力とも話してきたがまとまらなかった」と説明。2014年に国から払い下げを受けた敷地や施設の跡利用については未定とした。(琉球新報 2016年7月26日)


琉球新報の記事で、全国的にはほとんど報じられていないのではないかと思うが、こんなふざけたものが建設されていたこと自体が驚きだ。

Wikiを見ると、
「火力発電所の夜間余剰電力を使用して揚水が行われていた」とある。
この火力発電所とは同じ電源開発の石川石炭火力発電所(うるま市)のことらしい。
で、信じがたいのは「火力発電所の夜間余剰電力」という言葉がサラッと使われていることだ。
火力発電や貯水型水力発電というのはそもそも出力調整可能な発電方式であって、電力消費が減る夜間は出力を落とすなり止めるなりすればいいだけのこと。本来「余剰電力」など出るはずがない。
揚水発電所というのは、出力調整や頻繁な運転のON/OFFができない原子力発電所の付帯設備として考案されたものだ。
原発は一度動かしたら24時間定格出力で動かしっぱなし。下手にON/OFFを繰り返すのは危険。夜間に発電しすぎてしまう(余剰電力)場合は捨てる(発電機をつながない=「解列」という)のはもったいないので、その電力で真水を高い場所に汲み上げて貯めておき、電力消費が増えた時間帯にその水を落として水力発電にする、というもの。
沖縄やんばる海水揚水発電所はそれを石炭火力でやろうとしていたわけだ。
つまりこれは極端に効率の悪い火力発電であって、「再生可能エネルギーシステム」でもなんでもない。
火力発電の電力を使うならそのまま送電すればいいだけのこと。わざわざその電気を使って水力発電に変換することでどれだけ燃料を無駄に使うことになるかは小学生でも理解できる。
また、原発付設の揚水発電所が真水を使うのは、海水を使えば塩分で施設が腐食したりすることが分かっているからだ。
それなのに、わざわざ火力発電の電気を使って海水を使った揚水発電施設を作るなど、頭がおかしいとしかいいようがない。
「世界初」って、あたりまえだろうが。こんなものを作る国が他にどこにあるか。

要するにこれは国からの予算を使いたいためのバカ施設。発電が目的ではなく、予算を使いたいがための詐欺であり、ネズミ講と同じで犯罪である。
犯罪者が処罰されることもなく、ただ「ダメになったからやめます」で終わらせていいはずがない。
こういう国家ぐるみの犯罪を追及できないどころか、報じることもしないメディアの劣化ぶりもひどい。
それともメディアは、「もんじゅや核燃サイクル施設計画に比べればおままごとのようなもので、どうということもない」とでも思っているのか?
いや、おそらくそこまでも理解していないのだろう。その無知ぶりが本当に怖ろしい。

ネットの基本も分からないままいきなりトンチンカンなPDFを送りつける弁護士

3つめは法曹界の劣化の話。
先日、東京の弁護士事務所から「侵害情報の通知書兼送信防止措置」という不思議なタイトルのメールが送られてきた。
ウイルスかspamかと思ったが、念のため添付PDFを見てみると、女性用トイレの盗撮写真をのせているサイトの管理者がうちだと決めつけて「法的処置をとる」などという文面だった。
あまりのトンチンカンぶりに唖然とした。
もちろんそんなサイトとは無関係だし、過去においてもまったく関与したことがない。
なにを根拠にこちらをそのサイトの「管理者」とみなしたのか、なんの説明もない。
ドメインレジストラは世界最大級の一次レジストラで、DNS(ネームサーバー)もその一次レジストラが所有・提供しているものを使っていた。この一次レジストラはうちでも使っていてドメインの再販をしているが、そのレジストラを卸元としてドメインを再販しているパートナー業者は世界中に数千は存在する(もしかすると万の単位かもしれない。数百の単位ではないことは確か)。そのうちのどこかが管理しているドメインなのだろう。あるいは所有者が直接一次レジストラから購入して管理している可能性もある。
使われているドメインのWhois情報はプライバシー保護代理会社のもので、真の所有者は閲覧できないが、これは世界中にこの手の会社があり、普通にやっていること。その会社は一次レジストラの提携先で、利用者は世界中にいる。
サイトに使われているドメインのIPを調べたらサーバーはスウェーデンの企業が提供しているようだ。
どこを見てもうちとはなんの関係もない。
想像するに、レジストラやWhois情報保護代理会社、DNS情報などを検索して、たまたまうちの名前(屋号)が出てきたので、うちがこのサイトの管理者だと思い込んだのだろう。
これは例えば、トヨタの○○という車を使った犯罪者がいて、その被害者から相談を受けた弁護士が、ネットで「トヨタ○○」と検索したらたまたまトヨタ車を代理販売している地方の小さな個人営業の自動車修理屋を見つけて「犯人を突き出さなければ告訴する」と息巻いているような話。
要するにこの弁護士(女性名で二人連名)は、インターネットの基礎知識(ドメインとは何か、レジストラとはどういうものか、DNSとは何か、Whois情報保護代理会社とはどういうもので何をしているのか……)を知らず、IPアドレスの割り出し方法すら知らず(そんなものはホスト名の名前検索をすればすぐに出てくる。素人でも1秒でできる)、簡単な下調べもしないままにまったくトンチンカンな迷惑メールを送りつけてきたわけだ。
これが、「こういう被害者からの相談を受けているのだが、このドメインはもしかしておたくが管理していませんか?」と訊いてくるならまだ許せる。
ああ、この人はネットの基本を知らないでネット犯罪被害者の担当になった新米弁護士なのかな。アホらしいけれどリサーチ方法の基本を少し教えてあげようかな、くらいにとらえていたかもしれない。
それがいきなり「質問」ではなく、「貴社にて適切な措置をお取りいただけない場合には貴社に対する法的措置も検討せざるを得ません」などという文面のPDFを送りつけてくるのである。
この人たちは本当に弁護士なのか? 頭は大丈夫なのか? と愕然とさせられた。
しかもである、このPDF文書には、依頼者の名前がフルネームで記されている。
「当職らは○○氏から委嘱を受けた代理人として……」と始まり、その○○氏(女性)がトイレで盗撮をされたかのような写真が云々、と、内容についても書いてある。これはもはや、不必要に個人のプライバシーを赤の他人にばらまいてしまっていることにほかならない。
こんなメールが来なければ、こちらはその○○さんがそういう被害にあっていることなど知るよしもないし、名前を見ることもないのだから。
これが本当に弁護士の仕事なのか?
このトンチンカンなメールをよこした弁護士には「もっと勉強してください。こういうトンチンカンなものを送りつけられ、こちらは大変迷惑です」と返信したが、未だに謝罪の言葉ひとつよこさない。不愉快極まりない。
まったく人違いの家に土足で踏み込んできてわけの分からない言いがかりをつけた後、間違いだと分かっても謝罪もせずに無言で立ち去る……これはもう「当て逃げ」犯罪と同じではないか。

建設業界や電力業界、政界、財界……だけでなく、法曹界の劣化もここまできているのかと、愕然としてしまった。









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「福島問題」の本質とは何か?


『3.11後を生きるきみたちへ 福島からのメッセージ』(岩波ジュニア新書 240ページ)
『裸のフクシマ』以後、さらに混迷を深めていった福島から、若い世代へ向けての渾身の伝言。
複数の中学校・高校が入試問題(国語長文読解)に採用。大人にこそ読んでほしい!

第1章 あの日何が起きたのか
第2章 日本は放射能汚染国家になった
第3章 壊されたコミュニティ
第4章 原子力の正体
第5章 放射能より怖いもの
第6章 エネルギー問題の嘘と真実
第7章 3・11後の日本を生きる

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裸のフクシマ  『裸のフクシマ 原発30km圏内で暮らす』(講談社 単行本352ページ)
ニュースでは語られないフクシマの真実を、原発25kmの自宅からの目で収集・発信。驚愕の事実、メディアが語ろうとしない現実的提言が満載。

第1章 「いちエフ」では実際に何が起きていたのか?
第2章 国も住民も認めたくない放射能汚染の現実
第3章 「フクシマ丸裸作戦」が始まった
第4章 「奇跡の村」川内村の人間模様
第5章 裸のフクシマ
かなり長いあとがき 『マリアの父親』と鐸木三郎兵衛

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