- 老人すべてが社会的弱者ではない。老人は、自立して生活できる人と、どうしても援助の必要な人に分かれる。
- (風邪や肺炎などの感染症と違って)高血圧や糖尿病などの生活習慣病は投げ出すことのできない荷物。この荷物を軽くすることが「治療」と考える。つまり、生活を病気に合わせる。
- 病気との平和共存を図り、病人としての人生を精一杯生ききる。
- 薬の投与は支援、援助の一つの手段にすぎない。薬がひとり、力尽くで病気をたたき伏せるわけではない。
- 闘病するエネルギーがあるなら、人生の充実に振り向けよ。
- なくなった能力を取り戻そうとする努力は無駄。衰えたもの、失ったものを嘆くのではなく、残っている部分に感謝して、それを十二分に活用する。
- 老木の移植は難しい。一緒に住むのはできるだけ回避するほうが懸命。家族と同居している老人のほうが自殺率が高く、孤独感も強い。
- 親は子供を育てる過程で、子供がいなければ体験できない人生の局面を、怒り、嘆き、心配といったものを通じて味わわせてもらっている。それ以上の「反対給付」を子供に望むのは強欲。
- 今まで生きてきたようにしか老いることができない。
- 医療の現場では、延命は依然として至上命令であり、医療者は価値観が絡む問題には関わり合いを持たないようにしている。だから、尊厳死は与えられるものではなく、自分で勝ち取るものである。「救急車を呼ばない、乗らない」くらいの覚悟が必要。
- 老人の入院治療は過剰医療になりがち。自分の人生を生ききるために退院するのは自由。各自が「自分の死」を医療者の手から奪回しなければならない。
- 死に際しての飢餓や脱水は天の恵み。点滴をして正気に引き戻すのは、せっかく不安と恐怖が麻痺した状態から再び不安と恐怖の中に放り込んでいる可能性がある。
- 介護において守らなければならない鉄則は2つ。一つは、死にゆく自然の過程を邪魔しないこと。もう一つは死にゆく人に無用な苦痛を与えないこと。看取り期に自立支援もどきの介護を行うのは拷問である。
- 今流行の「終活」は、死体になった後のことを取り扱っているが、大切なのは死体になるまでの「生き方」。
- 死後の世界というのは、あると信じるかどうかの問題であり、あるかないかの議論の対象ではない。
- 生を充実させるためには死の助けが必要。
- 多くの人は「老いを楽観しすぎ」ている。老いても元気な人を見て、なんとなく自分もそうなれると思い、老いて苦しんでいる人を見ても、自分はそうはならないだろうと目をそらす。
- 今の日本の老人は、なまじ元気で気が若いので、いつまでも若者と同じ欲望に振り回されている人が多い。欲望肯定主義に偏りすぎ。気が若いというのは決して誉められたことではない。若者からすれば、老人が老いを拒絶する行動はすべて愚かしく見える。
- ピンピン長生きするということは、健康に気をつけ、身体を大事にすることだが、そんな人は、身体が丈夫な分、最後はだらだらと死に向かう。発作を起こしても死に損ねたり、身体は元気でも脳は完全な認知症ということになりかねない。ピンピンばかりめざす人は、長生きの恐ろしさへの想像力が足りない。
- 健康寿命と平均寿命の差が問題。男性で平均6年少々、女性は約8年、介護を要する期間がある。
- 誰もが長生きする権利はある、安心して老いられる、十分な介護と福祉を受けられる……そんな欲望肯定主義に、社会が振り回されているのではないか。実際には今の社会にそれ(欲望肯定主義)を支えるだけの実力はない。
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『3.11後を生きるきみたちへ 福島からのメッセージ』(岩波ジュニア新書 240ページ) 『裸のフクシマ』以後、さらに混迷を深めていった福島から、若い世代へ向けての渾身の伝言。 複数の中学校・高校が入試問題(国語長文読解)に採用。大人にこそ読んでほしい! 第1章 あの日何が起きたのか 第2章 日本は放射能汚染国家になった 第3章 壊されたコミュニティ 第4章 原子力の正体 第5章 放射能より怖いもの 第6章 エネルギー問題の嘘と真実 第7章 3・11後の日本を生きる ■今すぐご注文できます ![]() ⇒立ち読み版はこちら |
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『裸のフクシマ 原発30km圏内で暮らす』(講談社 単行本352ページ) ニュースでは語られないフクシマの真実を、原発25kmの自宅からの目で収集・発信。驚愕の事実、メディアが語ろうとしない現実的提言が満載。 第1章 「いちエフ」では実際に何が起きていたのか? 第2章 国も住民も認めたくない放射能汚染の現実 第3章 「フクシマ丸裸作戦」が始まった 第4章 「奇跡の村」川内村の人間模様 第5章 裸のフクシマ かなり長いあとがき 『マリアの父親』と鐸木三郎兵衛 ■今すぐご注文できます ![]() ⇒立ち読み版はこちら |
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