「共謀罪」が狂暴な手口で成立した日、TBSの『水曜日のダウンタウン』というバラエティ番組で不思議な企画が放送された。
適用されたことのない犯罪山ほどある説……?
法律はあっても、実際にはその法律が適用された犯罪が記録されていない例があるんじゃないかという説を検証するという企画。
番組が作成した「レア犯罪ランキング」の1位には、現在までに法律が適用されたことのない犯罪名が3つ並んだが、そのうちの一つが「外患誘致罪」。
第81条[外患誘致] 外国と通謀して日本国に対し武力を行使させた者は、死刑に処する。
第82条[外患援助] 日本国に対して外国から武力の行使があったときに、これに加担して、その軍務に服し、その他これに軍事上の利益を与えた者は、死刑又は無期若しくは二年以上の懲役に処する。
第83条乃至第86条 削除
第87条[未遂] 第八十一条及び第八十二条の罪の未遂は、罰する。
第88条[外患予備・陰謀] 第八十一条又は第八十二条の罪の予備又は陰謀をした者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
これって、今ならば「テロ」も含まれるんじゃないだろうか。テロに加担したら死刑、その予備または陰謀の段階でも懲役、ということではないのかな。「テロとは違う」と言う人もいそうだが、例えば「イスラム国」のメンバーとネットでやりとりして、日本でテロ活動を起こすことを助けたら、まさに「外国と通謀して日本国に対し武力を行使させた」となりそうだ。
実際、番組でもそのように解釈していたし、弁護士もそのように解説していた↓

外患誘致罪の内容を解説する弁護士

番組でもそのように解釈し、説明していた
そういう法律はすでに存在しているし、しかも今まで適用はゼロだったというわけだ。
この番組の企画としてはずいぶん「異色」なものだった。少なくとも笑いを取るような内容ではない。うがち過ぎかもしれないが、このタイミングでこの企画を番組の最後に持って来たのには、何か意図があったんじゃないかな。制作スタッフの中に、お笑いバラエティを作っている自分たちにもできることが何かあるのではないか……と考えた人がいたってことじゃないのかな。
次はNHK連続テレビ小説『ひよっこ』。このドラマが素晴らしいということはこの日記でも何度か書いてきたのだが、「共謀罪」が成立した日の放送では、主人公・みね子が働き始めたレストランのシェフが、突然、自分の戦争体験を語るという、やはりけっこう無理矢理突っ込んだ感のあるシーンがメインだった。
上の動画にも出てくるが、岐阜県警が計画段階の風力発電施設に対して反対運動を「起こしそう」な人物のリストを、事業者であるシーテックに渡していたというショッキングな事件。
ちなみにシーテックと言えば、青山高原の風力発電施設を作る際、地元自治体に「発電しなくてもいいのです。補助金がいただけますから」と言ってのけた、あの企業だ。
共謀罪が成立しなくても、すでにこうしたとんでもないことを公安はしている。
ここでは恐ろしくて書けないが、僕自身、川内村にいたときには背筋が凍るような体験もしている。
共謀罪というのは、こうした公安の活動にお墨付きを与える法律だ。今はまだ「それは公安の暴走だ」「違法行為だ」と糾弾できる余地があるが、共謀罪ができてしまった今後は、公安がどれだけ暴走しても、人権無視をしても「テロ等準備罪」の名のもとに合法行為とされてしまう可能性が高い。
↑メディアではほとんど報じられないが、今まで日本には「武器輸出禁止三原則」というものがあり、それが諸外国、特に紛争地域からの信頼を得る大きな柱となっていた。
日本は武器を作らない売らないという、世界でも類をみない国だという認識が、どれだけ日本の国防に役立っていたことか。
今はもう違う。このように、幕張メッセで堂々と武器の商談が行われている。
それに抗議する人たちの姿↓
母親たちのグループ……。
庶民は今、日常生活をやりくりするだけで精一杯で、ネットで情報を吟味・精査する余裕などない。時間もないし精神的なゆとりもない。チラッと見るテレビでは政権ベッタリの報道だらけ。
追い込まれた人たちは息切れして倒れるか、ネトウヨとして匿名のいじめにはまり込むか……ほんと、やりきれない時代になってきた。
精神をいかにまともに保ち続けるか……。人によって方法は違ってくるだろう。精神衛生上悪いからネットは見ないという人もいるし、政治や経済の話は一切しないという人もいる。それで心の平安が保てるなら正しい方法かもしれない。
ただ、メディアやアカデミズム、創作、表現の現場にいる人たちは、萎縮していたら結局精神を病んでしまう。
やり方はいろいろあるはずだ。諦めずに、自分の良心や尊厳を守る方法を探ろうではないか。