モリアオガエルの卵(卵塊)から孵化が失敗するパターンはいくつかある。
- 1)颱風などで卵が飛ばされて地面に落ちる
- 2)中で十分に孵化できない前に何らかの原因で卵に穴が空き(鳥や獣につつかれたりして)、そこから水分が抜けてしまい、中でミイラ化する
- 3)卵塊の上部分が裂けてしまい、そこから水分が蒸発しつつ、底の部分はどんどん干からびて硬くなり、孵化したオタマが下に落ちられずに壷状態となった卵塊の中で腐ってしまう
川内村にいたとき、すべて実際に目撃している。3)の状態の卵塊は、そばに行くとものすごい腐臭がするので、すぐに「ああ、これはダメだったんだな」と分かる。
うまく孵化して水に落ちたとしても、今度はそこで待ち受けているイモリやヒバカリ、ヤゴ、魚類などに食べられたり、田んぼや水たまりだと、カエルに変態する前に水が抜かれたり涸れたりして死ぬ危険がある。
もちろんカエルに変態できた後も、ヘビや鳥などに食われたり車に轢かれたりして生き延びるのは至難の業。
それで、♀が卵を産めるまでには3年はかかるので、次の世代を残す前に死んでしまうカエルがほとんど。
こうしたあらゆる試練を乗り越えたカエルだけが、数年後にようやく産卵のチャンスを迎える。
これだけ厳しい生存競争なのだから、ちょっとした環境の変化で地域絶滅していくのも無理はない。