今日は土曜日だからライチェルのお散歩はお休み……と思ってたら、昼飯食おうとしたその瞬間にピンポ~ン♪ときた。恐る恐る玄関を開けると、ゆうくんがひとりでライチェル連れてニコニコ立っている。
「え~~? 今から飯だよ。飯食ったの?」
「カップケーキ食べた」
「さいもんくんとかいないの?」
「いなかった」
「誰もいなかった?」
「みんなで出かけてた」
「今から飯だから、一人で軽くここ一周だけしてな」
「は~い」
(数分後。飯を食っている最中に、またピンポ~ン♪)
今度はゆいちゃんも一緒だった。
「今、飯食ってるんだよ~。遠くに行かないで、このへん軽く一周してな」
「は~い」
(数十分後、またピンポ~ン♪)
二階にいたのだが、下からかみさんが「いらっしゃいましたわよ。ライチェルご一行が」
「う~~、あ~~、待ってて……」(しぶしぶ)
子供たちだけで遠くに行かれると、事故が心配だ。
……しゃあない。いつもよりずっと早い時間にお散歩。しかもみっちり3km以上。
その間、ゆいちゃんはずっと「ライチェル探検隊です。私は司会のゆいです。今日は生放送でライチェル探検隊をお送りします。dボタンでクイズにご参加ください。抽選で100名様にライチェルキーホルダーをプレゼント……」とか、実況放送始めちゃうし、大変だったわ。
カメラも取られちゃって、途中からは「司会とカメラのゆいです」とか「カメラマンはゆうさんです」とか、完全に撮影クルー化してしまうし……。
あ~、ちかれたび~。
ひとんちの犬と他所様のお子。DVDはゆいちゃんの中継が傑作で、編集して残しておく意味はあると思うのだが、一体何をやっているんだ? という気持ちはある。
これも、「人生死んだ後が勝負」のうちかな。20年後、ゆい&ゆうは成人して大人社会で苦労しているだろう。そのときまでDVDが残っていれば、「なんだこれ?」と、見ることもあるかもしれない。(その頃、世の中にDVDを再生する装置が残っているかどうか疑問だが……)
「ここに出てくるたくきさんって誰?」
「昔、近所にいたでしょ。ひとんちの犬を毎日散歩させている変なおっさんが」
「あ~、なんとなく覚えてる。それにしても、私、可愛いね」
……みたいな会話が親子の間でかわされればいいのだが。
今はあまり意味がないDVDだ。
ゆいちゃんは一人でどんどん喋りまくり、アドリブで歌まで歌う。
♪らんらんらんらラーイチェル あだ名はライちゃん♪
↑クリックすると聴けます (しかしなぜマイナーなんだろう。メジャーでやってほしかった)
dボタンを押して答えるクイズの賞品はどんどん増えていき、最初はライチェル探検隊トランプとキーホルダーくらいだったのが、今では30曲入りライチェルの歌DVDとか、ライチェル探検隊の絵本とか、留まるところを知らない。
ゆうくんはほとんど喋らず、たまに小さな声で(ライチェルのお尻をどアップで映しているゆいちゃんに)「それは撮っちゃいけない」とか突っ込むだけだが、何も教えていないのに、カメラを渡しただけでちゃんと動画撮影をしている。強い逆光では片手をレンズの上にかざしてレンズフードにしているし、案外、カメラマンの素質があるのかもしれない。
20年後、ゆいちゃんはテレビ局の女子アナでロケ専門の突撃リポーター、ゆうくんはアシスタントカメラマンかADでこき使われている……なんてシーンを想像すると楽しい。
助手さん曰く:
「子どもはみんな天才なのよ。親はみんな、うちの子は天才かもしれない、って思うけど、大人になるにつれ『普通の人』になっていくのよ」
まあ、そうなんだろうな。
だからこそ、今この瞬間を切り取ってDVDに保存しておくことは、意味のあるクリスマスプレゼントになるのでは……と思う。
では、他人様のお子の映像を勝手にネットにあげるわけにはいかないので、みなさまにはしつこく、こないだ作った「日光のクリスマス2018」を……。