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のぼみ~日記2019

2019/11/01

東京五輪という災厄


東京五輪のマラソンと競歩のコースが札幌に移されたということで大騒ぎになっている。
もうね、本当にやめてよ。

開催前からこれほど歓迎されず、呪われたようなオリンピックがかつてあっただろうか。
ヒトラーがオリンピックを政治利用したベルリン大会や、大金をつぎ込んで開催したものの、その後は五輪施設が廃墟になるだけの最近の大会をまったく反省することなく、「儲かるからやろう」的なボケた頭で突き進んだ人たちの罪は重い。
Wikiの「2020年東京オリンピック構想」という項を見ると、その「そもそも」の大きなポイントが2011年の3.11直後に起きていたことが分かる。
2007年
石原慎太郎直轄の都知事部局に「生活文化スポーツ局スポーツ振興部」を新設(初代部長:後に東京都スポーツ振興局長で2020招致委員会理事→東京臨海熱供給社長・細井優)。
2009年
10月2日 - 2016年夏季オリンピックの開催地がリオデジャネイロに決定し、東京は2回目の投票で敗れた。
10月11日 - 広島市と長崎市が広島・長崎オリンピック構想を表明したが、同年12月に国際オリンピック委員会(IOC)により却下。
2010年
1月15日 - 長崎市が立候補を断念し、広島市が単独でヒロシマ・オリンピック構想を表明。
2011年
3月11日 - 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)が発生。
3月14日 - 石原慎太郎東京都知事が「津波は天罰」と発言。翌日、謝罪した。
4月12日 - 前日の東京都知事選挙で再選された、石原都知事が2020年夏季オリンピックへ再度立候補の意欲を表明。出馬前の3月に森喜朗が石原に「オリンピックをやると宣言してください。その後、体調がすぐれないなら辞められてもいい」と訴えた経緯もあった。
4月14日 - 11日の広島市長選挙で招致反対を訴えて初当選した、広島市の松井一実市長がヒロシマ・オリンピック構想を正式に断念。
6月17日 - 東京都議会の所信表明で石原都知事が2020年夏季オリンピックの招致を目指す意向を表明
6月23日 - 日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長やオリンピック選手が都庁に石原都知事を訪ね、2020年夏季オリンピックへの立候補を懇願
6月25日 - JOCの竹田会長が、震災で最も多くの犠牲者(当時の県内死者数は9千人以上)を出した宮城県の三浦秀一副知事と会談し、五輪・パラリンピック招致の賛同を得た。
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あれだけの大災害を経験し、原発が爆発してとんでもないことになっているときに、この国の指導者たちは「オリンピック招致」に躍起になっていたのだ。
そんな場合ではない。我々はいい加減、時代が変わり、違う幸福を求めていかなければならないと気づかなければいけない。そのためにはどうすればいいか。どう金を使うべきか。合理的な政治とはどういうものか。──そういうことを真剣に考えることなく、馬鹿みたいに「オリンピックを開かせてください」と懇願し、金をばらまき、不正な工作をし、「温暖な気候」だの「under control」だのと嘘をつきまくった人たち。
国民の多くは、薄々自分たちも同罪だと感じてはいるのだろう。だからメディアも「なんでオリンピックなんか開こうとしたんだ」とは追及しない。今なおお祭り前のムード作りに徹している。でも、現場での白け方は大変なものだ。

戦場に行っていた田畑政治

大河ドラマ『いだてん』が迷走している。
現在の主人公・田畑政治は、実は日中戦争の取材に特派されていたそうだ。
東京部隊と呼ばれた101師団に従軍することになり、9月2日、羽田から飛行機で発ち、福岡・板付を経由して上海に渡った(社の文書課の名簿では9月7日出発と記載)。
 同師団は武漢作戦の第十一軍=揚子江南岸地区進攻部隊に含まれ、田畑はその中の「海軍遡航部隊」に従軍していた。
(「阿部サダヲ演じる『いだてん』田畑政治と戦争」 前田浩次 朝日新聞 社史編修センター長)

ドラマではそんなシーンはまったく出てこなかったねえ。
上記の記事の中で、田畑が昭和20(1945)年の始め頃、同僚たちの前でこう訴えていたエピソードが紹介されている。
「戦争をやめるにしても、それは日米間の調停をソ連が引き受けるか否かにかかっている。政府も努力しているんだが、特使の派遣を向こうが受けつけないらしいんで、むずかしい情勢だ。小磯内閣には軍の強硬派を押さえつけて終戦にもってゆく力はない。これの出来る者はいないんだ。では、だれにそれが出来るかというと、陛下の御信任の特にあつい人、それは鈴木貫太郎だが、その鈴木を首相にして、機を見て、陛下の思し召しということで軍を押さえて終戦にもっていくしか道はない」

『いだてん』で描かれる田畑はあまりにも能天気だが、NHK上層部からの要求に応えるふりをしながら何らかの主張を入れるには、クドカンも喜劇調に描くしかなかったのかなあ。

注目していた孫基禎(ソン・キジョン)と南昇竜のことも、ドラマではほぼ完璧にスルーしていた。「朝鮮から来た孫くんと南くんも播磨屋の足袋を穿いて頑張ってます」という数秒のシーンだけ。
日本のオリンピック史を描くなら、この二人ほど重要な「いだてん」は存在しないだろうに。
日本では今も孫さんの金メダルを「五輪史上日本が獲得した金メダル数」の1つに数えているという。であれば、いっそ孫基禎を主人公にしたドラマにすればよかったのに。
二人のことは⇒この記事などに紹介されている。
この記事の最後にも紹介されている「私は『克日』の時代を生きたが、君は『親日』の時代を生きなさい」と、孫基禎(ソン・キジョン)老人が孫(まご)に語った話は重い。これこそ今、NHKが「国民的ドラマ」で発信するべきメッセージではないか。

しかしまあ、クドカンもギリギリのところで踏ん張っているんだと思う。
田畑に「今の日本にオリンピックを誘致する資格はない。オリンピックに失礼だ!」という台詞を言わせていたけど、まさにその台詞をそっくりそのまま今の日本にぶつけたい。

もっとも、IOCも落ちるところまで落ちて、「オリンピックに失礼」というよりは、オリンピックは幻想だってことなんだろう。
来年の東京五輪は、「オリンピックの幻想は崩れた」という証明をする大会になるのではなかろうか。
どんなに白熱した、感動的な勝負が展開されたにせよ、1964年の東京五輪。あの閉会式の感動は、もう望めないだろうな。


……50年後の歴史書には、こんな風に書かれているのではないか。

2019/11/01

オムツデイの天丼


月初めのオムツデイ。最近はカワチまで行かず、近場のツルハで買っている。ランチはまたまた山本鉄筋の社員食堂。税込825円になってメニューも減り、12時台でも空いているのはむしろ好都合になったかな。適正価格だと思うし……。

10年前と今。庶民は一見同じように暮らしているようでも、生活の「質」はまるで違う。余裕がない。衣食住以外に使う金と時間がない。その大きな違いを政治家は見てないし、興味もない。

大学入試の「民間英語試験導入」問題が急浮上して騒いでいるが、今までメディアも議員も、一般庶民もほとんど知らない問題だった。受験生や受験生の親、教育現場では大問題になっていたはずで、なんでもっと声を上げられなかったのか不思議だ。なんと従順な国民性なのか。
英語の「話す」「聴く」能力が大切なのはもちろんだが、それを学校教育で授けられず、大学受験でも教育機関には試験をする能力もなく、民間企業の既存商売に丸投げ? そんな国がどこにある?
もう、この際、すべての国会議員は立候補の条件として英検だのTOEICだのの「民間英語テスト」を受けて成績を公表することを義務づけたらどうだ。だって英語、大切なんでしょ? 

英語ができないどころか、スーパーで買い物もできない、電車や飛行機の座席やホテルの予約もできない、鋸や玄翁を使えない、味噌汁も作れない、洗濯もできない……という政治家がいっぱいいるんじゃないだろうか。
そういう「生活者」失格の人間が政治をしていいはずがないのだよ。

2019/11/02


ライチェルのお散歩を終えて家に戻ってきたら、ココアの散歩とすれ違った。きみも相当な歳らしいね。




知人の妻が突然自宅マンションから飛び降り自殺をした。高速道路で煽り運転攻撃をするトラック運転手。サル山で怪死した芸術家……。日本中で起きる不可解な事件、事故の数々。それらを結ぶ糸は前代未聞の驚くべきものだった……。ミステリー仕立てで始まる600枚超の長編小説作品の最後は、単なるミステリーの次元を超えた壮大かつ深遠なテーマにたどり着く。2006年執筆の長編小説。



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