実は、↑この入り口のところでこの像にカメラを向けていいのかどうか、悩んでいたのだ。こういう美術館や博物館では、入り口付近には必ず撮影禁止などの注意書きがあるものだが、見回してもそれらしいものはない。「長傘の持ち込み禁止」という表示は見つかったが、写真については見あたらない。
まさか写真撮っていいわけないよな、でも、これは建物の外だからOKかな、と、半分ドキドキしながらカメラを向けたのだった。
で、これはあたしの完全な予習不足だった。
帰宅後に改めてネットで確認したら、Q&Aのページにこうあった。
総合文化展については、個人利用にかぎって写真撮影ができます。ただし、撮影禁止マークのついている作品は、所蔵者の意向により撮影をお断りしています。
また、一脚、三脚、自撮り棒などの使用とフラッシュの使用はできません。他のお客様のご迷惑となるような行為(割り込んだり、撮影のため長時間その場にとどまるなど)はおやめください。撮影した画像を営利目的で複製・配布することはできません。
特別展会場については、写真撮影は禁止です。
(東博WEBサイトより)
要するに、
常設展や「撮影禁止」表示のある展示物以外は撮影OKなのである!
ビックリした。多くの人が堂々と写真を撮っているので??と思ったのだが、そういうことだったのだ。
一眼レフでガシガシ撮っている人もいた。
最初に本館を訪れていれば、入り口にそのことが掲示してあったのだが、いきなり東洋館に向かったために分からなかったのだった。
あたしみたいに、コンパクトカメラで音も消して、ササッと撮っている場合はぜ~んぜんOKなのだ。
もうひとつの失態は、入り口そばに無料のコインロッカーがあるのを見落としていた。これも最初に東洋館に入ったから。東洋館のロッカーコーナーは引っ込んだところにあって見落としてしまいがち。本館は入っていきなり目に入る場所にあるので嫌でも気づくのだが……。
で「無料のコインロッカー」というのは矛盾しているように思えるが、まさにその通りで、ロックするには100円玉を入れなければならないが、使い終わって鍵を戻すと100円玉は返却口に出てくる。
職員さんの話では、結構これに気づかず、取り忘れている人がいるらしい。
ちなみにこのとき、財布の中に100円玉がない! 売店まで行って「コインロッカーを使いたいんですが……」と言ったらすぐに「両替ですね」と、にこやかに両替してもらえた。
ロッカーに気づかず、重いリュックと分厚いダウンジャケット(中身は羽毛じゃない偽ダウンだけど)で5Fまでゆっくり見て回った後にこれに気づいたあたしは、改めてリュックとダウンをロッカーに入れて、もう一度、今度はしっかりと写真を撮りながら回ったのだった。最初から分かっていれば、撮った写真は倍増していたし、まだ人がそれほど入っていない時間帯だったから、写真の写りもよかっただろうに、本当に無念。
ロッカーの存在にようやく気づいた後も、ロッカーの100円玉が戻る仕組みを知らず、荷物を東洋館のロッカーに入れたまま、薄着で本館と平成館を回った。
本館では階段の上で、立っている年輩の職員さんの目の前で恐る恐るカメラを構えたら、そのおじさんはニコニコしてす~っと自分が邪魔にならないようによけてくれた。
そこでは博物館の天井を撮っていたのだが、職員さん(結構偉い人かも?)は笑顔で(かなり大きな声で)「建築関係のかたですか?」なんて声をかけてきた。
「いえいえ。こういう建物の内部はなかなか撮れるもんじゃないので……」
「この建物自体が重要文化財なんですよ~」
なんて会話が弾んだりして……ほんと、素晴らしい場所だなあ。日本国の宝だ。
「大らかなんで驚きました」と言ったら「でも、ペットボトルを手に持っていたり、そういう人は注意します。鞄の中に入れてもらわないと」
ですって。
1日かけても回りきれない。それがたったの630円。今まで知らずにいて大損した。
常連さんが多いのも当然だな。
こういう小品はカタログや図録にも登場しにくいので、写真OKは本当にありがたい。しかも、無反射ガラスのおかげで、まったくガラスがないかのような見え方。↑ガラス越しの写真だと思えないほどクリアでしょ。
続きは次ページで。