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のぼみ~日記 2020

2020/01/23

日本は世界一安全な「廃墟観光地」になるのか


ツイッターにこんな投稿を見つけた↓。

上司が最近西成に行くと、街を漂う浮浪者を見ながらマッチョな外国人観光客たちが酒をのみ、貧乏宿を満喫し、廃墟の様なエリアをビール片手にホッホッ叫びながら散策し、ホーリーマウンテンの様なモンド感出てたそう。今は西成にとどまってるが、10年後には日本が経済破綻し、こんな風景が全国で見れるかもしれない

— 裏庭映画保存会 (@uraniwamoviecom) January 18, 2020


西成かぁ……。
30代の頃(だから、30年くらい前)「狗道研究会」という怪しいグループ(徳間のトンデモ本を得意としていた編集者がリーダー格)に混じって、愛宕山登山のついでに大阪・西成周辺ツアーについていったことがある。
そのグループの中に西成が大好きな人がいて、西成だけでなく、飛田新地とかを先導して案内するというもの。
ヤ印の人がよく集まる飲み屋(実際、指に真新しい包帯を巻いたその筋の人がポツンと呑んでいた)に入って、その案内役の彼が嬉嬉として差別用語や放送禁止用語満載の歌をカラオケで歌う(なんでそんな無法なカラオケが存在するのかも謎)という、トンデモなツアーだった。無事にツアーが終わったのは何よりだった。
30年前にはすでに大阪はそういう観光地として一部マニア?には認識され、楽しまれていたわけだ。今になってそれが海外からの観光客にも人気が出てきたということなんだろう。

あと20年くらいすると、日光も「世界一安全に貧困と混沌世界を見学できる複相観光地」として世界に認識されるのかもしれない。
東照宮は今回の大修理でピカピカになった陽明門や東武動物公園の看板みたいになってしまった三猿あたりがいい感じに寂れてくる。国力が低下し、補修費が出ないので、いい感じに寂れたままになっている。それはまあ、いい。
鬼怒川温泉はもちろん廃墟ツアーで賑わう。霧降高原はカルト文化、ヒッピー文化の吹きだまりみたいになり、若い欧米の人たちに大人気に。今市は安い定食屋巡りや闇営業ツアーガイドの基地みたいになってたりして……。
でも、地元の人たちはちっとも潤わず、英語ができて、無許可の闇営業が得意な中国人が荒稼ぎする場になっているかもしれない。

冷静に考えてみてほしいのだが、海外からの観光客を呼び込んで外貨を落としてもらうというのは「貧乏な国」の政策だ。為替レートで円が弱いから旅行先に選ぶのだし、外国に向かって胸を張って売れるものがないから、せめて観光で生き延びようということになる。バブルの頃に日本人が強い円を背景にしてガンガン海外旅行に行っていたことを思い出してみるといい。今はその立場が逆になっているのだ。

観光立国政策が悪いことだらけだというわけではない。しかし、それならなぜ、日本が世界に誇れる森林を壊して巨大風車やメガソーラーを建てるのか。水源地に放射性廃物まみれのゴミを持ち込んできれいな水を汚した挙げ句に、水道事業を外国資本に売り渡して、自国民さえもが安全でうまい水を使えなくさせるのか。
観光で人を呼ぼうという国は、それなりに自国の美点を知り、大切にしている。そうした基本的な「愛国心」さえない国は観光地としての魅力もない。そこに生きる人々が、楽しく、幸せに、誇り高く生きていなければ、「おもてなし」はギブミーチョコレート的な上目遣いサービスに堕してしまうだけだ。

↑スーパーさがみやで買ったしいたけのパックに巨大なのが1つ混じっていた



なんとなく収まっているふたり




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