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のぼみ~日記 2020

2020/04/10

COVID-19が人間社会に突きつける「新しい生活」

同庁圧力鍋
国産の同調圧力鍋は強固にできてる?
COVID-19による「世界恐慌」は新たな段階に入ったようだ。
欧米を中心に医療崩壊が起きている。しかし日本はまだ深刻な局面を迎えていないように見える。何度も書いてきたが、どうにも不思議だ。
何か解明されていない理由があるのか、それとも欧米のような地獄絵が明日にも迫っているのか……多分、その両方だと、これから分かってくるだろう。

アメリカから:斎藤孝(米国ニュージャージー州 大学病院勤務・感染症指導医)
日本もこのまま行ったら、人口が大きく減るおそれがあります。私自身、実家が東京なので、今すごく心配です。友だちも、昔の同僚もたくさん東京にいます。彼らが無事でいられるかどうか。
そして私、すごく疑問に思うのです。どうして日本は「人命が最優先」とならないのか。
「日本の緊急事態宣言が遅すぎる理由、コロナ最前線の米医師が戦慄の提言」ダイヤモンドオンライン 2020/04/07)

日本でもすでに医療は崩壊し始めている。
日本でも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者急増が懸念される中、治療の最前線に立つ医師や看護師などの医療従事者や、重症化のリスクが高い要介護高齢者や障害者などをケアする介護・障害福祉サービスの従事者が感染するケースが増えている。
その数は医療機関で80カ所以上、介護・障害福祉サービス事業所で20カ所以上、計100施設以上……
陽性者の人数は、判明分だけで少なくとも医師が70人以上、看護師が70人以上、介護職員やその他の職員を含めると計270人以上になる(4月9日時点)
新型コロナで揺れる医療・介護提供体制 日経ヘルスケア 2020/04/10……更新中)

イギリスから:渋谷健司(英国キングス・カレッジ・ロンドン教授、WHO事務局長上級顧問)
パンデミック終息には年単位の時間が必要。「ウイルスと共生する新しい生活」に慣れていくしかない。想定内で準備をしていてはダメ。英知を集めてやり直すしかない。
ただ、核戦争後の世界とは違い、全く外に出られないわけではない。今までの常識が通用しないということ。新しい生活に適応するしかない。
「東京は手遅れに近い、検査抑制の限界を認めよ」WHO事務局長側近の医師が警鐘 ダイヤモンドオンライン より一部を要約 2020/04/09)

「COVID-19後の世界」については、すでに多くの識者が様々な提言をしている。
すでに引用・紹介したが、『サピエンス全史』の著者 ユヴァル・ノア・ハラリ氏の
この先の数週間、人々や政府の下した決断が、今後の世界のあり方を決定づけるかもしれない。その影響は医療制度にとどまらず、政治、経済、文化にも波及するだろう。決断は迅速かつ果敢に下されなければならないが、同時にその結果として生じる長期的影響も、考慮すべきである。
どんな道を選択するにせよ、まずもって自問すべきは、直近の危機の克服だけでなく、この嵐が過ぎ去った後に我々の住む世界はどうなるのかということだ。
嵐もやがては過ぎ去るし、人類も存続する。我々のほとんどは変わらず生きているだろうが、その世界は、もはや現在と同じではない
(ユヴァル・ノア・ハラリ「非常事態が“日常”になったとき、人類は何を失うのか」 英紙「フィナンシャル・タイムズ」への緊急寄稿 全訳がCOURRIER JAPONなどで読める

……という指摘は、重く受け止めるべきだ。

ウイルスはしつこく変異を続け、感染は何年もだらだらと続く。消滅はしない。そうこうするうちにまた強力な新種が出てくるかもしれない。
インフルエンザウイルスはすでにそういう形で人間社会に入り込み、共存している。そのことを我々は日常で忘れているにすぎない。
今回の新型コロナウイルスは、従来の各種インフルエンザウイルスなどが存在している社会に新入りとして加わった問題児だ。完全追放できない以上、その問題児が存在する世界で人間はどう生きていくかを問われている。

誰がウイルスを持っているか分からない、どこにウイルスが付着しているか分からない、ウイルスを体内に取り入れても気がつかないかもしれないし、突然病態が悪化して死んでしまうかもしれない……そういう社会で、人間が今まで築きあげてきた「文化的生活」「精神生活」を続けていくにはどうすればいいのか

渋谷教授がいう「今までの常識は通用しない」「新しい生活に適応するしかない」とは、そういう問いに正しく答えられるかどうかという問題だ。

具体的に考えてみよう。

……こういったことがすぐに思い浮かぶ。
しかしこれらはどれも以前から分かっていたこと、言われてきたことだ。
こういう生き方ができる社会に変えていかないと未来はまっ暗だよと指摘され続けてきたのに、政治や経済構造がこれに逆行する自分本位の道を邁進してきた。そうした社会を人々が認めてきた。
そのツケを、これから我々は、ウイルスによって払わされるのだろう。

そう考えれば、これは自滅に向かって突き進んできた現代社会に対する自然界の最後の警告なのかもしれない。
その意味で、COVID-19に対して希望・期待を抱く人たちも出始めている。特に若い世代は、言葉には出さなくてもこう思い始めているかもしれない。
このウイルスは金持ちの特権高齢者にも平等に感染し、死を与える。貧乏でも若い者は生き延びる確率が高い。なにか劇的な社会変革が起きるのではないか……と。

しかし、私はそんな期待は持てない。
高齢者だからではない。すでに原発爆発のときに、社会システムや人々の意識を変えることがいかに困難かを経験しているからだ。
原発が爆発したとき、1F(いちえふ=福島第一原発)から25kmの山村で暮らしていた私は、すぐに避難したが、ひと月後、自宅周辺の汚染が絶望的なほどひどくはないことを確認した上で、全村避難中の川内村に戻って生活を再開した。
村の移住者仲間もみんな集まって、これからこの村での生活をどう変えていけるかを話し合った。
原発と補助金に依存してきた地域で原発が爆発し、生活も環境も破壊された。ここから再出発するには、どうすればいいか。本気で頑張れば、今度こそ土地の恵みを生かした本当の創生ができるかもしれない……。
一瞬、そうした希望を抱いた。
今までは都会から移住してきた「お客さん」的な生き方で、自分の幸福を第一に考えて暮らしてきたが、そうしたエゴイズムはもう許されない。残りの人生、気合いを入れ直して、この地で自分ができることをやっていけないか……と。

しかし、そんな理想はすぐに吹っ飛ばされた。
補償金ラプソディ、除染劇場、今まで以上の中央政権依存体質の加速……そんな状況で「正論」を述べることは、余計な混乱と怨嗟を増やすだけだとすぐに理解した。
↑ここに書いたことが、今ゾンビのように甦っている

今思えば、あのときの日本はまだまだ金に余裕があった。しかしその金が、合理的で公正なやり方で生かされず、利権第一がそれまで以上に進み、混乱と不公正を生んでいった。
今回もまったく同じだ。
観光・運輸業、飲食業、イベントなどに関する支援として、新型コロナウイルス収束後に、国内の人の流れや街のにぎわいを創出し、地域活性化を図る官民一体のキャンペーン「Go Toキャンペーン(仮称)」を実施。この予算として経済産業省に1兆6794億円を計上し、内閣官房、経産省、国土交通省、農林水産省が連携して取り組む。
新型コロナ収束後の観光需要喚起「Go Toキャンペーン」に約1.7兆円。運休航空路線再開を後押しする大規模プロモも。補正予算案を閣議決定 トラベルWatchニュース 2020/04/08)


感染症拡大の収束後の経済のV字回復のための反転攻勢を仕掛け、日本経済を一気呵成に安定的な成長軌道に戻す。このため、甚大な影響を受けている観光・運輸業、飲食業、イベント・エンターテインメント事業をターゲットに、官民を挙げたキャンペーンとして大規模な支援策を短期集中で展開することにより、消費を思い切って喚起し、地域の活力を取り戻す。その際、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の延期に伴う需要の先送りを踏まえた経済の下支えに対応する。
「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」について 令和2年4月7日 閣議決定 より)


この期に及んで↑こうだ。
「収束後」を話す前に、やることをやれ。どうやったら収束させられるのか、収束しなくても最低限生き延びるためにどう金を使うべきか、って話をしろ。
「収束後」を語るなら、どこに金をばらまくではなく、社会構造の抜本的な変革方法や人々の意識改革を促す方向で語れ。
それができないまま、今までの発想で金をばらまき続けても、「国力」は弱っていき、世界からバカにされるだけだ。

……と言いたい。

「経済妄想症」「生活実感喪失バカ集団」……そういう連中にこの試練を乗り越える策を提起し、実行に移せるわけがない。
日本の官僚は世界一優秀だなどという嘘神話は、今回のことで、さすがに吹き飛んだだろう。

社会は変わるべきだが、簡単には変わらない。
であれば、我々庶民は、壊れていく国の中でどう生き延びていくかを考え、精神がやられないようにしながら、地道に実践していくだけだ。


(追記)この頃書いていた上記のような内容は、相当間違っていたということが後になって分かった
自分が瞞されていたことを記録しておくために敢えて消さないでおく。

↑複数の私立学校で入試の国語長文読解に採用されました。これは私の「遺言」です。


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