『日光のクリスマス2020』ができるまで

前ページで書いた「動画の背景用に……」という写真↑は、『日光のクリスマス2020』の動画用で、今日はなんとか仕上げた曲をYouTube用の動画にする作業に明け暮れた。
これがまあ、例年以上に難産で……。出来も全然満足していない。未だに疑問が頭の中で渦巻いている。

曲作りは11月から始まっていた。
どうにも気持ちが盛りあがらないので、曲を作る前に、まずはMacに向かう気力を……と、タヌパックバーチャルバンドなるものを脳内に作りだし、『いにしへの恋歌』をコード楽器なしで録音してみたあたりから、苦しみはずっと続いている。
『いにしへの恋歌』バーチャルバンドバージョンは、思っていたよりよくできたと思っているのだが、どうもみなさんの食いつきはさっぱり。澤野くんのベースとニャンのパーカッションのノリとか、快感だけどなあ。特にベースは、何度聴いても「かっけ～！」と思う。

ラシドー　レシソー

これで少し気合いが入ってきて、さて、この気持ちのまま新曲を書くぞ～、となったのだが、やはりメロディが浮かばない。
今年の『日光のクリスマス2020』はあっさりと歌とギターだけでもいいと思っていたのだが、それなら本当にいいメロディじゃないと意味がない。
出てこない……う～。

出てこないので、musescoreというフリーの譜面作成ソフトでチマチマと音符を書き込み、毎日それをちょっとずつ修正しながら追い込んでいくのだが、ダメだ～。こんなんじゃダメだ～、の連続。

放りだしてあるモチーフ（それも何度も書き直している）を、一晩寝ると忘れている。忘れてしまうくらいだから大したメロディじゃない、ってことだろう。

今朝は起きがけに、半覚醒状態の脳内でひとつのフレーズが鳴って、目覚めかけの意識で「これ、もしかして、今抱えているモチーフの最後に使えるかも……」と思い、ねぼけまなこ＆パジャマのまま震える身体でトイレに行った後、机の上にあった紙にパパッとメモして、すぐにまた蒲団に戻った。じゃないと風邪ひくもんね。

10時過ぎにのぼるくんに起こされて、いつものように珈琲とミロを混ぜたやつを入れたマグカップを持って部屋に入ると、机の上にメモがあって、最初は何のことだか分からなかった↓
ああ、そういえば今朝、ねぼけまなこでこれをメモしたのか……と思いだし、読み取ろうとしたが、もう、そのときの頭じゃないから、ピンとこない。
ラソドー　ドレ↓ソー　ソシラー　ソシラー　……と書いてある。↓は下の「ソ」だよという意味。で、ようやくなんとなくそのメロディを把握できたのだが、なんでわざわざこんなものをメモしたのかな……と思うほど、ピンとこない。


それでも、抱えているモチーフの最後に無理矢理あてはめてみようとしたりして……。

『日光の秋2020』

なんだかんだで奮闘した結果がこれ↓

どうしても歌詞がハマりそうもない、というか、浮かばないので、チェロとバイオリンの二重奏みたいにしたらどうだろう……と考えた末の苦肉の策。

寂しい、暗い曲だな。
何度やり直しても、あちこち瞬間的に気持ち悪く聞こえて、やっぱ、こういうのはちゃんと楽典を勉強しないとダメなのかな、と思い知らされたりした。

50年くらい前、樋口康雄さんと話をしていたときに言われたのは「コードの上にメロディをのせるなんていうのは、長い音楽史の中では今だけの、むしろ特殊な流儀だよ」というようなこと。
ポップ音楽の作曲家や演奏家はそれがあたりまえだと思っているけれど、とんでもない、というわけだ。

ソドソソファレ

しかしこの曲を『日光のクリスマス2020』とするのは、なんともやるせないというか、不完全燃焼だな。
というわけで、まだ11月末でもあるし、これは『日光の秋2020』ということにして、もう1曲別バージョンを作ろうかと思った。
もっとメジャーな出方でシンプルな曲……。それを煮詰めていったのがこれ↓

今度は出だしがソドソ……でもろメジャー……と思いきや、なんかこれ、今までいっぱい作ってきたメロディに似ていて、しかも突き抜けてもいないし、味わいもない。
それでも投げ出してしまったら、もう二度と曲は作れなくなるんじゃないかという恐怖もあって、とにかく形に、とにかく形に……と、何度も言いきかせながら作業を続行。
気持ちが切れそうになるので、自分を鼓舞する意味で、途中経過を動画に記録してみた↓

ドSのキム姐さん（年下だけど）に、チクチクといろいろ言われつつも、頑張るぞ……という図。

「ふふっ、まだまだ甘いわね」

こうでもしないと気持ちが持続しない。ふうう～。

で、なんとか形にしたのがこれ↓


これも納得できないので、最後に本当にギター一本だけで、ため息のような枯れた歌を……と思ったのだが、とりあえずここで一息入れることにした。
その「地面に落ちた枯葉が静かに動くような歌」ができたら、来年1月の歌にでもするかな。


……しかし、こんなことをウダウダと日記に書いているあたしは、すでに軽度の認知症なのかもしれない。……怖い……。