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のぼみ~日記 2023

2023/04/26

がさつ丸とざせつ丸



昨日の夜からずっと雨が降っていて、本日はお散歩なし。
5月14日(日)~27日(土)まで、銀座のギャラリー路地裏というところで「大江戸狛犬祭」という展示会が行われる。
ミクシィ内で誕生し、今はフェイスブックで続いている「狛犬さがし隊」というグループの「創立16周年記念展」だそうだ。
「狛犬愛を詰め込んだハンドメイド作品展」ということで、爺も参加せよと誘いを受けたのだが、ハンドメイド作品なんてないし、一旦は無理だと答えたのだが、「著作も立派な作品です」と口説かれ、それじゃあ……と、今まで書いた狛犬本を並べてもらうことにした。
狭い会場なので、当初は「参加者上限30人。一人1点(1対)」ということだったのだが、出品者は21人、出品作も平面のもの(絵とか写真?)が多いらしくて、もう少し会場が賑やかになるような立体的な小品がほしい、というメッセージがあった。

賑やかしお笑い担当ガヤ、みたいなのでよければ、これもあることはあるけどなあ……と、バラバラになってしまわれていたのを引っぱり出したのが↑これ。

本日命名「がさつ丸」。
さっきボンドで頭と尾をくっつけてみたところ。
相方の阿像は頭を造りかけて即挫折したので「ざせつ丸」という名前だけある。

さて、がさつ丸は銀座に行くのであろうか? 

2023/04/24

コシアブラ


コシアブラをもらったので、かき菜?と一緒にパスタ。あとおひたし風の何かにしたやつ。助手さん作

『大河への道』からのいろいろ


WOWOWで『大河への道』という映画を見た。
立川志の輔の落語が原作ということで興味を持って録画しておいたのだが、見終わった感想は「志の輔はすごいな、やっぱ」である。
大河ドラマへの皮肉もちょこちょこ混ぜながらも、最後は日頃世話になっているNHKへのフォローも忘れない。
文枝と志の輔はビジネスと芸道の両方を極めた天才だな。
周囲の人たちもしっかりサポートしてくれるような人間性も持ち合わせているんだろう。
羨ましい気もするけど、所詮自分には無理な人生だとも思う。

で、この映画の企画を立てたのが主演の中井貴一だと知って、中井への評価も上がってしまった。
中井は志の輔の落語を観て、ぜひ映画化したいと、まずは志の輔に直談判したそうだ。
志の輔は断る理由もないだろうけれど、そこから本当に映画にするまでの道のりは大変だったはずだ。

志の輔も中井も、NHKには相当好かれて重用されている。特に中井は大河ドラマに複数回起用されて、「武田信玄」では主役も務めた。
そんな二人が、あちこちにNHK大河ドラマへの皮肉ともとれる描写や台詞を散りばめた映画を生みだしたところが面白い。
例えば、県知事の意向で脚本を書かせたいと指名された老脚本家(橋爪功)は、かつての人気ドラマ『お手紙先生』の最終回を自分が考えていたような終わらせ方ではなく、お偉いさんに言われてハッピーエンドの予定調和の結末にしたことに嫌気がさして筆を折ったという設定。現在のエンタメ業界、特にテレビへの批判になっているが、露骨ではなく、老脚本家が極端な偏屈爺だという色づけをしてオブラートに包んでいる。

こういう細かい技があちこちに見られる……すごいことだよ、これ。

伊能忠敬の生涯

で、ついでに伊能忠敬のことをWikiなどで調べてみたところ、本1冊分くらいの内容がズラ~~~っと出てきてビックらこいた。で、(当然のことながら)知らないことがいっぱいあった。

伊能忠敬

……とまあ、映画になる前の部分も相当面白い。
4人の妻と多数の子供。妻が死ぬとすぐに次の妻を迎えてバンバン子供を作る。絶倫というか、むしろ女性に対しては情が薄く、ある意味「淡泊」な印象も受ける。
身内にも他人にも厳しく、人情に流されない合理主義・能力主義の人。一方では19歳年下の師匠を生涯尊敬し、師匠の死後は毎日墓の方角を向いて拝礼していたという。なんとも不思議な人だ。

高橋景保と徳川家斉

映画では老脚本家(橋爪功)が、「……というわけで、俺が書くのは『高橋景保物語』だ」と言い張り、『伊能忠敬物語』を大河ドラマにすることはできなかった、というオチになっている。

では、この橋爪功演じる老脚本家が実際に『高橋景保物語』を書いたらどうなるのだろうか?
……と、今度は高橋景保を調べたら、さらに意外なことが分かった。

高橋景保

映画の感動的なエンディングシーンで、高橋景保の労をねぎらう将軍(草刈正雄)は第11代の徳川家斉。
しかし、景保を、獄死した後もわざわざ死体を塩漬けにしてまで斬首させた文化7(1810)年のときも、将軍は同じ徳川家斉である。

「大河への道」で、老脚本家は過去の自分のヒット作が予定調和の終わり方をしたことに後悔の念を表明している。
本当は「お手紙先生」が教え子への手紙を出すのを忘れ、そのせいで教え子が自殺してしまうというとんでもなく暗い終わりかたにしたかったのだそうだ。
ほんのちょっとした思いやりの欠如が取り返しのつかない悲劇を生むことがあるということを言いたかった、とのことだが、その台詞を思い出した。
地図の完成に感動し、景保をねぎらった将軍・家斉は、そのわずか6年後、景保に「思いやり」を持つことはなかったのだろうか。
シーボルトは景保に最新の世界地図を渡しており、景保はその返礼として、自分が監督して完成させた日本地図の写しを渡している。今なら学術界の麗しい友情物語である。しかし、ご禁制の地図を外国人に渡したことで極刑に処せられた。

ちなみにこの時期の家斉は、寛政の改革を進めた老中らを一掃して「大御所時代」を迎え、「宿老たちがいなくなったのをいいことに奢侈な生活を送るようになり、さらに異国船打払令を発するなどたび重なる外国船対策として海防費支出が増大したため、幕府財政の破綻・幕政の腐敗・綱紀の乱れなどが横行した。(Wikiより)」という。
「特定されるだけで16人の妻妾を持ち、53人の子女(男子26人・女子27人)を儲けたが、成年まで存命したのは約半分の28人(Wikiより)」だそうで、伊能忠敬も顔負けの絶倫ぶりだったようだ。

シーボルトとシュレーゲル

シーボルト事件は謎が多く、シーボルトがオランダのスパイだったという説もあるが、出島に植物園を作って約1400種の植物を栽培したり、長崎の町に鳴滝塾を作り西洋医学(蘭学)を教えたり、日本人の妻を迎えて娘も生まれているなど、親日家、純粋な研究者、教育者という人物像が強く浮かび上がる。
ちなみに、シーボルトはオランダ人だと思われているが、ドイツで生まれたドイツ人。祖父、父ともヴュルツブルク大学の医師であり、シーボルト家は医学界の名門だった。


シーボルト事件は、シーボルトが高橋景保に最新の世界地図を送り、そのお返しとして最新の日本地図を受け取ったことが発覚したことで起きる。
その際、シーボルトは、捕まった日本の友人たちを救おうと自らが人質になることも提案した。その結果、何人かの仲間は死罪を免れたという。

シーボルトは文政12(1829)年に国外追放と再渡航禁止処分を受け、翌年、オランダに帰国する。
その際、日本で収集した文学的資料や様々な動物・植物の標本を持ち帰っている。
その中には、日本固有種のカエルであるシュレーゲルアオガエルの標本もあり、それが帰国後に友人となったシュレーゲルの手に渡って同定されたことから、今でも「シュレーゲルアオガエル」が和名になっている。
シュレーゲルはシーボルト同様、ドイツ人だが、オランダのライデン自然史博物館に就職し、脊椎動物部門の管理者となっていた。

タゴガエルに抱きつかれているシュレーゲルアオガエル。2010年3月、川内村の自宅(当時)敷地内で



ヘルマン・シュレーゲル
当時、シーボルトが持ち帰った標本は、ドイツ人の博物学者ハインリッヒ・ボイエ(Heinrich Boie (1794 - 1827)らも協力し、分類・同定が行なわれた。
特にボイエは、昆虫・鳥類・爬虫類の研究で有名で、アカハライモリ、アオダイショウ、ヤマカガシ、ニホンマムシなど、多くの日本人にとってなじみ深い両生・爬虫類を1820年代に新種として記載した。
その点で、シュレーゲルよりも日本で知られていいとも思うのだが、「ボイエ○○」という和名の生物がいないからか、ほとんどの日本人は知らない。

ハインリッヒ・ボイエ

シュレーゲルの名前が残る動物には、
ハナウミシダ(ウミシダの一種)Comanthina schlegelii (Carpenter, 1881)
サカタザメ(エイ目・サカタザメ科の海水魚)Rhinobatos schlegelii Müller & Henle, 1841
ヨウジウオ(トゲウオ目・ヨウジウオ科の海水魚)Syngnathus schlegeli Kaup, 1856
スミツキアカタチ(スズキ目・アカタチ科の海水魚)Cepola schlegelii (Bleeker, 1854)
クロダイ(スズキ目・タイ科の沿岸魚) Acanthopagrus schlegelii (Bleeker, 1854)
シュレーゲルアオガエル(アオガエル科のカエルの一種)Rhacophorus schlegelii (Günther, 1858)
ロイヤルペンギン(ペンギンの一種)Eudyptes schlegeli Fincsch, 1876(鳥綱コウノトリ目ペンギン科)
などがあるそうだ(Wikiによる)。

シーボルトがいなければ、シュレーゲルアオガエルはサトアオガエルのような和名になっていたのだろうか。
ボイエやシュレーゲルが同定した動植物は数多いのに、シュレーゲルアオガエルだけにシュレーゲルの名前が「和名」として残っているのも不思議ではある。どういう経緯だったのだろう。
今、朝ドラでは植物学者牧野富太郎をモデルにした「らんまん」が放送されているが、その路線で、シーボルトや高橋景保を主人公にした大河ドラマなどを作ってみたらいかがかな。
もう、人殺し武将たちの大袈裟な台詞回しの演目は飽き飽きだよ。


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